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一問一答!建築のキホン⑨

このnoteでは、『月刊不動産流通』の過去の記事を紹介しています。

今回は、「一問一答!建築のキホン」
建物の構造、関連法規の基礎知識を、(株)ユニ総合計画の秋山英樹氏がQ&A方式で分かりやすく解説するコーナーです。

『月刊不動産流通2019年10月号』より、「第1種低層住居専用地域では、
店舗を建築できないのでしょうか?」
を紹介します。

Q 第1種低層住居専用地域では、店舗を建築できないのでしょうか?

A 2018 年の建築基準法改正で、一定の要件を満たした、住民の日常生活に必要な小規模な店舗に限り、建築が可能となりました。

審査不要で
店舗の建築が可能に

建築基準法第48条では、第1種・第2種低層住居専用地域は、住宅以外では学校や神社、老人ホーム、公衆浴場、診療所のほか、公益上必要な交番や郵便局以外は建築できないことになっています。それでも、近隣住民からの要望で店舗を建築する場合は、公開による意見聴取と、第三者機関である建築審査会の同意が必須でした。

ただ、高齢社会の進展により、第1種低層住居専用地域内でも、コンビニエンスストア等の店舗はセーフティネットの一環として必要だとして、2018年の建築基準法改正で、同法第48条に「第16項」が加わりました。これにより、一定の基準に適合するものに限り、建築審査会の同意がなくても店舗建築が可能となりました(図表1)。

同項が定める建築可能な店舗には、敷地が幅員9m以上の道路に接すること、店舗部分の延床面積は200㎡以内など、要件があります。図表2に詳しく記載しているので、参考までにご覧ください。地域の環境や実情を踏まえて、騒音、振動、臭気、夜間照明、交通安全性に対して適合した店舗のみ建築が許可されています。

図表1
図表2

兼用住宅ならば、
店舗を新設できる

なお、同法改正前においても、共同住宅の建物内に店舗を組み込む場合や、店舗併用の戸建住宅であれば、店舗の新設は可能でした。ただし、店舗部分の延床面積が建物全体の半分以下かつ50㎡以下であること、またその種類も、日用品に関する物販や、サービス業、飲食店、塾、アトリエなどに限られるといった制限があります(図表3)。なお、住宅部分に居住者がいないと兼用の住宅とは認められないので、注意しましょう。ちなみに、第1種低層住居専用地域内にテニスコートがある地域がありますが、コート自体は建築物ではないので、条例等で規制がない限り問題はありません。しかし、付随する施設として更衣室や店舗を備える場合、施設部分は規制の対象となります。

図表3

◇  ◇  ◇

通常、独立した店舗が建てられない第1種低層住居専用地域でしたが、条件さえ整えば、建築が可能になりました。候補地があれば、コンビニエンスストアの本部に出店を打診し、出店可能ならば役所の建築審査課に認可の可能性について問い合わせ、ビジネスチャンスを広げてみましょう。



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