塔 掲載歌(2023. 2月号)
今月から、若葉集を卒欄して作品2へ移りました。
作品2のかたはたくさんたくさんいるので、自分の名前を探すのに時間がかかります。
人混みをかき分けるようにして、自分の名前を見つけたときは驚いて叫んでしまいました。
作品2山下泉さん選で、鍵前に7首を掲載いただきました。
尊敬する歌人の方々と並んで、震えが…!目次の4番目に名前を入れていただきました。
※ ※ ※
千年の約束のように雪虫が冬をしらせてあとかたもなく
珈琲のカップにゆびをあたためて冬の深度をはかる眠たさ
噛みしめる夕飯どきのニュースではだれかのことを肩入れしてる
こころから 言葉はすこし嘘になる見えない壁に手を添うような
朝寒にさらした肩の幻肢痛つばさがそこにあった時代の
火焔菜 火に火をくべてわたしたち怒りと呼ばれる腑をだいている
見上げたいだけ見上げたい空争いにすぐになるのはなぜなんだろう
/ 鈴木精良
※ ※ ※
6首めは時庭歌会に出した、私の初めての戦争詠です。
火焔菜とはビーツのこと。ぐるぐるの渦巻きみたいな断面の赤いビーツ。わたしのなかにも、たしかに怒りや恐怖が渦巻いている。歌会では西藤智さん、菅原海春(春原シオン)さん、西鎮さんから丁寧な読みをいただき、そのことに励まされて月詠に入れました。
また、十二月号評で朝井さとるさんより評をいただきました。ありがとうございます。
触れなければ沁みない水だ キャスターが夜のニュースで語る淡々 / 鈴木精良
一歩一歩、ていねいに。
あるいていきます。
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