成人式と同窓会


(前)

 昨日は成人式でした。そして、今日は中学の同窓会。思ってた以上に疲れたので、帰宅後、過食嘔吐して気持ちをリセットしました。

 まず、成人式。着物を選んだときも大変だったけど、それ以上に苦労しました。

 半年前はまだ32キロくらいあって、それでもサイズが合うものがなかったんですよね。おかげで、レンタルで済ませるつもりが、特別に仕立ててもらったものを購入するハメに。親は「一生に一度の晴着なんだから」と言ってくれたけど、申し訳なさ、ハンパなかったです。
 また、お店の人からは「これでもまだサイズが合っていないので、成人式までにもう少し太れるといいですね」と言われました。
 そのときは「そうですねぇ、がんばります」って答えましたが、結果は逆に。最近はだいたい27キロ台です。減ったといっても、5キロくらいなんだけど、この5キロが意外と大きかったみたい。着付けにものすごく時間がかかって、担当の人に迷惑かけちゃいました。

 着物に合う太さにするために、分厚いタオルを何枚も巻いて。
「本当に細いわね。普通だと2枚くらいで済むのに。こんなに巻かなきゃいけないなんて、たぶん最高記録だわ」
 なんて言われて、ちょっと嬉しかったり。
 帯を結ぶときも、
「きつくしても大丈夫? 腰ひも一本結ぶのも心配な細さだから、着付けをしてても怖いくらいよ」
 と、気をつかわれまくりでした。

 でも、わたし的にはあまりタオルは巻いてほしくなかったです。わざわざ太く見せる必要はないし、その分、重くて体にも負担になりそうだったから。実際、着物でいるあいだ、ずっと苦しかったです。
 そのせいか、市長さんのお話も覚えていないし、友達との会話にもあまり集中できませんでした。それでも親が喜んでくれて、一緒に記念写真も撮ったりできたから、よかったのかな。
 親はわたしが痩せたことが心配らしく、成人式の前に死んじゃうんじゃないかとまで思ってたそうです。
 なんか、大げさですね。

 そうそう、大げさといえば、小中といちばん仲のよかった友達に、
「すっごい痩せたけど、どうしたの? まるで別人じゃない。一瞬、誰だかわからなかったよ」
 と言われました。
 この子とは、今日の同窓会でも会って、いろいろおしゃべりしたんですけどね。
 長くなりそうなので、今日のことは改めて書こうと思います。

 おやすみなさい。


(中)

 つづきです。

 同窓会の日は、出かける前にちょっと母とトラブりました。「スカート丈が短すぎる。ただでさえ、痩せすぎでみっともないのに」と言われ・・・
 でも、ミニというわけでもないし、太ももは隠れてるんですよ。「ロングブーツと合わせるから大丈夫」と言い返したりするうち、納得してもらいました。

 ただ、そのブーツ、2年くらい前に買ったものだから、サイズが全然合わなくて。
 そういえば、痩せたのは大学に入ってひとり暮らしを始めてから。実家には、サイズが合うものがほとんどないんです。
 仕方がないので、母が見ていない隙に、ブーツなしで出かけちゃいましたけどね。

 同窓会は楽しかったけど、面倒なこともありました。
 ビュッフェ形式のお店だったので、食べないでも済むかなって思ってたのに、例の小中といちばん仲のよかった友達にいろいろと勧められて。
 その子いわく、
「昨日は着物だったから、ここまで痩せてるとは思わなかった。脚とか棒だし、上半身も薄くてぺらっぺらじゃない?もうちょっと太ったほうがいいよ」
 だそうです。
 だから、なるべくカロリーの低いものを選んで食べたけど、明らかに食べすぎ。途中で吐きに行こうかと思ったくらいです。

 その子からのも含めて、体型についての指摘もちょっとわずらわしかったかな。
「痩せたね」とか「ダイエットしたの?」とか、何も言われないのも不安になるけど、正直、鬱陶しかったです。
 なかには体重を聞いてくる子までいて、10キロ近くサバを読んだ数字を言ったのだけど、
「うそ、ありえない。でも、たしかにそうか・・・」
 その瞬間、言ったことを後悔しました。え、私、それくらいの体重に見えてるの? って動揺してしまって。

 そしたら、それを一緒に聞いていた例の友達がそのあと言ってきたんです。
「さっき言ってた体重、あれウソでしょ。私の知り合いにそれくらいの体重の子がいるけど、その子よりずっと細いもん。30キロ、ないよね」
 って。
 おかげでますます心配されてしまったけど、少しホッとしました。

 あと、体重といえば、もうひとつ、こんなこともありました。


(後)

 それはどんなことかというと……

 ひとりの子が小4のとき、クラスで2分の1成人式に合わせて作った文集を持ってきていて。みんなで回し読みをしたんです。
 その子とはそのとき、同じクラスだったから私のページもありました。

「最近ハマっていること」とか「将来なりたいもの」とかのほかに「身長・体重」なんて項目もあって、ほかの子たちはそこで盛り上がってました。

「ええっ? 私、33キロしかなかったんだ」
「ウチなんて、20キロ台だよ」
「今、これの2倍くらいある。さすが、2分の1成人式だね」

 そんなやりとりを耳にしてから、私のところに文集が回ってきたので、ドキドキしながら自分のページを開いたんです。
 そしたら、
 135センチ、27キロ、って。
 身長は20センチ以上伸びてるけど、体重は今と同じくらい。そうか、計算上は小4のときより痩せてるんだなって思いつつ、もしかしたら、ここにいるなかでも、こういうのは私だけだったりして、とも考えました。

 体重的には子供の状態? いや、精神的にもいろいろ子供なんですよね、私。

 そのせいで同窓会、なんとなく居心地が悪かったのかな。成人式でもそんな気分だったし。今の私には合わない場所って気がして、どちらもちょっと馴染めないものを感じていたから。
 きっと私、どちらの場所でも浮いちゃってたんでしょうね。

 でも、痩せたことは後悔してないし、体重ほどは細くないと思うし、太りたいという気持ちはありません。
 ただ、ほかの子とは違う世界にいるような自分がちょっとだけ哀しいような。
 私が身も心も大人になれる日、本当の成人式を迎えるときはいつなのかな、とか、別にそうならなくてもいいや、なんて気持ちが行ったり来たりしています。


(※痩せ姫たちの実話を参考にしながら、ブログ風にまとめたフィクションです)


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