「君たちはどう高く売るか」が日本を変える

2018年7月の金融政策決定会合で、とうとう日銀が2%のインフレ時期を未定にしました。

これは日銀による大規模金融緩和だけでは、日本国内に蔓延したデフレスパイラルの脱却(インフレの達成)にかなりの時間がかかるだろう、という事のようです。

一方、アジアの反対側にある親日国トルコでは、大統領のウルトラC行動などにより、通貨が世界的な信用を失いつつあることから、通貨の暴落がおきました。通貨安⇒物価上昇にはタイムラグが生じることから、トルコでは外国人からするとバーゲンセール状態。世界中の商売人がトルコに押し寄せる事態となっています。大統領自身が「外国人客をおもてなししなさい」等とトンデモ発言するなど金融界隈からの注目の的です。

これを見て日本での商品爆買いの映像と重なりました。

TVなどでは「日本の高性能商品が外国人に人気で爆買いされている」と報道されていますが、たぶん違います。

外国人が日本で爆買いをする理由は、高機能商品が安心して「安く」買えるからです。30年間続いたデフレにより、日本国内での国産品の販売価格が自国で買うのと比較して、とても安いのです。

勿論テレビなどの家電製品は韓国や中国メーカーを中心に異次元の価格で販売しているのですが、その他家電やコスメグッズなどは総じてモノが安く買えるのです。

ではなぜ多く売れているのに価格を高くしないのでしょうか?

それは、これまでの日本の30年間の商習慣が大きく影響していると感じます。ダイエー帝国が一括仕入れ&ロープライスで隆盛を極めだした頃から、流通に対してメーカーは価格対抗ができないのです。

売れているので納入価格を上げます、なんて絶対に言えません。そこでメーカー側が価格の是正を図るための唯一の策は、「新商品」発売です。これが発売時点でのメーカー希望小売価格で販売できる唯一のチャンスです。

しかし、現実には大きなイノベーションと言われるような商品が世に出ることは稀で、多くは大して独自性のないメーカーのエゴに近い新商品ばかりが展開されるため、数か月すると他の製品同様に値引き・特売対象としてたたき売られます。

「安いことは何物にも代えがたい価値」という、こんな現状では日本がデフレから脱却することはありません。

そこで、これからは国内外の人達から「高くても買いたい」商品を拡大させて行く必要があります。そのためにはマーケターが、以下を達成させる必要があります。

①生活者・顧客が求める需要を作り出す

➁営業員や流通業者を巻き込み展開する

③高い価格で販売する

④商品をヒットさせる

つまり、日本のインフレを達成させるうえで最も重要なことは「高くても価値のある商品を一つでも増やしていくこと」に他なりません。

すでにホテル業界では、都内に1泊10万円を超える超高級ホテルの建設が相次いでいて、この動きが見られます。(これは世界的に見て日本のホテルの価格水準が低いことが問題視されており、世界の超富裕層が泊まれる場所を作る必要があったからとも言えます)

そんなわけで全国のマーケターの皆様と一緒に、各社の独自性を活かして、「どうすれば高い価格で売れるか?」にトライしましょう。

そのためには「他社商品よりもココが優れています!」といった安易な比較プレゼンや「これだけコスト競争力のある商品です!」といった目先の誰得なマーケティングプランではない、新しい価値の創造を考える必要があると思います。そのポイントであり障壁は上記の①~④だと考えます。

自社製品が、①~④のどの部分でネックとなって高く売れないのか、是非考えてみてください。

きっと、このマーケターによる取り組みが、今後の観光大国日本を支える資産にもなると考えます。

藤本たぬき


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