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05.05.19 ボタニカルガーデン-光と影を通して見えたもの

2023.05.19 大阪出張のついでに、ずっと行きたいと思っていたteamLABボタニカルガーデンに行ってきました。

開園時間は19:30
時間通りに入り口に行くと多くの人が集まっていました。集まっている人たちは日本人だけでなくアジア系からヨーロッパ系までいろんな国の人たちが観に来ていました。teamLABの凄さを感じると共に、世界はコロナが過去のことになってきているんだなと思いました。


1.生命は連続する光 - ラクウショウ

ゲートをくぐると両側に大きな木々が植わった直線通路でした。下からの照明が幻想的な雰囲気を醸し出すと共に、これから始まる光の世界に引き込まれそうな気持になりました。
動画を見ると季節によって木々の色づき方が変わっているので、訪れる時期によって見える顔が変わっていくことが分かります。

2.呼応するサルスベリ


エントランスを進むと大きな池があり、長い植物園の空間の広さを認識しました。大阪の中之島もそうですが、木々やビルに囲まれた空間から一気に広い空間に抜け出すと、その空の広さを認識することが出来ます。多分それは、いつまでも広がる田舎の空では体感できない空の広さなんだろうと思います。
池を過ぎ、サルスベリの間を通る通路に向かいます。ここは、人を感知して光が点滅するそうです。多くの人たちがいたので、光と暗闇を感じることはありませんでしたが、下面から照らされたサルスベリは幹の白さが際立って、大地の力を吸い込んで立っているようにも見えました。

3.ツバキ園の呼応する小宇宙

青や緑に輝く木々に誘われるように僕はつばき園の中に入りました。
そしてその中には優しく光り輝く卵型の物体。Oviod(オーバル)と言われる物体は触れることもでき、訪れた人たちは触ったり、揺らしたりして触れ合っていました。
木々を照らす照明はコチラとアチラで違ってみたり、いっしょだったり。様々な光が入り混じり幻想的な世界でした。

Ovoidも白濁したようなものから、光の違いがはっきりと分かる透明なモノなどさまざまなものがありました。どの景色もそうですが、光る物体があるからこそ黒く映し出される木々、そしてそのグラデーションが非常に面白かったです。

4.風の中の散逸する鳥の彫刻群

ボタニカルガーデンを象徴する作品がこれです。周辺で飛ぶ鳥を感じ光輝くこの展示物は人工物でありながら自然を表現しようとしていました。鳥が飛ぶエネルギー風が吹くエネルギー。世の中は可視化できるものだけではなく、全てはエネルギーであることを教えてくれます。
人工的な光と手前にある水草や木々の影
人工的な音と鳥や虫、風になびく木々の音
人工物と自然物が交錯しあいながら一つのエネルギーとして僕の前に対峙していました。
自然があるから人工物が生き、人工物を活かすことで自然を感じる
そんなことを教えてくれる作品でした。

5.自立しつつも呼応する生命の森

ユーカリの木々の間をところ狭しと立ち並ぶ大小の物体。こちらも同じ色になったり違った色になったり、さまざまな光の景色をみせてくれました。こちらの作品は木々の影だけでなく、人の影がとても印象的でした。卵型の物体に近づいて写真を撮ってもらう人、物体を押す人、物体のすき間を縫うように駆け抜ける子ども達。
昼間は自然物と触れ合い、夜は人工物と触れ合う。
光と影、自然物と人工物、触れる人と触れられるもの
いろいろな対照をつくるコトで、それらの存在を認識することが出来る。
そんなことを思わせてくれます。

6.具象と抽象そして森に描かれる空書

次の作品は里山の入り口とその先にある空書。
入り口では交差する光が壁になったり、揺らぎになったり・・・
その先を進むと、teamLABが描き続けている空書に出会いました。
空書とは空間に描く書
teamLABがさまざまな場所で空書を作品として残しているそうです。

空書で僕が圧倒されたのは”音”でした。
10m以上の長いスクリーンに筆でえがくように一筆書きの線が目の前でえがかれます。その筆の運びにあわせて音が発せられます。そして、筆の走りにあわせて音も走っていくのです。左端で始まった空書は右に進み僕の眼の前を通り右端まで駆け抜けていきます。それにあわせて、筆遣いを模した音が左から右に駆け抜けていくのです。
視覚だけでなく、聴覚も使った作品に僕は感動しました。

7.大池に浮遊する呼応するランプ



冒険の最後は池に浮遊するランプたちです。
大きな木の周りに多数のランプが浮かびあがり、あたりの景色を優しく照らしてくれます。
”4.風の中の散逸する鳥の彫刻群”と同じ池にある作品ですが、向き合い方が何となく異なることを感じました。鳥の彫刻群は周囲のエネルギーを形にすることで見ている人と対峙する構図でしたが、この作品は光が照らすことで周囲の自然を際立たせ、風の揺らめき、木々の波音、鳥のさえずり、虫の音色、水の波紋といった存在を際立たせてくれています。
そして、いろんな作品を見終わった人たちが柔らかな光に包まれながら、作品を見ている光景は作品を見ているのか自然を見ているのか?
しかし、明らかに違うのは作品と対峙しているのではなく、作品と一体となっているように思えました。

”圧倒的だからこそ力があるもの”
それも大事かもしれませんが
”傍らにあるからこそ大事なもの”
を感じさせてくれる作品のように思えました。

僕は一人で行きましたが、自然物や人工物に囲まれながら光と影など対照することを通していろんなものを感じることが出来ました。そして、最後の作品を通して僕にとっては知らない人たちでもその人たちの暖かさを感じることが出来ました。

パブリックとはこういった空間なんだろうなと思います。
誰もがその場所で受け入れてもらい、誰もが心地よく過ごしていく中で、見ず知らずの誰かの暖かさを感じることが出来る空間

だからこそ、生きている価値を確認することができ、明日のために歩みを進めることが出来るのだろうと思います。そして、パブリックな空間とはそんな場所なんだろうと思いました。

teamLABが照らす光に興味を持ち訪れたボタニカルガーデンでしたが、僕が望むパブリックを再認識することが出来たと同時に、夜の闇を照らすことによる価値をより信じることが出来た時間と空間でした。

この文章は2583文字でした。

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