13.シドニーで過ごすあったかクリスマス
ハリウッド映画のエキストラの仕事が終了して再びニートになったのだが、エキストラの仕事の給料がまだ残っていたので余裕だった。
さて、気がつくとシドニーの街はすっかりクリスマスモードになっていた。
マーティンプレイスやピットストリート、ハイドパークなどの様々な場所でクリスマスツリーが飾られ、東京ほど大規模ではないが、夜になるとイルミネーションが点灯する。
街を歩く人々は、もうすぐ訪れるクリスマスに浮き足立っているような感じもある。
いや、もしかしたら、クリスマスの次の日12月26日に訪れる『ボクシングデー』に浮き足立っているのかもしれない。
ボクシングデーとは、年に一回訪れる、大バーゲンセールのことだ。
オージー達は、この日を一年中待ちわびていると聞いたことがあるが、本当だろうか?
クリスマスの話に戻るが、オーストラリアは日本と真逆の季節なので、クリスマスツリーが飾られていようが、綺麗なイルミネーションが灯ろうが、気温があったかい。
そのため、日本で感じるクリスマスの空気とは全く違っていて、寒いクリスマスしか知らない僕にとっては、すごく変な感じがする。
他にもオーストラリアと日本では、クリスマスの習慣に違いがある。
例えば、日本では恋人がいれば恋人と過ごすことが当たり前だが、オーストラリアでは家族と過ごすのが当たり前だ。
また、日本ではなぜかケンタッキーフライドチキンを食べる人が多いが、オーストラリアでは、まさかそんなことはない。
というか、僕もクリスマスにケンタッキーを食べる習慣はないので、東京でケンタッキーに行列ができるクリスマスを見て、度肝を抜いたことがある。
さらに、日本では生クリームやチョコレートケーキ、ブッシュドノエルを食べることが多いが、オーストラリアでは、リキュールフルーツケーキや、ブラックフォレストケーキと呼ばれるチェリーのケーキや、器の中にスポンジケーキやフルーツを詰め込んだトライフルなどが鮮やかにテーブルを飾ります。
ケーキ以外では、シュトレンやパントーネなど、フルーツやナッツの入った菓子パンも人気だ。
サンタクロースは普通トナカイがソリを引きながらやってくるが、オーストラリアのサンタクロースは、サーフボードに乗って軽快にやってくる。
クリスマス当日にビーチに行けば、たくさんのサンタクロースがいるので、もしクリスマスにオーストラリアに行く機会があれば、ぜひ体験してほしい。
僕はというと、エキストラの仕事が終わってから、シドニーの中心にある『YHA』というユースホステルに宿泊しながら、ダラダラと暮らしていた。
一応、12月24、25日は予定が入っており、24日は友人と『セントメアリー大聖堂』という教会のプロジェクションマッピングを。
25日には、エキストラの仕事で仲良くなった友人達とクリスマスホームパーティに参加することになっていた。
12月24日
12月24日、友人とセントメアリー大聖堂のプロジェクションマッピングを見に行った。
セントメアリー大聖堂というのは、シドニーを代表する教会の一つで、ローマ・カトリックのゴシック・リヴァイヴァル建築による大聖堂である。
教会内にも自由に出入りすることができるのだが、僕は初めてこの教会に入った時、背筋がピンとなり、頭のてっぺんから魂が抜けるような、なんとも言えない感覚を覚えた。
心がスッと落ち着いた。
外観はグンと天に伸びるようにそびえ立っており、大きくて存在感のある建物だ。
その大きな壁面に、音楽とともにプロジェクションマッピングが映し出され、幻想的な世界が演出される。
1公演30分ほどで終了し、一晩に何回か上映される。
恋人と一緒でなかったことが残念だが、クリスマスを教会で過ごすことは日本でなかなかないことだし、一生の思い出になっている。
ちなみにこれがセントメアリー大聖堂のプロジェクションマッピングだ。下の方に人がいるのだが、どれだけ天に伸びているかがわかるだろう。
この後は大人しくホステルに帰った。
・・・その日の深夜のことだ。
ホステルは6人部屋で、2段ベッドが3つあり、僕は上の段で眠っていた。
同じ部屋の、僕の2段ベッドの下の段を使っているヨーロピアンのメンズが帰ってきたのだが、どうやら一人ではないらしい。
ヒソヒソ声で話をしながら、一緒にベッドに入った。
まあ今日は聖なる夜だし、こういうこともあるだろう。
と思ったのだが、どうやら相手も男のようで、しかもコトに及び出したのだ。
聖なる夜、僕は2段ベッドの上の段で、下の段でコトに及ぶ男同士のヤラシイ声と音を聴かせられながら、性なる夜を過ごした。
12月25日
クリスマス当日、この日はエキストラの仕事で仲良くなった友人のシェアハウスで行われるホームパーティにお呼ばれしており、同じくエキストラの仕事で仲良くなった友人たちと参加させてもらった。
そしてクリスマスということで、この日はホステルではなく、少し良いホテル(サービスアパートメント)に泊まることにした。
日本とは逆で、オーストラリアではクリスマスを家で家族と過ごす人が多いため、ホテルは逆に安くなるのだ。
ちなみに、シェアハウスの人たちは全員女性と聞いていたため、もしかすると何かあるかもしれないと思ってホテルを取ったという、やましい気持ちが少なからずあったのはここだけの内緒にしてほしい。
確か1泊90ドルほどだった。
夜、友人と待ち合わせをして、主催者のお家にお邪魔した。
お酒を飲み、プレゼント交換をしたりして楽しい時間を過ごした後、みんなでカラオケに繰り出した。
ちなみにオーストラリアでカラオケというと、キャバクラのことを指すことが多いが、僕たちが行ったのは、日本と同じカラオケの方だ。
シドニーでも歌うためのカラオケ店が何店舗かあり、大抵は韓国人や中国人が経営していることが多いのだが、日本の歌も普通に入っている。
深夜までカラオケを楽しみ、解散することになった。
深夜のクリスマスの街は、パブやクラブ帰りの人たちで賑わっていた。
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