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日本はどこを目指すべきなのか。

アルゼンチン優勝。カタールW杯はメッシ選手の大会になりました。そして、改めて「個の力」が着目されたのではないでしょうか。もちろん、メッシ選手の活躍を可能にしたのは他のプレイヤーの存在であり、総合力でアルゼンチンは勝ちました。しかし、メッシ選手の存在がチームを作ったとも言えます。日本が優勝するためにはメッシ選手のようなプレイヤーが誕生するのを待つしかないのでしょうか。

日本のサッカー界

日本サッカー協会(JFA)は「JFAの約束2050」の中で【2050年までにW杯の日本開催およびその大会で優勝国になる】ことを約束しています。そして、そのために「JFAの目標2030」の中で【2030年までに世界でTOP3の組織になる】ことを掲げています。「JFAの約束2015」の中の【世界でTOP10のチームになる】は達成できませんでした。

逆に言うと、そんな悠長なことを言っているから、世界のトップとの差が開いているとも言えます。そもそも「JFAの約束2015」が果たされていない時点で、改めて軌道修正すべきです。

よくスポーツ業界では、普及・育成・強化に分けて考えられます。サッカー協会の方がおっしゃっていました。「キッズが回れば全てが回る」普及が進めば育成・強化にも好循環が生まれるということだと思います。

しかし、結果論ではありますが、2002年の日韓W杯で得た利益を「普及」に回し過ぎたのではないでしょうか。サッカー文化の醸成は確かに大事ですが、どこかミーハーな国民性(ef.日本代表vsPSG)を考えると「強化」への投資も大事ですし、スポンサーに依存しない、自立したクラブ運営のための土台形成こそ大事だったとも考えることができます。

そして、やっぱり日本は個性を潰してしまっていると今大会を通じて感じました。久保選手が仰っていた「チームには貢献できたけどやりたいことができなかった」がすべてな気がします。もちろん久保選手が仰るように「そこまで(個を発揮できるレベルに)達していなかった」のかもしれません。

私はそこに、日本のダメな部分が出てしまったのではないかと考えています。まるで日本の教育のようです。協調性を大事にする文化が、スポーツ界に当てはまっているのではないでしょうか。

日本はどこを目指すべきなのか。
【個人目線とチーム目線】

世界との差はやはり"個"です。三笘選手を切り札にするのではなくて、全員が切り札であればいい。

本来、各々の個性を最大限に発揮した結果としての勝利が理想だと思います。しかし今大会では、「やりたいプレーができなかった」という選手が他にもいるかもしれません。

ただし、監督目線で言うと、チームの勝利という結果を出さなければなりません。選手のスキルを手段として勝利という目的を果たす必要があります。選手のできること(Can)を戦術に落とし込む。その際には選手のやりたいこと(Want)の犠牲も厭わない。勝つこと(Must)が大前提です。

選手(player/本気で遊ぶ人)
目的:個性の発揮
手段:戦術(個性を発揮するための)

監督(coach/勝利に導く人)
目的:戦術(チームを勝たせるための)
手段:個性の発揮

今回のW杯の場合、チーム戦術が個性を潰した面もあります。選手が個性を活かせる場になるように奏でる指揮者が監督。その個性を最大限に発揮させることができず、調和を図ったのが今回のオーケストラ。そして、ソロパートが三笘選手のみでした。

ただ、各々の個性が足りなかっただけかもしれません。前線のスピードを活かした攻めと守り。その点では強みを活かした戦術とも言えます。

日本はどこを目指すべきなのか。【sports→SPORT推進】

こういう言い方はあまり好きではないのですが、世界との差は"お金"です。マーケティングやビジネスの面、もちろん給与の面でも、あらゆる面で差があります。世界一のクラブづくり、世界一のリーグづくりを目指すこともやはり大事です。市場としての土台(文化)が整っていないのは分かりますが、今着手しないと日本のスポーツ界は衰退の一途を辿ると思います。2020五輪が終わった今、危機的な状況にあるのではないでしょうか。これはもはやサッカー界の問題ではなく、日本のスポーツ界全体の課題でもあります。各競技の枠組み(sports)を越えて、スポーツ界全体、更にいうとスポーツに関わる全事業(SPORT)という視点での取り組みが大事です。「sports推進」ではなくて「SPORT推進」。「サッカー」だけではなくて「スポーツ」という枠での取り組み。皆様、あらゆる掛け算を生み出していきましょう。

VISIONがブレなければいくらでも枝葉があっても良い。枝葉(個性)がカオスであっても、全体として美しければ良い。感情(個性)と思考(戦術)の掛け算を繰り返す。

これを狭く、そして広く行いませんか

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