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【SS】赤いひと

 月いちのペースでゾンビ夜会が続いている。
 街を歩いていて、手の甲に黄色いバッテンのある人をみかけると、つい声をかけてしまう。
 集まる公園は不定期に変更する。周囲にカミングアウトしている人は少ないので、ゾンビが集会をしていること、ましてや自分がそれに参加していることがバレると大変だ。
 声をかけるのも慎重にならざるを得ないが、最近、困ったことになっている。ドクターに相談してみた。
「先生。どうですか私の脳波」
「ぴくりとも動きません。完全に停止してます」
「そうですか……ところで、最近ちょっと気になっていることがあって」
「なんでしょう」
「街でに赤いバッテンをしている人を見かけるんですけど、筆跡が先生にそっくりなんですよ」
「ああ、あの人たちもゾンビですよ」
「そうなんですか。じゃあ、夜会に誘おうかなあ」
「やめたほうがいいと思いますね。臭いに耐えられないでしょう」
「臭い?」
「あなたがた黄色バッテンの人は脳波停止組ですが、赤バッテンは心臓が停止してだんだん腐ってきている人たちなんですよ」
「うわ」
「それに、彼らは彼らで冷凍倉庫で暮らして、冷凍倉庫で夜会を開いているから大丈夫」
 どこが大丈夫なんだ。

(了)

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