「すこし痩せましたか」
「はい。一日二食にしているので」
「ははあ。よく我慢できますな。なんにしろよかったですね。血液検査の値はずいぶん改善してますよ。中性脂肪も減っているし。このまま体重が増えないように維持してください」
「ありがとうございます」
「心電図は……とくに異常はないですね。これは超音波検査ですが、内臓関係に気になるところはないです。大腸癌と肺がんもありませんね」
「よかった」
「脳波は、あれ、脳波は」
　医者が突然、ドタバタっと立ち上がり、数人がかりで医療機械を持ち込んできた。
「ちょっと脳波を計りますから」
　ぴー。
「え？」
「脳波がないですね」
「どういうことですか」
「わかりません。死んではいないが、生きてもいない状態です」
　医者が書いてくれた診断書は「ゾンビ化」だった。
　会社に提出していいものかどうか迷っている。

（了）

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