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「9月入学」問題における「未就学児を大切にする」視点:未就学児のお友だち関係・健やかな就園環境は高校生の青春と同じ重み

9月入学に対する個人的態度

昨今の新型コロナウイルス問題に伴い、小学生以上の学習の遅れ、地域格差などが問題となっています。その対応案として、「9月入学」が政府で検討されることとなりました。

9月入学の賛否はここでは扱いません。9月入学の是非については、メリット・デメリットについて「国民的な議論を行ったうえでの判断」に委ねられるべき問題であり、この記事の目的は、その是非を論じることではありません。

私が伝えたいことは、9月入学に賛成をしていても反対をしていても、「未就学児を9月入学の調整弁にしないで!」、「未就学児を大切にして!」という親としてのお願いです。

昨今の「9月入学」に関する議論を見ている限り、小学生以上、特に受験を控えた学年のみが検討・考慮される対象となっていることに、強い懸念と憤りを感じています。現状、政府からも文部科学省からも、具体的な「9月入学案」については示されていません。だからこそ、今のタイミングで「未就学児の保護者」が声を上げることが絶対に必要だと思っています。普段は基本的に政治問題にはあまり関与したくないと思っています。しかし、一人の親として、どうしても「子どものお友だち関係・健やかな就園環境」を守りたいと強く思い、記事を書かせていただきます。

9月入学が実施された場合の学年の区切り

9月入学が実施された場合の学年の区切りについては、政府(文部科学省)案は明らかにされていませんが、現時点で下記3つが考えられると言われています。

パターン1
<学年の区切りを一新する>
 9月2日~9月1日生まれが同じ学年
  → 学年のメンバーがぐちゃぐちゃになる。

パターン2
<2021年度の新小1から変える>
 新小2以上…4月2日~4月1日生まれが同じ学年
 新小1…2014年4月2日~2015年9月1日生まれ
  → 新小1の人数がかなり増える。2020年度の年中の子も小学校に入学することになってしまう。

パターン3
<学年の区切りは変えない>
 現行のまま(4月2日~4月1日生まれが同じ学年)9月新学期にスライドする
  → 半年間ずれるだけ

出典:9月入学になったら幼稚園・保育園はどうなる?新小1の人数が爆増でヤバい!?
参考:末冨芳「【9月入学は政治災害になりかねない】新1年激増?、学びの空白、超少子化加速【子ども若者の混乱と犠牲】


これらはすべて「小学校」を起点に考えられています。その結果、現在の幼稚園児・保育園児は「パターン3」にならない限り、お友だちとの分断が生じてしまいます。

未就学児が「9月入学の調整弁」にされる

我が家の娘は、幼稚園が大好きです。お友だちと遊ぶことが本当に楽しくて仕方がないそうです。「ディズニーランドに行くために幼稚園をお休みするくらいなら、ディズニーランドには行かない」と言うくらい大好きです。

「9月入学」が検討されているなか、未就学児に生じる可能性のある課題についてはほとんど議論に上がっていません。このまま、未就学児に及ぼす影響について取り上げられずに、何より検討すらされずに「9月入学」が進められてしまうことだけは、断固避けなくてはいけないと一人の親として強く思っています。最悪の場合、未就学児が「9月入学の調整弁」とされかねないとも思っています。

「9月入学」が高校生たちの「青春を!」という声ではじまったのであれば、「9月入学」を導入するとしても、「未就学児のお友だち関係を壊さないで!」という抗議は当然してしかるべきです。しかし、残念なことに、我が家の娘を含め、未就学児は自分たちが何に巻き込まれようとしているのかさえわかっていない状況です。ある日、気づいたら、「お友だちとの分断」がなされてしまう可能性があります。

もしも、「9月入学」によって未就学児のお友だち関係が破壊されることがあったとしたら、それはあまりにも子どもにとっては理不尽なことです。
このようなことは絶対にあってはなりません。

未就学児も大切な国民の一人です。日本の将来を担う国民であるとともに、今は守るべき弱者です。

最初にも書きましたが、私は、「9月入学」はメリット・デメリットがあるため、賛否は国民的議論にゆだねられるべき問題という立場です。しかし、仮に「9月入学」を実施するにしても、すでに「既存の学年体系」に組み込まれて、そこで生活を送っている未就学児に犠牲を強いることは、絶対にあってはなりません。何より、一人の親として許せません。

幼い子どもには、もちろん適応力が高いお子さんもいますが、そうでないお子さんもいます。幼稚園に入園して1年たっても、長期休暇後などは母子分離がうまくいかないお子さんもいます。少なからず、どのようなお子さんにとっても環境の変化が与える影響は大人が想像する以上に大きいと、子どもを見ていて思います。また、何より、お友だちとの「分断」は上述の年中児の娘の問題だけでなく、すべての未就学児に関わってくる問題です。

今年2歳になる息子にも、保育園の「お友だち」はいます。今年3歳になるお子さんも、4歳になるお子さんにもお友だちがいます。急に「学年」の組み換えが行われた場合、子どもたちはどう受け止めたら良いのでしょうか。
大人の理屈は、子どもであるがゆえに、伝わりません。

「9月入学」の導入の可否、詳細は未定ですが、政府や文部科学省は、未就学児のことをきちんと考えてくれているのでしょうか。昨今の議論をみる限り、未就学児が「9月入学の調整弁」にされるのではないかと非常に心配をしています。

私は一人の親として、子どもが毎日楽しく元気に過ごせることを切に願っています。それが今、不必要に脅かされる可能性に瀕しています。上述の私の思いは、私個人のものですが、未就学児の保護者の方は、きっと同じご心配をされていることと思います。


どうか、現在の「9月入学」の議論を、小学生以上だけでなく、すべての子どもを視野に入れた適切なものとしてください。どうか、9月入学問題に際して、「未就学児を調整弁にしないでください」、「未就学児を大切にしてください」。

どうか日本社会が、「9月入学」について議論をするに際して、「未就学児を大切にする」という点で一つにまとまってくれることを一人の未就学児の保護者として切に願います。

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