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自分とそばにいるだれかのためのサボり飯(ごろごろレッドタイカレー)

カレーだけだから、野菜も鶏モモ肉も、ごろんと切って、たっぷり入れた。からいけれど、野菜とココナッツミルクの甘みで、どんどん食べられてしまう。

食事についてがんばらない日が5日くらい続いている。
だいたい丼物とか、お茶漬けとか、つくりおきの副菜をちょこっとつけてはいおしまい、という献立が多い。とにかく作るのも食べるのも片付けるのも楽なのがいい。

こんなとき、カレーは天才だ。野菜がたっぷり入れられて、それぞれがルーのなかでしっかりとまとまるから、一皿で完結しても大満足。

家で細々やっと食えるくらいの仕事しかしないし、子供もいないから子育てもないし、同居人のうめは片付けや洗濯を率先してやってくれる。そんなわたしの『忙しい』など世の中の人にとって、むしろ時間がたっぷりあるくらいの感じだと思う。でもわたくしてきにそれなりに数日忙しい。それに生理前で体調も悪いし、精神的にも鬱々となりがちなのである。

わたしは努めて、忙しい時やしんどい時は、がんばって家事をしないことにしている。

わたしはキャパがせまく、いろんなことを一度にやろうとするとあたふたして結局何も手につかないし、自分ががんばっている(というか、空回りしている)と、他人ががんばっていないことに腹が立ってきてしまう。その人は裏ではとてもがんばっているかもしれないのに、自分だけがつらくて、自分だけががまんしているような気がしてくるのだ。そして態度や口ぶりのはしばしに、そういういやーな自分がじわじわにじみ出てしまう。

だから、忙しかったり余裕がなかったりするときは、とりあえずひとつのものごと(仕事とか、人間関係とか)に的を絞ったら、もうそれ以外はとことんがんばらないほうがいいのだ。

優先順位とはちょっとちがう気がする。順位をつけてやるのではなく、ひとつだけ決めて、それだけに絞る。それ以外は切り捨てるか、家事とか仕事みたいに切り捨てられないことなら、極力とりつくろってサボるのである。

いろいろがんばって不機嫌をまき散らすくらいなら、何もせずにダメダメなわたしのままで上機嫌でいたい。
罪悪感に押しつぶされて謎の悲壮感をかもし出すくらいなら、あっけらかんと笑っているほうがいい。

わたしの母は、忙しくなると、もろに顔や態度に出るタイプだった。今思えば八つ当たりも多分にあったけれど、いつも自分が母を怒らせているのだと、いつもいつも気にしていた。しかも、なぜか不機嫌な母と一緒にいると、不機嫌な母よりさらに不機嫌になってしまうのだ。たぶんその場の空気とか雰囲気にものすごく影響を受けやすいのだと思う。2人してぶす暮れた、わたしたちは似た者親子だった。
たとえそこが高級温泉旅館のスイートだろうが、ドバイのブルジュハリファのてっぺんだろうが、それがたとえ石油王ばりの金持ちであったとしても、となりに不機嫌な人がいたらわたしにとってそこは地獄だ。
不機嫌な人といるくらいなら貧乏でも何もうまくいかなくても、上機嫌なほうがいいのだ。気持ちが楽しければ、そこは天国なのである。

というわけで、長くなったけれどとにかくカレーだ。
しかも、タイカレー(今日はレッドカレー)。日本のカレーは煮込んだほうがおいしいけれど、タイカレーなどのエスニックカレーは日本のそれよりさっとできて、しかもとてもおいしい。
ルーは、スーパーや輸入食材店で手に入る。わたしは「メープロイ」というシリーズが好きでよく買う。赤、黄、緑と三種類あって、どれもスパイスが利いていてとてもおいしいのだ。野菜は、タイカレーと言えばナスやたけのこ、ベビーコーンなどが入っているイメージがあるけれど、たいがいなんでもおいしくできる。今日は安かった万願寺唐辛子(甘長)をごろっと切って入れた。見た目も、大きな唐辛子だから、エスニックな感じでとてもいい。

タイカレー我が家流の作り方では、ルーは指定の量の2/3しか使わない。残りは、炒め物や残り物のリメイクの際に使うのでとっておく。
なぜかというと、レシピ通りに作ってしまうとかなり味がしょっぱく感じるからだ。辛さも減ってしまうので、補強のために唐辛子を2本ほど足すとバランスがよくなる。
ルーを少し控えめにして、味を調えるときに、ナンプラーと、少しの砂糖を加えると、うまみが強く、日本人でもおいしく食べやすくなる。ごはんに合う味、という感じ。

タイ米は、炊飯器で炊いてしまう。水を控えめにして、浸水なし、早炊きで完璧、なのでタイ米もさぼり飯には最適だ。

コクのあるさらさらのルーが、ふんわり軽く炊きあがったタイ米に絡んで、最高においしい。具材が多すぎてやや邪道かもしれないけれど、タイと日本のあいのこという感じで、わたしは好きだ。

残りは、夜、豆乳と水で伸ばし、タイカレーうどんにしてこれまた適当においしく食べた。うーん、カレーと炭水化物、やはりえらいのである。


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