見出し画像

「EOS R5」個人インプレッション〜②鉄道写真編〜

ここから、キヤノンのフルサイズミラーレスが一気に加速する。

2020年2月に開発発表、同年7月に発売された「EOS R5」。
登場当時はEOS史上最高画質であり、初代EOS Rからのブラッシュアップと新機能搭載など、注目点は数えきれないほど。

昨年(2021年)10月に、キヤノンフォトサークルのモニターレンタルで当選し、2週間試用のチャンスをいただきました。
今回は、この期間中に撮影した内、「鉄道撮影編」として紹介します。
なお、撮影は2021年10月です。(この中に、現在引退した車両も含まれます)

※EOS R5の「外観」については、下記リンクより記事をご覧ください。

一番の目的は「SERVO AF」モード+高速連写の性能確認

高速で走り抜ける鉄道。
これを如何にブレず、しかも確実にフレームに収めるとなると、動体追尾AFと高速連写の2要素が必須。
動体追尾AFでは、キヤノンでは「SERVO AF」というモードが用意されています。(一眼レフでは「AI SERVO」という名称です)
高速連写では、 R5では2モード用意されています。
メカシャッター使用時では「高速連写」は最高8.0コマ/秒、「高速連写+」だと最高12コマ/秒とフルサイズの域では高速です。

試用期間中、SERVO AF&高速連写+に設定した上で、3つの性格の異なる路線を撮影しました。
念のため、電子シャッターは使用していません。
また、私はキヤノン機で撮影する場合、「親指AF」で行っています。

※各画像には説明と共に、使用レンズ・EXIF情報の一部を載せています

千里中央付近を走行の地下鉄車両を撮影

大阪の大動脈・御堂筋&新御堂筋を中心に走る大阪メトロ御堂筋線と、北大阪急行。
最高速度が70km/hと決して速くないですが、地上を走る区間では撮影スポットの一つである歩道橋からバラエティに富んだ車両たちを撮影しました。

撮影当時、ポイントサービス「Osaka Point」PRラッピング車の30000系
RF24-105mm F4L IS USM
ISO800 F4.0 1/1000sec. 105mm
こちらは御堂筋線で長年走ってきた10A系車両の最終編成
(2022年7月運転終了)
RF24-105mm F4L IS USM
ISO800 F4.0 1/1000sec. 74mm
こちらは北大阪急行「ポールスター」8000形
RF24-105mm F4L IS USM
ISO800 F4.0 1/1000sec. 70mm
北大阪急行の最新型「ポールスターII」9000形
車体全体にラッピングされている編成です
RF24-105mm F4L IS USM
ISO800 F4.0 1/1000sec. 65mm

共通するのは、最高速度70km/hでもサーボAFの追従性はよかったです。
希に被写体の検出が外れることはありますが、基本的に追従性は良くピントは合っていますので問題ないと思います。

ただし、大阪メトロの新型に搭載されているLED式行先表示は1/125sec.より速いシャッターだと横に切れるという事象が発生します。
今回は高速シャッタ&高速連写により、写る車両を"ピタッと"止めることが目的ですので無視します。
(LED表示の切れを防ぐには「ズーム流し」という撮影技法が必要になります)

高速で駆け抜ける阪急京都線

京都府長岡京市の通称「名神クロス」付近を走行する「コウペンちゃん号」
RF70-200mm F2.8L IS USM
ISO320 F14 1/250sec. 111mm
©️るるてあ ©️HANKYU

阪急京都本線・西山天王山〜大山崎の通称「名神クロス」付近。
名神高速及び府道の陸橋とオーバークロスする場所で、撮影場所として有名です。
線路からかなり遠いですが、編成全体と風景の両方を絡めることができます。
かなり遠い場所からでも、サーボAFは被写体(車両の前面)を中心に追従してくれます。

ちなみにこの車両、行先表示のLED装置が1/250秒を超えると切れるため、
1/250秒で被写体の動きに合わせてカメラを動かしています。

本来なら「流し撮り」の要領で「ワンショットAF」にして測距点固定がよかったのかもしれませんが…個人的にはサーボAFでも撮れていたので良かったとは思います。

続いては、西向日駅にて高速連写の写真

西向日駅にて、大阪梅田ゆきの「京とれいん雅洛」
RF24-105mm F4L IS USM
ISO800 F7.1 1/800sec. 58mm
西向日駅にて、大阪梅田ゆきの「京とれいん雅洛」を後追い
RF24-105mm F4L IS USM
ISO800 F7.1 1/800sec. 58mm

↓高速連写したときの画像のまとめ

「京とれいん雅楽」を高速連写したまとめ画像
(高速連写+モードにて撮影)

鉄道の場合はレールに沿って走行するため、あらかじめ遠目に測距開始点を設定し、近づいたところで親指AFを行えば車両の先頭部を追従してくれます。
この付近は特急が最高速度115km/hで走行するのですが、そこでもサーボAFの効きは良好です。
後追い(通過した車両を後ろ向きで追従する)も問題なく追従しています。
メカシャッターを使用していましたので、車両の"歪み"などがほぼなく、キレイにまとまっています。

ちなみに、LED表示の"切れ"を抑える目的で、シャッタースピードを1/800秒にしています。(1/1000秒で切れることがあったため)

京都の路面電車を中望遠で

嵐山へ向かう希少な看板車のモボ301
RF70-200mm F2.8L IS USM
ISO250 F2.8 1/500sec. 70mm
モボ301を後追い撮影
RF70-200mm F2.8L IS USM
ISO250 F2.8 1/500sec. 115mm
生八橋「夕子」ラッピング広告のモボ632
RF70-200mm F2.8L IS USM
ISO640 F2.8 1/800sec. 200mm
生八橋「夕子」ラッピング広告のモボ632
RF70-200mm F2.8L IS USM
ISO640 F2.8 1/800sec. 70mm
姉妹提携先の江ノ島電鉄とのコラボ「江ノ電号」モボ631
RF70-200mm F2.8L IS USM
ISO640 F2.8 1/800sec. 70mm

京都市の西部を走る路面電車「嵐電(らんでん)」
こちらは道路の制限速度に合わせて最高時速40km/hと遅めですが、一度撮ってみたいと思い西大路三条へやってきました。
ここでの使用レンズは全て「RF70-200mm F2.8L IS USM」です。
※このレンズは別途、ビデオエイペックス様よりレンタルしました

前述の阪急京都線での撮影と同様、あらかじめ測距開始点を設定し、親指AFで高速連写+で撮影しています。
時速40km/hでも、電車の前面を追従してくれています。

絞り値をF2.8としているのは、夕方の時間帯かつ逆光(後追い時)だったと同時に、電車以外の被写体をできるだけ"ボカす"ことができるか試したかったためです。
ボケ具合は、並行する自動車のナンバープレートで判断できればと思っています。

※RF70-200mm F2.8L IS USMについては、別途紹介いたします。

結論

一眼レフ機及び初代EOS Rを使ったことがないので単純比較はできませんが、SERVO AFの効きはかなり良くなっており、連写速度もミラーがない分高速になっています。
被写体の移動速度に関係なく、鉄道の車両前面にピントを合わせ続けています。程よい"食い付き"です。

R5とRF24-105mm F4L及びRF70-200mm F2.8Lとの組み合わせも申し分なく、ボディとレンズの重量バランスが良く手持ち撮影も問題ありません。
ただし、2kgちょっとになるので、重いのは嫌だという方にはお勧めできませんが…

高速移動する被写体を電子シャッターで撮影すると、特有の"歪み"が発生するため、今回はメカシャッターのみでの撮影でした。
試しても良かったのですが、滅多に走らない車両を撮るため半ば"本番"のような感じでした。
私としては、フルサイズで秒間最高12コマは十分な連写速度と考えています。
新幹線・モータースポーツなど300km/h以上出る被写体では、もっと必要なのかもしれませんが…

とにかく一眼レフ機よりも軽く、高速連写とサーボAFなど性能向上が図られたミラーレスならではの"恩恵"を、EOS R5では問題なく受けられるものと思っています。

次回はR5の「顔AF」機能について。
私の業務の一環で撮影させていただいた、大ホールでのライブ撮影について紹介いたします。

お読みいただき、ありがとうございました。
よろしければ「スキ!」、もしくはご意見・ご感想などお送りいただけると幸いです。

私自身の作品づくりはもちろん、カメラや写真の明るい未来を信じて活動します。 いただいたサポートは、喜んで有効に使わせていただきます。