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ふくちにっき(旅)

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㉖Do widzenia Polska.”さよならポーランド”(2018/7月)

㉖Do widzenia Polska.”さよならポーランド”(2018/7月)

ポーランドのタクシーは、ふっかけられることがあるとネットでみかけていた。しかし泊った修道院に聞くと、空港までならタクシーが一番近くて早いらしいので、タクシーを呼んでもらうことにした。ちなみに、一人旅で今までタクシーに乗ったことがない。(いつも公共交通を利用していた)

で、実はもう現地通貨がなくて、カードも使えないって言われて、ユーロ払いでOKだと言われた。乗りながら値段を聞いたら、やはり相場(事

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㉒カジミェシュ地区とJewish Culture Festival (2018/6月)

㉒カジミェシュ地区とJewish Culture Festival (2018/6月)

アウシュヴィッツ編を終わらせたら満足してすっかり忘れていたが、ポーランド旅行記のまだ途中だった…
ポーランドの良さを伝えるはずが、暗い日記が続いてしまっていた…

泊まってみたかった修道院が土日にとれなくて、平日まで待つために、帰りのドイツ滞在を減らして、クラクフに長めに滞在することにした。

クラクフは、アウシュヴィッツ編に入る前に書いたように、昼間でも夢の国のように綺麗だったが、まずは、旧市街

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⑳まとめ Auschwitz-Birkenau編13

⑳まとめ Auschwitz-Birkenau編13

なんだかすっかり長くなってしまった。
たかだか半日(6時間程度)見学した内容だったのだが、実際見た想いや恐怖による強烈な好奇心に駆られて調べていたら、すっかりアウシュヴィッツ編だけで10記事以上になってしまった。(これでもだいぶ削ったのだが…)

書いている途中、調べたりして補填した知識もかなりあるが、基本的には行った時に感じたそのまま感覚を書く様にした。そして、中谷さんがガイドしてくれた場所をな

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⑲顔のない怪物(2018/6月) Auschwitz-Birkenau編12

⑲顔のない怪物(2018/6月) Auschwitz-Birkenau編12

もし、ヨーロッパ人が、ドイツ人が、ナチ労働者党が、いや、アドルフ・ヒトラーが全て悪いのだと思えたら、心穏やかにいれたのだろう。
学生の頃の愚かな私は、ホロコーストに関しては、ヒトラーが諸悪の根源だと思っていた。
大人になって、人間の歴史は、神話のように、一人の人間だけで全てが動くのではないということを知った。

(※Auschwitz Memorial and Museum/instagramより

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⑱人を残忍にするシステム(2018/6月) Auschwitz-Birkenau編11

⑱人を残忍にするシステム(2018/6月) Auschwitz-Birkenau編11

伊藤計劃の『虐殺器官』というSF小説がある。
その小説では、”虐殺の文法”を使った言葉が脳にある特定のモジュールに作用し、虐殺を誘引する、というもの。

案内してもらっている間に、中谷さんは何度か問いかけてきたのが、
なぜ、当時、医学や学術など文化水準が高いドイツで、このようなことが起きたのか…と。
そして、囚人の中にもカポ(監視役)というヒエラルキーを作り、それによりさらに劣悪な環境に陥っていた

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⑰アンネのいた場所(2018/6月) Auschwitz-Birkenau編10

⑰アンネのいた場所(2018/6月) Auschwitz-Birkenau編10

数年前に、オランダ・アムステルダムでアンネの隠れ家を見学しようと思い、午前中にも関わらず、すでにかなり伸びた列に並んだことがあった。
並びながら、でも私は、アンネの日記を読んでいないんだよな…と後ろめたい気持ちになり、
そんな気持ちを察したのか、通り雨が降り始め、私は列から離れて別の場所へと向かってしまった。
アムステルダムを離れる前に、運河から少し入ったところで偶然出くわしたアンネの小さな像を見

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⑮クレマトリウム(2018/6月) Auschwitz-Birkenau編8

⑮クレマトリウム(2018/6月) Auschwitz-Birkenau編8

クレマトリウム(crematorium)とは、英語で火葬場という意味だが、ガス室と焼却炉が一体となった建物のことをアウシュヴィッツでは総称して”クレマトリウム”と呼んでいる。
日本だと、ガス室(gas chamber)という名前で通っている

アウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所には、5基のクレマトリウムがあった。

1番初めに作られたのがアウシュヴィッツにある1号基。
その約一年後、ビルケナウ

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⑯墓石のない墓地(2018/6月)Auschwitz-Birkenau編9

⑯墓石のない墓地(2018/6月)Auschwitz-Birkenau編9

アウシュヴィッツ第一収容所と第二収容所のビルケナウは約3km離れている。
現在は、2つの間は、30分毎に無料のシャトルバスが出ているので、それに乗りビルケナウへ。

ポーランドの地名は、ブジェジンカ村という湿地帯の土地。
そもそもこの地域(オシフィエンチム)は、戦前から鉄道の要衝であり、鉄道輸送の合流点であったことが、3つの巨大な強制収容所(今はないが第三収容所もあった)がつくられた一要因となった

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⓮歴史修正主義(余談) Auschwitz-Birkenau編7

⓮歴史修正主義(余談) Auschwitz-Birkenau編7

大学のころ、単位が楽に取れるという理由で文化人類学の授業を取っていた。
遅刻して、大きな講堂の1番後ろの席に着くと、ちょうど室内が暗くなりスライドが下され映像が流れ始めた。
赤と黒の強い色彩が画面に映り、白人の坊主頭の若者たちが右手を挙げ叫んでいた。
別に暴力映像でもないのに、赤と黒とスローガンの様に腹の底に響くような声が不穏で、なんだか恐怖を感じた。
それが私にとって、初めて見るネオナチだった

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⑬コルベ神父(2018/6月) Auschwitz-Birkenau編6

⑬コルベ神父(2018/6月) Auschwitz-Birkenau編6

高校の倫理の授業で、コルベ神父のことを初めて聞いた。
不思議なことに、仏教の章で、菩薩は実在するのかというところでの話だった。

アウシュヴィッツと聞くと、歴史や文学よりも、その倫理の授業を思い出す。
その時、私は心を動かされ、ノートの隅に、その情景のイラストを簡単に描いていた。
その頃の私は、ナチスと言えば、イコールでヒトラーだったので、ヒトラーの憤慨した顔を描き”餓死刑(ともぐい)”と書き、相

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⑫黄色い星(2018/6月) Auschwitz-Birkenau編5

⑫黄色い星(2018/6月) Auschwitz-Birkenau編5

ナチス政権下、満6歳以上になると、ユダヤ人とわかるように黄色い三角形を重ねて星型にしたワッペンを常に付けることを法律で義務付けられたのは、アンネの日記の序盤にも出てくる。
それのせいで、お店や公共施設や公園にも入れず、公共の乗り物や自転車さえ乗れなくなり、外出時間の制限までされる。

(※映画『黄色い星の子どもたち』から/Menemsha Films)

そして、そのすぐ後には、それを目印にゲッ

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⑪遺されたカタチ(2018/6月) Auschwitz-Birkenau編4

⑪遺されたカタチ(2018/6月) Auschwitz-Birkenau編4

アウシュヴィッツの中で有名な展示物に、大量の収奪品(遺留品)がある。

大量のメガネ、大量の義足、大量の食器、大量のカバン、大量の靴…大量の毛髪
とにかく大量にある。

メガネは、使い古し絡み合った巨大な金たわしのようにも、針金のオブジェのようにもみえた。

食器などを持って来た人たちは、もしかしたら、日常に使っていたものを持ってくることで、子供を安心させたかったんじゃないかと、話していた。

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ポーランド旅行記まとめ※随時更新

ポーランド旅行記まとめ※随時更新

ポーランド旅行記の続きを書いていくにあたり、バックナンバーのまとめを作っておきます。

①ポーランドへ行く(2018/6月)

②FRA(ドイツ)→WRO(ポーランド) (2018/6月)

③主観(コウ?)日記 (2018/6月)

④壊された街、壊せなかった想い (2018/6月)

⑤ワルシャワ・ゲットー (2018/6月)

⑥シナゴーグでの話(2018/6月)

⑦旅の目的 (2018/

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⑦旅の目的 (2018/6月)

⑦旅の目的 (2018/6月)



今回、ポーランドを選んだ理由がアウシュヴィッツを見に行くこと。
だけど、ホロコーストをテーマにしたアート作品を見ただけですごく苦しくなり、ワルシャワでゲットー跡地や戦争の展示にいちいち涙を堪えている状態なのに、果たして耐えられるのかな…と、
クラクフへ向かう電車の中で考えていた。

ワルシャワ→クラクフ間もEIP(高速鉄道)乗車。
前回は2等車だったが、今回は1等車にしたら、単独シートで尚且つ

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