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2つの教会 #15 Homeless in Vancouver (2014年7月の日記転載)

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この界隈は、毎日清掃が入っているため、結構きれい
たぶん、おじちゃんたちが毎日清掃してくれていなかったら、
大変なことになっている気がする・・・・


DTESを歩いていると、毎回いろいろある

たとえば、こないだ喧嘩をしている大声が通りに響き渡っていた
なんだろうと通りの向かい側を見たら、大声を出していた方の半裸のおじさん、片手にナイフ持っていて
ものすごい相手を威嚇して、獣のような低姿勢でナイフを構えていた
しかも車道の真ん中まで出てきていて、それのせいで、バスが立ち往生していた

大事には至らなかったが、色んな人に罵声を挙げていた


ある時は(その時はたまたまバスに乗っていたのだが、)バスの窓から外を見ていたら
かなり流血している半裸の(夏は性別問わず半裸率が高い)おじさんが、道に座り込んでいて、何かを叫んでいた
そこに警察もきていた…その時だけは、貧血になるからバスに乗っていてよかった…と思ったのだが…

そういった危なそうな(?)ことも、時々日中にもあるのだけれど…

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では、前回に続いて青い四角で囲われているところについて
East Hastingsの道沿いに大規模な支援をしている教会が2つある
( 信仰と慈善 #7   https://note.com/fukuchiayako/n/naf44b25f9a35  と時間の寄付 #8  https://note.com/fukuchiayako/n/ncb55f7f633e0 )の時にも少しだけ触れていた気がするが)

その一つがFirst United Church

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ここのサービスはすごい
すべてフリーになるのだが

まず食事の配給は、365日の3食とtea time(ケーキやクッキーが出る)もある

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first unitedのHPより
食事の配給はこうやって並んで受け取り、左側にあるテーブルで食べる
入口入ってすぐ左のテーブルは、一つだけ動物も可なので
犬やウサギ(たまにいる)、
ハムスターのでかいやつ(名前がわからないけど、なんだかこれがhastingsで人気な気がする)
を連れてきている人がそこのテーブルを使う
シャワーとランドリーもあって
バスアメニティ、カミソリ、タオル、清潔な靴下、下着、毛布を受付で受け取ることができる
必要であれば洋服の支給もしてくれる

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↑ここが支給される洋服や靴などが置いてあるところ
すべて寄付(ドネーション)だが、とても綺麗で種類もたくさんある
ここのボランティアも言っていたのだが、ここでタダで洋服をもらって、
路上で売っている人もいるからね…と

検診もたまにあるらしいが、基本的に健康相談も受け、もし医療機関が必要な場合は、紹介もする
(特に歯医者は、カナダでは保険で賄えないことが多いので、安い歯医者の資料もあった)

低所得者用の税金の書類の作り方など、その他法律上の問題や相談事も受け、また解決しづらい問題の場合は専門の人を紹介する

その他、諸々のサービスも引き受けていて、無料で使える公衆電話があり
住所がない人たちに、住所を貸し出しているため、彼らの郵便物の保管もしている

また、一時期よりは減ったが緊急用シェルターもある(女性用シェルターと完全に別れている)
安価な住宅の相談と紹介もしている

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これだけでも驚きなのだが、施設内の見学で私が一番驚いたサービスが物置倉庫

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ここが、そこになるのだが、荷物預かり所
ちょうど、正面入り口の右手側の少し下がったところにある

↑これは、それについてのビデオ
説明をしてもらった時にも思ったけど、確かにホームレスの人には家財の置き場所は必要かもしれない…けど、本当にサービスがすごいと思う

もう一つ、これは知らなかったのだけど、フットケアサービス
知っていたら、教えてあげたかったホームレスのおじいちゃんがいたのに…

これ以外に、映画会、演奏会、野外Actibity、ゲームなどいろいろある

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↑ここは、建物の正面入口入ってすぐの左側になるのだが
入って右側はファーストネーション(カナダ先住民)の壁画の前に長いベンチがある、このとき眠くてこの椅子で寝ていたのだが…
その時に座りながら撮ったのでこのアングル
水色の扉の先が小さなチャペルになっていて、たしかどんな宗教であっても使っていいことになっていた
そして、あの黒板に、毎日その日の予定が書いてある
例えばこの日は、

9:00- Spritual Focus
9:45-12:10 Music Jam
2:00- Friday Movie
2:00- Tea Time
6:00- Community Dinner

と書いてある

ここは、割とファーストネーションの人たちの支援にも力を入れていて、施設内部の色んなところにファーストネーションアートを飾っているし、利用者の中にもかなり彼らをみかけた

さて、このFirst United Churchでは、Thrift store(寄付による古着・中古品格安販売店)を4件左隣くらいのビルでやっている

お店の中はこんな感じ

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すべて寄付で持ち込まれたもので売れそうなものをかなりの安価で売っている


お店の裏方はこんな感じで

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持ち込まれた寄付の種類と売れるか売れないかの仕分けをする

色んなものが持ち込まれるので、仕分けが結構大変

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時々、こうゆう毛皮や革製品、ブランドものなども持ち込まれるけど、
これは、奥にこっそり保留されている 笑

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この間も書いたが、私が面白いと思った寄付の品が、ホテルの客室の忘れ物。

色んな品が1つずつ、数字の書いてあるメモ付のビニール袋に入って、
それが、大量に段ボールに入った状態で持ち込まれた。
数字は客室番号で、保管期間を過ぎ持ち主不明のまま寄付に回したのだろう

さて、この店での窃盗はかなり大胆で面白い

おじちゃん、半ズボンで入店
で、試着室に5枚くらい半ズボンを持っていく
全部をはいて出てきて、素知らぬ顔で出ていこうとする

ありえないだろ…ゴワゴワすぎてすぐバレるし
1枚とかならばれなかっただろうに…

また、違う若い男の子で、普通に店内でバックパックの横のポケット(網のところ)に盗んだ服を突っ込む
いや、見えるでしょ…中に入れるならまだしも
普通に入りきらなくて、バックパックからダランと垂れているし…

ちなみに、この近所で、普通に洋服をタダでもらえるところは何軒かある
それでも、大胆に盗みを試みるので、面白い
(確か、cordova×columbiaにあるsalvation armyも配っていたはず)

もちろん、値段も安いので、盗む人はほんのわずかで、普通に買っていく人がほとんどだけど
ここは、別に、低所得者やhastingsの人たちだけの店ではないので、色んな人が買いに来る


ちなみに、余談だがこのthrift storeの2軒先の並びにある"limelife society"は、The real compasion societyと同じの医療用大麻販売店になる(Drugに関して #12  https://note.com/fukuchiayako/n/nab9f42146cf6 )

さて、2つ目の教会がUnion Gospel Mission

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ここの凄い所は、政府の助成金を受けていないで
すべて、企業と個人の寄付で成り立っているといわれている

そして、2011年に建て直したばかりで、施設の内部がものすごくきれいで大きい
一つ一つのセクションのスペースも存分に使っている
ボランティアも多いが、スタッフの数もかなり多い、そして、ここのシェルターや依存症更生施設を利用している人も働いていたりする

ここもFirst United Churchと同じ様な色んなことを提供しているのだが、
大きな3本柱は
365days of meals(365日の食事)、alcohole/drug recovery(アルコール・麻薬依存症更生)、shelter/housing(シェルター・住宅供給)
そして、女性と家族専用の建物もある

ここの依存者の更生プログラムは、結構すごいと思う
ここで働いている数人のをプログラムを修了した人にしか会ったことがないから、UGMが言っている数値とは別に、実際どれくらい成功例があるのかわからないけれども
プログラム修了後のアフターケアがしっかりしている気がする


First United Churchと違って、UGMは教会色がかなり強い
まず、受付にいる人の雰囲気でもなんとなくそれを感じることができる
(すごく清潔で面倒見の良い親切そうな、来る者拒まない雰囲気。悪い意味ではなく、教会独特の)
なので、初め少しだけ抵抗があったが、押し付けることも一切ないし、本当にひたすら親切だった

また、常時誰にでも開放されているわけでもないので、例えば、first unitedの様に中のベンチで昼寝できるようなところもない、もちろん、この中に椅子はあるけど、用事もなく居れるような感じではない

また
神についての教えを食事配給の食べる前にみんなに一応説くが、
基本的に大半の人が聞いてはいないけど…

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毎食200食以上を配給しているのだが、本当にここのサーブは大変である
軽いスポーツである、来る人来る人そのまま入れると座れなくなるので、人数制限を一応している
まずは、100人くらい入れて、だいたい食べ終わって出ていくと、料理の量を確認してから
よし、こっからまた100人入れるよっと入口と連絡を取り、次に待っている人を入れる(ちなみに屋内待合室もある)

ここの配給システムは、まず並んでチケットをもらう
で、そのチケットと引き換えでご飯をもらえるというシステム
しかし毎回数人いるのだが、初めの方に来て食べ終わり、再度外に並んで2枚目を受け取り、おかわりする人 
なるべく多くの人たちに食事を配ることを趣旨としているので、これは違反となる
この違反が見つかると、たしか1週間くらい出入り禁止だった気がする

でも、あまりに多いし忙しいからみんなよくわからないのだけど

サーブしながら、入口に目を向けての会話は

―ちょっと、あの人、今日2回目じゃない?さっきもらっていたような・・・2回目よ、絶対。

―余裕なくて見てなかったよ。先週来てたから覚えてるんじゃないの?

―私、昨日の記憶も怪しいんだから、先週のことなんて覚えてないわよ!笑

といった感じ。

で、本人に、
―2回目でしょ?2回目は違反だからね、今回はいいけど、次にやったら1週間出入り禁止だからね!
と注意することが日常茶飯事

食堂の中もすごくきれいです

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こうゆうかわいいちょっとしたアートっぽいのがちょこちょこある
(寄付した人の言葉とかだったりするけど)

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スタッフ(ものすごい沢山いるので)や依存症更生施設を利用している人の食事はかなり美味しい
が、サラダバーは無いにしても、配給の食事と結構近かったりするけれど

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ここの食事はとにかく味がよく、food exchangeからの食材を使っている

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この白い制服を着ているのが、スタッフ
普通のかっこうの人がボランティア
キッチンの中も広くてとてもきれい、いつもラジオがガンガンついていて、みんな歌いながら楽しそうに仕事をしている
基本的に男の人が多いかな
いつも鼻歌を歌っている背の高い鼻の下の髭がすごく立派なおじいちゃんのシェフがいるのだが、
包丁づかいが神業的に早い…早すぎて口を開けたまま凝視してしまった

教会だけあって、クリスマスやイースター、サンクスギビングなどの日は、お祝いになるので
通常の配給よりもさらにグレードが上がり、その上、配給する量もかなり多くなる(10倍くらい?)

ちょうど、10/13がtサンクスギビングだったのだが、下の動画は、去年のThanksgiving dayのもの


ここに初めて来た時に、エレベーターで一緒になった私と同じくらいの歳の男の子がいた
とても人懐こく、よくしゃべる明るい瞳の男の子で、元々はベルギー人だと言っていた気がする
なんでここを知ったのかの話になり、彼に聞いたところ

僕、ここに住んでいたんだよ、っと言われた、初め意味が分からなくて
へーここに?(この近所に住んでいたのかな?くらいにしか思っていなかった)
そう、僕、捕まっててさ、最悪な刑務所生活から出た時は、お金も何もなくって、住むところもなかったんだよね
で、ここのシェルターに住んでいたんだよ。
ここの人たちはみんなすごく親切で仲良くしてくれてさ、本当に世話になったんだ
だから、僕はここでお手伝いをしたいと思ったんだ
と、屈託ない笑顔で話してくれた


さて、隣にあるquest food exchangeについては、食べ物を配ること #4 ( https://note.com/fukuchiayako/n/na84906499f6c  )にも書いてあるのだが
これは、UGMと同じ建物になるのだが、入口は隣になる

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でもって、この同じブロックになるのだが、もう少し先に行くと
UGMが運営しているThrift storeがある

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この界隈のシェルターは、今は女性専用の施設もかなり増えた
これは、シェルター内での性犯罪が絶えなかったこともある
また、ユース用、 シニア用、ファミリー用と細かく分かれているところもある

暗くなると通りに増え始めるのが売春婦なのだが、そのケアサポート施設もある、地図だとAlexander st.にあるWISHがそれになる


まだ、色んな施設や興味深い場所がたくさんあるのだが、
自分がよく知っているところについてだけ、書いてみました。

あ、あと、
gore st.×cordova stの所にvancouver police museumがあります

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余談だが、Carnegieでジャッキーとはなしていたのだが
---東京にはここと同じくらいの数のホームレスがいるんだよ。 と言うと、
---え?日本にはホームレスがいないって聞いたよ! と、すごく驚いていた。
そして、
---日本は、食べ物がすごく余っているのに、飢餓で命を落とす人が年に数人いるんだよ。と言うと、信じられないといった感じで、より目を丸くしていた。

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