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衛犬ちゃん、インフルエンザでダウン・・・

毎日寒いですね。
みなさん、元気にお過ごしでしょうか。
細菌・ウイルス研究グループのウイルス検査担当、研究員Oです。
衛犬ちゃんと環犬ちゃんは寒さなんかには負けないよね!・・と思ったら、
あれれ、衛犬ちゃん、なんだか顔色が悪いような・・・

もしかしてそれは・・・
今、みなさんの周りでも厄介なアレが大流行しているのではないでしょうか?
そう、インフルエンザです!

今シーズン大流行のインフルエンザ

この冬は、例年に比べて全国的にインフルエンザの流行期入りが早く、患者数も多くなっています。
当センターでは、県内に39ヶ所ある定点医療機関から報告されたインフルエンザの患者情報を、毎週集計解析しています。
福井県では、第46週(11月13日~19日)における1定点あたりの患者数が10人を上回り、11月24日にインフルエンザ注意報を発令しました。そして、第49週(12月4日~10日)には、1定点あたりの患者数が30人を上回ったため、12月13日に「インフルエンザ注意報」を「インフルエンザ警報」に引き上げ、現在も警報発令中です。

福井県におけるインフルエンザの年別・週別発生状況

福井県感染症情報HPより(2024年1月25日現在)

環犬ちゃんの言うとおり、38℃以上の高熱が出るのもインフルエンザの症状の1つです。特徴的な症状としては、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感等があります。また、普通の風邪と同じように、のどの痛み、鼻汁、咳等の症状も見られます。子供ではまれに急性脳症を、高齢者や免疫力の低下している方では二次性の肺炎等、重症になることがあります。(参照:厚生労働省HP 令和5年度インフルエンザQ&A

では、ここからはインフルエンザの原因となるウイルス、インフルエンザウイルスについて詳しく見ていきましょう。

インフルエンザウイルス

インフルエンザウイルスにはA~Dの4種類の型があり、大きな流行の原因となるのはA型B型です。
A型ウイルスは、表面にある突起の違いによってさらに分類され、現在流行している型はA(H1N1)亜型A(H3N2)亜型(香港型)の2種類です。
B型ウイルスは、遺伝子の系統で「ビクトリア系統」「山形系統」と呼ばれる2種類に分類されます。

環犬ちゃん、いい質問ですね!
細菌・ウイルス研究グループでは、感染症発生動向調査※の1つとして、医療機関から保健所を通じて提出された検体に含まれるインフルエンザウイルスを検査しています。
※感染症発生動向調査について詳しく知りたい方はこちら(厚生労働省HP)

実際には様々な手法で検査を行っていますが、今回はインフルエンザウイルスの型を調べる検査の1つ、「HI試験(赤血球凝集抑制試験)」を簡単に紹介します。

インフルエンザウイルスの検査:HI試験

まず、患者さんの鼻咽頭拭い液等の検体を、培養細胞を用いて1~2週間培養し、ウイルスを増殖させます。

ウイルスは単独では増殖できず、細胞の中でのみ増える性質があるため、ウイルスを増殖させるためには細胞に接種する必要があります。

次に、増えたウイルスと4種類※の抗血清(インフルエンザ抗体を含む血清)をそれぞれ反応させて、どの種類の抗体と特異的に反応するかを調べることで、インフルエンザウイルスの型を判定しています。
※A(H1N1)亜型、A(H3N2)亜型、B型ビクトリア系統、B型山形系統の4種類

大丈夫!その反応は一目見るだけで簡単にわかるんです。

インフルエンザウイルスは赤血球と結合して赤血球を凝集させる性質を持っています。その様子は、試験プレートのウェル(丸い区画)全体が一様に薄赤色に見えます。

一方で、ウイルスの型に合う十分な量のインフルエンザ抗体が存在すると、ウイルスは抗体と結合するため、赤血球は凝集せず沈殿します。その様子はウェル底の中心に赤丸を打ったようになります。例えば、インフルエンザウイルスA型(H1N1)の患者の検体であれば、A型(H1N1)の抗体があると赤血球は沈殿し、他の抗体では凝集します。

4種類の抗血清のうち、どの型の血清を加えると赤血球沈殿が起こるかを調べることで、インフルエンザウイルスの型がわかるのです。

当センターで行ったインフルエンザウイルスの検査結果は、福井県感染症情報HPで公開しています。今シーズンは現在までに、A型が検出されています。その他にも、県内における様々な感染症情報や、感染症の流行状況などについての情報も随時アップしていますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

県内のインフルエンザ検出状況(2024年1月25日現在)
福井県感染症情報HPより

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