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国立新美術館・ルードヴィヒ美術館展レポ

国立新美術館・ルードヴィヒ美術館展の簡易レポート。個人コレクションをベースとしており、また20世紀以降の作品で構成されているため“お勉強感”の少ない展示だと思う。美術史をあまり知らなくても感覚で楽しめるような(逆に言えば勉強しても理解が難しいタイプの絵が多い)。

個人的に心に残った作品を3点紹介します。全体のまとめはそのあとに。

パブロ・ピカソ「アーティチョークを持つ女

縦約2m、ピカソのでっかい絵。顔のゆがみがエグくて、見た時「そんなぁ」って声出た。ゆがんだ顔はキュビスムあるあるだけど、この作品は度合いがキツい。だって、普段はこれくらい。

それがこれだもの。

怖すぎ。色も暗い。なんでも1941年、第二次世界大戦下の作品で、この頃は作品もやっぱり暗くなってたそうです。

ピカソの大きい絵はもう1枚あったけど、こっちのほうが見た時のインパクトが強かった。本展は他にもピカソが何点かあったので、好きな人にはおすすめです。

カジミール・マレーヴィチ「スプレムス 38番」


見た瞬間息をのんだ絵。構図…余白…!!バッチリ決まってカッコいい!!図形いっこいっこのサイズとか形とか色とか、すごい計算して描いたんだろうな。

抽象絵画って何が描いてあるかわからない+何を目指した絵かわからないのコンボでつまらなくなっちゃうけど、これは何を目指したかが明確なので親しみやすい。

ただ、こうして画像で見ると「フーン」って感じになっちゃうので、実物のサイズによる感動も大きいのかな?色ももっと鮮やかだったと思うし。

油絵みたいに表面に凹凸立体感のある絵画や、見るというより体験するような巨大絵画じゃなくても、実物でしか感じられない衝撃ってあるんだ!という1枚。

パウル・クレー「陶酔の道化師」

繋がった線をつい目でなぞってしまう。小さい絵なんだけど、なんだかオーラを放っている気もして長い時間見ていた。
後で調べたら、クレーはあえて汚したキャンバス麻布広告の裏紙を使うなど、描画面の質感にこだわった画家だったらしい。
この作品のキャンバスにも、全体にモワッとした質感がある。それが描かれている得体のしれない生き物と相まって、オーラのように感じられたのかもしれない。スルメみたいな長く味わえる絵。これの前で酒飲みたい。

展示全体の所感

20世紀のアートの流れをざっと見れる展示。だんだん絵のサイズがでかくなっていくのが楽しい。ドイツのコレクションということで、序盤は特にドイツや周辺国の作家の作品が多く、堅くてちょっと暗い雰囲気がある。でもそれも含めてコレクションの味になっていて良かった。ド目玉の作品はないけれど、見ごたえのある充実した展示でした。

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