見出し画像

ママが私の夢を壊した理由

あるグループの魅力をフィクションストーリーに添えて発信。

「私の夢を否定しないで!!!」

ママに初めて怒鳴ったあの日。

1月24日 日曜日。

私の人生が大きく変わった日になった。

画像1

1月7日 木曜日。

「いらっしゃいませ〜!あ、よしみおばさん!あけましておめでとう!!!」

「りあちゃん、あけましておめでとう!今日も元気だね〜、唐揚げ10個ちょうだい!」

「ありがとうございます!」

「宿題はちゃんとやっているの?バイトばかりで高校の勉強おろそかにしたらダメだよ〜。」

「もちろんやってますよ!ママにいつも言われてま〜す!はい、これ!唐揚げ10個です!500円になります!」

「ありがとう!りあママにも無理しすぎないでよって伝えといてね、またね〜!」

「うん!よしみおばさん、ありがとう!」

私は、バイトが解禁される高校生になってから1年以上、家の近くの唐揚げ専門店で週に6日、アルバイトしている。

私のママは、私とりき(弟)をひとりで支えてくれている。

毎日、仕事で夜遅く。

毎日、家事で朝早く。

ママの笑顔はあまり見たことない。

そんなママを17年間ずっとみてきた。

ママに無理させたくない。

私を支えてくれるママを支えたい。

ママのために私は働く。

これが私の夢だった。

画像2

1月12日 火曜日。学校帰り。

電車に揺られながら、Twitterを見ていると、
友達がこんなツイートをRTしていた。

「なんだろう?アイドルグループのオーディション?tipToe.?知らないな〜。」

"tipToe.はアイドルというなんでもありの世界で「やってみたい」を「やってみる」グループ"
"でももし今の生活がつまらなかったり、自分を変えたかったりしたら、いつもと違う道に踏み込んでみるのもありです。"
*「いつもと違う一歩を踏み出すということ」本間翔太note記事より引用

そこに載ってあった「茜」って曲も聴いてみた。

興味ない。

私は、もうやりたいことやれてるもん。

私の夢のために、

今の生活に意味を持って生きているもん。

興味ない、アイドルって。

気持ちがなんかモヤっとなって、そのRTを「🔥」を付けて引用RTした。

画像3

1月15日 金曜日。

「りあさん、進路決まりましたか?」

「働く。」

「ん〜、そうか、なんで働きたいの?」

「ママのために働きたい。」

「自分のやりたいことは?」

「ママのために働く、これが自分のやりたいこと!」

「それ、本当に自分のやりたいこと?」

「そう!!」

そう言って、教室を飛び出した。

気持ちがモヤモヤしたまま、電車に揺られていると、

スマホの通知が鳴った。

”未波あいり(tipToe.)さんがあなたのツイートをいいねしました。”

「あ、あのアイドルのメンバーだ。」

この日以来、

ちょっとでもスキマ時間あったら、

彼女のツイートに「🔥」を付けて引用RTした。

画像4

1月23日 土曜日。

6時間バイトして疲れて帰ってきた私はベッドに倒れ込んで、あのアイドルの子のツイートをぼーと眺めていた。

すると、彼女が「2021年の抱負」というブログ記事をあげているのを見つけた。

・ブラックコーヒーを飲めるようになる!
・写真撮るのを上達させたい!
・自分のつくった曲を聴いてもらいたい!
・片付けできる人になりたい!
・強く賢くかわいい女の子になりたい!
・誰かに愛されるアイドルでありたい!
・ファンの方とより距離を縮めたい!
・tipToe.をたくさんの人に聴いてもらいたい!
*「2021年の抱負」tipToe.ブログ記事より引用

彼女は、自分のやりたいこと、たくさんあげていた。

「私は、もうやりたいことやれてるし。。。」

そう心で呟きながら、彼女のやりたいこと一つ一つの言葉を引用して「🔥」を付けて引用ツイートし、瞳を閉じた。

画像5

1月24日、日曜日。

ママとりき(弟)と夕食食べた後、

「ママ、私、先に風呂入るね!」

そう言って、リビングを出ようとしたら、ママが突然こう言った。

「ねえ、りあ、tipToeってアイドル好きなの?」

「え!? なんでそのアイドル知っているの?」

「りあ、最近鼻歌しているじゃない?りきに尋ねたら、tipToeってアイドルの曲みたいだって。」

自分でも気づかなかったけど、無意識にtipToeの曲を鼻歌してたみたい。

「別に好きじゃないし、興味ない!」

「ねえ、りあ。りあのやりたいことって何?」

「な、なに!ママ、急に!?」

「りあのやりたいことって何?」

ママの顔つきが変わった。

「ママのために働くことだよ!これが私の夢!」


「そんなの夢じゃないわ。」


「なんなの!ママ!私の夢を否定しないで!ママを笑顔にしたいから働く!私自身がこう思っているの!!」






ママはしばらく沈黙した後、


私の手を握って、


私の目を見て、


丁寧にこう言葉を紡いだ。


りあ、自分に嘘つかないで。

ママを理由に自分に嘘をつかなくていいのよ。

ママは自分で笑顔になるの頑張るし、

りあの笑顔がママの笑顔になるわ。

だから、りあは、

自分の笑顔のために

自分のやってみたいことをやってほしい。

だから、

りあの今の夢を捨てて、

りあのやってみたいこと、やってほしいな。

下にうつむく私が涙を拭いてママを見ると、

笑顔なママがいた。

画像6

その日の夜23時、

ママとりきと一緒に、tipToe.のアイドルオーディション応募画面を見ていた。

「ねえ、ママ、私が挑戦してみたいってなんで分かったの?」

「りあのSNSが激しく燃えてるって、りきが、りあのSNSを見せてくれたの。りあ、何十個も🔥マークつけた投稿してた見て、りあの本当の気持ちは怒っているんじゃなくて、憧れていたんじゃないかなって思ったの!」

「そういうことか〜、って!りき、なに勝手に私のSNS覗いてんのよ!」

3人で笑いながら、応募ボタンを押した。

終わり。

【今回ご紹介したアイドルグループ/メンバー】

●tipToe.
・「青春」や「学校」をモチーフとした等身大センチメンタルアイドルグループ
・Twitter https://twitter.com/tipToe_official?s=20 

●未波あいりさん
・Twitter https://twitter.com/airi_tiptoe?s=20 

●新メンバーオーディションの記事(応募〆切:1/24)

#はたらくってなんだろう #私の仕事 #エッセイ #小説 #アイドル #音楽 #スキしてみて #日常 #note #tipToe  

この記事が参加している募集

スキしてみて

いただいたサポートは、 頑張る誰かの応援のために使います❗️