見出し画像

SF映画『ハイ・ライフ』(2018) クレール・ドニ監督

この映画はAmazon Prime、U-Next、Apple TVで観ることができます。

フランスの映画監督、脚本家であるクレール・ドゥニ(Claire Denis)の初のSFホラー映画であり、初の英語長編映画で、2018年9月にサン・セバスティアン国際映画祭のメインコンペティションに出品され、11月7日にフランスで劇場公開されました。

ドゥニは、ヴィム・ヴェンダースの『パリ、テキサス』(1984)と『ベルリン・天使の詩』(1987)、ジム・ジャームッシュの『ダウン・バイ・ロー』(1986)では助監督を務めた後、長編デビュー作『ショコラ』(1988年)を制作しました。また、小津安二郎の『晩春』や黒澤明の『悪い奴ほどよく眠る』にインスパイアされた『Bastards』(Les Salauds, 2013)を制作しています。

『ハイ・ライフ』(High Life)は、2003年頃からアイデアを温めており、英語で制作されたのは、「物語の舞台は宇宙で、なぜかわからないが、私にとっては、人々は英語、あるいはロシア語や中国語を話すが、宇宙ではフランス語は絶対に話さないからだ。」という理由でした。物理学者でブラックホールの専門家であるオーレリアン・バローがコンサルタントとして雇われ、オラファー・エリアソンが奇妙な、これまでに見たことがない宇宙船をデザインしています。

細工箱のような宇宙船

ドゥニの作品に共通するテーマである、強迫観念、欲望、暴力、セックスが、この映画にも現れています。

物語は、なにか不自然な庭の映像から始まり、コンソールモニターの前にいる赤ちゃんと、宇宙船の船外活動を行っている男のシーンへと続きます。赤ちゃんの面倒を見ている場面では、次第に優しい気持ちにさせられます。しかし、次の場面で他のメンバーは既に死亡していることがわかります。そして、宇宙船には赤ちゃんと男の2人だけになってしまった経緯が語られていきますが、極限まで説明が削ぎ落とされており、時間も突然前後し、不安が高まっていきます。

宇宙船に乗っている人物を書き出しておきます。

登場人物

モンテ役のロバート・パティンソンは、集団の中にいても孤独に見えるような、寡黙で"地球から遠く離れた男 "を演じていきます。

宇宙の放射線下で人工授精の実験をする女性医師のディブス博士(ジュリエット・ビノシュ)は、過去に大きなトラウマを抱えながらも、このプロジェクトの大きな役割を担っているように見えます。

ついに宇宙船は巨大なブラックホールへと近づき、最終目的のペンローズ過程(ブラックホールからエネルギーを取り出す)の実験に取り掛かります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?