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移住先ランキングで常に上位の長野県伊那市にCEO家族が移住し1年経った

2022年10月、私達家族は大阪市の中心部から長野県伊那市に移住した。今この記事を書いているのは2023年11月。ちょうど1年が経ち、四季を一周したことに!
結論、とても住みやすく、環境はもちろん、子育て、仕事、人生観も良い方向に変わった。移住を決断した結果は大正解!
このnoteでは、この1年を通して体験したことをまとめていきます。


移住を決める柱「仕事/住居/相談先」

私達家族の仕事について

私が働いているフルカイテン株式会社は、CEOである主人と大阪で起業した会社で、東京、大阪に拠点があり社員は現在50名ほど。コロナ禍から続いていたリモートワークのおかげで、移住にあたり仕事で大きな支障はなかった。社員は全国・海外におり、自由出社。毎週集まるチームもあるけれど、全体では3ヶ月に1度大阪本社での全社会議で集まる仕組み。
移住をきっかけに伊那市でもアルプスが見渡せる「パノラマオフィス」を借りることができて、ここにも社員はいつ出社してもいいし、時々チーム単位や同期でワ―ケーションに来てくれる。お客様や取材して下さる方も訪問して下さり、彼等をアテンドすることは私達家族の楽しみでもある。

パノラマオフィスの様子。大きな窓からアルプスが見える
社員とりんご狩りへ行った時の写真

また、CEO自ら移住したことで、社員のライフステージや住む場所が変わっても働きやすい会社だよ、と行動で示すことができた。社員には、歳を取っても環境が変わってもずっとフルカイテンで働いて欲しいと思っている。
※上場準備中で事業成長が必至のため、積極的に人材を募集しています。ITベンチャーに興味ある方はDM下さい!フルカイテン株式会社採用広報 ami

フルカイテンの社員。3ヶ月に1度の全社会議にて

伊那市での仕事の探し方

リモートワーク可能なコンサルやフリーランスの方、私達のようにIT系の方の他に、飲食、製造業、農業などの仕事がある。
その場合はWantedlyやビズリーチのweb媒体より、市役所やハローワーク、市の情報誌が強い。ネットの情報に頼るよりも、一度問い合わせた方が良い情報にたどり着けると思う。

住居選びは重要!

住居については、まずは賃貸で住んでみて、定住可能と思ったら家を建てるという人が多い。4月の新学期に合わせて移住しようとすると、同じように考える人が殺到し選択肢がかなり減ってしまう。私達は10月に引越してきたので、結構良い物件に出会えた。賃貸物件の選択肢の少なさには皆さん困ったようなので、物件探しは少し時期を早めてみることをお勧めする。冬は-10°まで下がる極寒の地なので、少し早く契約して捨て家賃が発生しても、良い物件を探して損はない。二重窓になってるとか、気密性が高いとか、追い炊き機能付きとか、それらが揃う物件ってなかなかないらしい。

何でも頼れる移住相談先

最初は、仕事・住居・学区など分からないことだらけ。まずは伊那市にコンタクトを取ってみるのがおすすめ。移住体験住宅などもあるので活用したい。伊那市は移住者を迎え入れるのにとても積極的で、市役所の方も手厚くフォローして下さるのでありがたい。
また、Xやインスタで、先に移住した経験値の高い人や地元の人にコンタクト取るのもおすすめ。私達はそうして生の情報を教えてもらって本当にお世話になった!

伊那市を語るなら外せない!教育環境

伊那市といえば「通知表も時間割もない」で有名な伊那小学校。移住した理由はこの教育環境に子供を入れたかったから。教育移住っていうと「お受験?」なんて思われるけど、実際は真逆・・・(笑)
学校に何を求めるかは親によって色々なので、「良いか悪いか」よりも、「合うか合わないか」という話になってくると思う。伊那小に見学へ行き、成績やテストの点数よりも「考える力、生きる力」を身に着ける総合学習・探求学習を目の当たりにし、その教育環境に惹かれた。そういう能力がこれからの時代を生きていく子供達に必要だと感じていたからだ。他にもそんな学校はあるけど、伊那小は40年以上前からこの教育を貫いているという歴史がある。

実際入学してみると、総合学習は想像していたレベルを超えていた。5年生の娘はのクラスは林を持っている。そこに木の家を建て、天然のスケートリンクや畑と田んぼを作り、先日は稲刈りや籾摺りも体験した。今は畑で育てた野菜でピザを作ると言って小麦の種撒きをし、石窯作りを進めようとしているところ。発想がいつも想像を超えてくるのでこっちもワクワクする。
林で調理する事も多く、火起こしもクラス全員慣れたもの。焚火台は水路の溝蓋と煉瓦、火吹き棒はプラスチックのパイプ、着火剤は牛乳パック。若干10歳にして、家も米も小麦も野菜も作れてあるもので火が起こせるってすごくないか?

クラスが持っている林。
木の家作り

彼らにとって学校生活の目的は勉強や成績ではない。あらゆる総合学習を行うための「手段」だ。取り組みは基本子供達に任されているので、考える、調べる、意見する、実行する、そして間違い、何が問題だったのか?また考え、繰り返す。そういう「力」がつく。これこそ社会で生きるための力だと思った。まさに私達夫婦が求めていたものだった。

下の娘は1年生、この2カ月ほどでヤギの小屋を作った。先生の指導は最小限。図書室で本を読み、子供達なりに考えながら作っていく。まだ110㎝ぐらいのちびっ子だけど、とんかちも電動ドライバーもガンガン使う。ヘルメットを被り屋根に上って作業する。柵の隙間が広すぎて動物が逃げたのを走って追いかけたり、同じ場所に何本も釘を打って使い切ってしまったり、石で固定できたと思っていた柵が翌朝倒れていたり。そういう「失敗」に自ら気付き、解決策を考えさせる事が大事なので(まさに探求)、先生は先回りしてあれこれ指示はしない。そのおかげで、失敗は当たり前で、それを修復するために自ら学ぼうとする力が芽生え、自分の意見をどんどん言えるようになっていく。
隣のクラスは羊、その隣のクラスは烏骨鶏を飼っていて、1年生専用の庭には動物の小屋が3つ。その小屋に登って動物と一緒に朝の会とかやるので、都会で育った私にはそんな日常が別世界の光景でとても楽しい。

クラスで飼育しているヤギの親子
1年生の子供達が建てたヤギの家

勉強については焦りは無くはないが、こうして総合学習で培った考える力や行動力が後になって花開くと信じようと思う。(学習指導要領にある全てのカリキュラムはちゃんと終わることにはなっている。)
ただ、高学年になると塾に行ってフォローする家庭が多いのも実感している。うちは本人が勉強したい、と自ら求めたタイミングで行かせようと思っている。
多分、答えが決まっている勉強は後からでもできる。今しかできないこんな経験で培った課題解決能力が自信になり、いつか本当にやりたいことを見つけた時に必要な勉強につき進めるマインド生成こそが今は大事だと思う。

ただ、伊那小でも先生によって総合学習への力の入れ方はさまざまで、クラスで温度差はある。とはいえ学校全体のビジョンは一貫していると感じる。他の学校と比べて行事がとても多く大事にしており、委員会など日々の生活でも、生徒が主体になって学校運営をしている仕組みは見事で、他の学校では経験できないことが沢山ある。

都会で育った私、物を大事に使うことを覚える

道に栗が落ちていて、小学生が「焚火に入れて焼いたら美味しいよ。でも穴を開けて入れないと爆発するから気を付けて」と教えてくれた。「え?落ちてる栗を食べられるの?!爆発?!」と驚いた。そこらへんのざくろや桑の実を食べ、林に落ちてるくるみを石で割って食べるのを見て、それ大丈夫なん?と思ってしまった私。危ない!汚れる!やめておきなさい!が常套句の都会で育った私。つい声が出てしまいそうになる。

栗がこんなに!

保育園では子供が裁縫を習って指を痛めながらぞうきんを縫う。ぞうきんなんて100均で買った方がきれいだし、針が危ないし、労力かける意味あるの?と思ったけど、頑張って縫ったぞうきんを下級生にプレゼントする時、子供の自信にみなぎった眼を見て感動してしまった。大事に作って次の世代に繋げていく、新しくて高価なものがいいものではないのだなと。

毎日、色んな価値観が変わってゆく。子育てや、ママとしてあるべき姿の思い込み、これまでの常識が取れていった。何が正解かは分からないけど、自分にとってこちらの価値観はとても心地良いと思い、肩の力も抜けた気がする。

冠雪するアルプス。この景色に毎日心が洗われる

価値観の違いを楽しむ

都会ではこうだから、移住先のみんなもこうしたらいいのに!都会の価値観を押し付けるのは絶対にしないようにしてる。違う土地で違う暮らし方をする人と接する中で、自分もそこに飛び込み、同じようにやってみることはとても楽しい。いなごを食べるとかちょっと無理なこともあるけれど。
子供は学校や保育園で地元の人と接する機会が多くすぐに順応するので、それに親がついていってる感じ。こちらが学ぶことばかり。

両親とも地元の都会出身、帰省するような田舎も全くなかった私にとって、こちらのことを知る度に、都会だけの狭い世界にいたんだな、と思うことばかり。こちらに来て、経験値が上がり、視野も広がったなと思う。

ちなみに、移住者だからと避けられたり区別されることは全くない。関わっている地元の方みなさんとても優しく接して下さるので嬉しい。

季節と旬の食べものは最高!

なんせ伊那市は居てるだけで気持ちいい。空気が澄んでる。毎日何度も深呼吸。激寒じゃなければ車の窓は常時開放したい。だって風が気持ち良くて日々表情を変えるアルプスが360°絶景だから。日々の通勤や買い物も旅行のドライブ気分になれる。

春、伊那の高遠城址公園の桜は日本一で有名らしいが、道でも公園でもそこら中桜が咲き乱れていて、お花見も人が少なくて良い。山にまだ雪が残ってるうちにつくしがいっぱい生えてきて、蝶々が飛び、全身で春を感じる!山菜も楽しみ。いちご狩りが終わり、太くて味の濃いアスパラがいっぱい食べられる!

公園の桜
花桃も名物なんです

夏、朝晩は涼しく散歩に最適。夜は扇風機だけで寝れる。キャンプでちょっと標高の高い森の中とか涼しくて本当に気持ちいい。ただ標高が高い分、日差しはめちゃめちゃキツくて焼ける。子供はプールの授業が多く、真っ黒になり、クラスで育てた野菜を持ち帰ってくる。夏野菜最高!ブルーベリーや桃などフルーツも最高!

産直市場で野菜を買う日常が好き!
透明度が高すぎる川で遊ぶおじさん達

秋、紅葉や黄金色の田んぼ。稲刈りが始まる。山が全体的に紅葉し、落ち葉の温泉で子供たちは遊ぶ。10月末頃アルプスが冠雪すると季節の移り変わりを感じる。気温差が激しく、朝はコート、昼間半袖、夕方カーディガンって感じ。新米・新そばの美味しさに衝撃を受ける。りんご、ぶどう、栗、いちじく、里いも、きのこが最高に美味しい。オクトーバーフェストなどイベントがそこら中で開催、どれに行くか困るほど毎週末楽しみがある。

紅葉も日本一だそうです
産直市場はきのこ楽園!

冬、伊那で雪が積もるのは年に3回ぐらい。道が凍るのでタイヤをスタッドレスに変える。雪かきスコップは車に常備(屋根に雪が積もったまま走ると危ないし、雪の重みで発進できないことも)寒い日でマイナス10度ぐらい、エアコンと薪スト―ブ、石油ストーブを併用する家が多い。調味料やワイン、洗濯物も凍る。乾燥機必要。車で15分ほどのスキー場は小学生無料なので常連になる。白菜や根菜がめちゃ安くておいしい。鍋最高!

こうなるともう身動き取れないので、スコップ常備
薪ストのある家がとても多くい。暖かくて羨ましい

1年を通して、こんなに四季を感じたのは生まれて初めて。あまり変わらない都会の風景に対して、ここでは週単位でスーパーに並ぶものやアルプスの景色が変わってゆく。自然の恵みに毎日感謝して生きている。

いい事ばかり書いたが、うそでしょ?!って驚くことももちろんある。ただ、それで移住しなきゃよかった、なんて思う程度のことではなく、むしろ面白くてネタになるようなこと。それはまた別記事で。

伊那市は都会?田舎?

車は絶対必要だけど、田舎よりの都会だと思う。イオンモールはないけど、スーパーも沢山あるし、ドンキ、スタバ、業スー、ユニクロ、モスもマクドもケンタッキーもファミレスもある。都会で御用達だったZARAやカルディやIKEAに時々行きたくなるけど、都会化する代償に自然環境を守れないならこのままで十分。何も困らない。
子供が遊ぶ公園はめちゃ広くて、たくさんある。どの公園も遊具は最新の大きなもの。市民プールも空いてて、スライダーや流れるプールもある。

私達のオフィス近くにあるスタバ

最後に、移住を迷っている方へ

私達は、これから長い人生をどこで生きるのかを選ぶことができる。
自分が望む暮らしが今の場所にあるとは限らない。当たり前に住んでるその場所に、自分や家族が「なんか違う?」と違和感を感じたら、第二の故郷になり得る場所が日本に、世界に選択肢としてあることに気づいてほしい。

当然と思っている価値観は全国共通ではない。少し視野を広げてみたら、自分達がぴったりはまる場所がきっとある。
私達家族は、「ダメならまた引っ越せばいいやん」という気持ちで来た!

だから、まずは伊那市を自分の目で見に来てみると良いと思う。
この記事が移住を迷っている方の力になりますように!


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