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フットボールの面白い戦術分析します(ローマに見た、敵陣でのネガティブトランジション③)

19/20 セリエA 第28節
ミラン vs
ローマ

~ローマに見た、ネガティブトランジション時のゲーゲンプレッシング~

 今回は、ネガティブトランジションの局面における戦術の第3回目です。3回目はローマです。
 2020年6月29日、サンシーロで行われたミランvsローマにてローマが行っていたゲーゲンプレッシングが面白かったので紹介します。
 ちなみに、この形のゲーゲンプレッシングはドイツのバイエルンと少し似たところがあると思いました。


スタメン(home : ミラン)

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(away : ローマ)

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結果 : ミラン 2 - 0 ローマ
(前半0-0、後半2-0)


① 敵陣でのポジショナルな攻撃
 まず、ローマは敵陣でのポジショナルな攻撃時、下図のように陣形は2-2-5-1となる。
 このとき、CBのスモーリング、マンチーニはDFライン中央のエリアを予防的バーリングすると同時に、どちらかが相手CF1枚を予防的マーキングできる配置に、また、ボランチのベレトゥ、クリスタンテはMFライン中央のエリアをあらかじめ予防的カバーリング/マーキングできる配置となっている。

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② ネガティブトランジション時
 ネガティブトランジション時、ローマは原則としてゲーゲンプレッシングを行う。
 このとき、ボールホルダーに対して必ず1枚が寄せ、他の選手は数枚でボールサイドにオーバーロード(密集)し、それぞれが敵を捕まえマンマークとなる。つまり、マンマーク型のゲーゲンプレッシングを行う。

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 またこのとき、CBのスモーリング、マンチーニはDFラインの背後を予防的カバーリングしつつ、どちらかが相手CFを予防的マーキングする。さらに、逆サイドのSBは自陣方向へ戻り、DFラインをカバーする。

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 この試合、ローマは原則としてゲーゲンプレッシングを行っていたが、1度外されたら2度追いはせず、全体がリトリートしてミドルサードで構えていた。

 これまで、ゲーゲンプレッシングを主に解説していますが、これはネガティブトランジションという局面の1つの戦術に過ぎません。つまり、ネガティブトランジション時には、もう1つ、自陣方向に戻り守備組織を整えるリトリートという戦術もあるのです。
 しかし、現代のフットボールではゲーゲンプレッシングを行うチームが増えてきていると感じています。その理由として、現代のフットボールでは「アンストラクチャー」(意味は、攻守において陣形が崩れている状況)がとても重要視されているからだと思います。

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