見出し画像

「時間割」 ミシェル・ビュトール

清水徹 訳  河出文庫  河出書房新社


「時間割」

「時間割」を昨日から読み始めた。ビュトール。
マンチェスターをモデルにしたブレストンという都市を舞台にした小説。分裂、鏡像、カノンを執拗なまでに追及した、現代の日記文学。
いまんとこ、この小説の言いたいことは、「日記はその日のうちに書け。溜めて書こうとすると、大変なことになるぞ」ということらしい(笑)
(2007 06/07)

亀は大地に捕らえれ、翼が甲羅に硬化した禿鷹。うまいこという、ビュトールって。ヌーボーロマンっても少しくらい詩的に評価されてもいいのに。
(2007 06/09)

「時間割」と「ユリシーズ」
今日、ビュトールの「時間割」読み終えた…すぐ最近読んだ本とむりやりにでも比較してしまう癖がある自分は、「ユリシーズ」と比べてしまう。この2作品は関係大あり。何せ「時間割」の迷宮はダイダロスが作った。ダイダロスとは他でもない、スティーブン・「ディーダラス」のことだから…

まず、異なる点から。まあ、なんてか読後感が違う。緻密でほの暗いビュトールと、放言的で明るいジョイス。あとは語りの人称かしら。日記だから当然1人称のビュトールと、3人称ってか誰が語っているか全くわからんジョイス。
続いて共通点。
まずは、両者とも神話がベースになっている。20世紀文学らしい。続いては時間。ジョイスは1日、ビュトールは1年。この区切りが大切。
言ってみれば、方法は似てるが、気分が違うといったところ。ただ一番の共通点は「麻痺」というテーマかも。その点では町を通りがかる多数の人々こそ、主人公なのかも。

おまけ。
このルヴェルの日記には触れられていない、避け通している「何」かがある。探偵は犯人。だとすれば彼こそ放火犯?
語られなかった2月29日に何かある。
(2007 06/13)

作者・著者ページ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?