文月 楓
一人の魔女が旅立つことになる経緯を書きました。 3部作です。 日常を忘れてわくわくドキドキしていただけたら幸いです。
小学生の女の子の小さな冒険を書きました。 3部作です。 児童文学、ファンタジーが好きな人におすすめ! 日常から離れてドキドキわくわくしていただけたら幸いです。
面接当日になった。 結局、昨夜はなかなか寝付けなかった。 それでもやっぱりやめようと思わなかったのは、もしかすると本物かもしれないという期待を捨てられなかったからだ。 (おかしいと思ったらすぐに逃げればいい) そう、自分に言い聞かした。 面接は学校が終わってからだ。 授業が終わって、急いで帰りの支度をした。 そのとき、同じクラスの男子が声をかけてきた。 「花菜さん、これからカラオケ行くんですけど一緒にどうですか?」 (カラオケ苦手なんだし、その敬語そろそろやめてほ
「魔法薬店 調合手伝い等 未経験可」をクリックすると他の求人票と同じ様式の求人票が出てきた。 魔法薬店 Lily(リリー) 魔法薬店 調合手伝い等 未経験可 職種 魔法薬調合手伝い、薬草収穫、店番(接客有)、掃除、他 勤務時間 1日3時間からOK 薬草収穫期は残業をお願いするかもしれません 給与 時給1,100円(研修期間は1,000円) 勤務地 ○○駅徒歩15分 職場環境 裏庭があります 四季を感じられる職場です 猫がいます(
「あぁ、もう、失敗した」 花菜(はな)は自分のベッドに倒れこんだ。 高校入学して2週間がたった。 花菜はこの春、高校デビューをした。 花菜は自他共に認める本の虫。特にファンタジー、空想の世界が大好きであった。 中学時代は休み時間のほとんどを読書に費やし、アッという間に三年間 が終わってしまった。 花菜自身はそれで充分幸せだった。 空想の世界に浸って、たまに幼稚園から一緒の気心知れた子たちに、その話がどんなによかったか熱弁している時間が、何より充実していると感じていた。友
もう、何を言っているのかわからない。 非現実的な話に頭が痛くなってきた。 アビゲールは自分を落ち着かせるためにお茶を飲んだ。 ウォルター卿は、黙ってこちらを見ている。 その真剣なまなざしは、嘘を言っているようには見えなかった。 「その計画を聞く前に、なんで王太子が私に協力求めているのかしら?」 ウォルター卿の顔が一気に明るくなった。 「それは王太子殿下があなたを気に入っていらっしゃるからです」 またしても、初耳の情報が入ってきた。 王太子とは接点がなかったはず。なの
ベケット卿が帰って、アビゲールはウォルター卿と呼ばれた赤い騎士と二人になった。 「悪いけど、もてなす気にはなれないわ」 「かまいません。私は、野宿に慣れているので」 アビゲールは本当に野宿する気か聞こうか迷ったが、騎士とは言え、見知らぬ者を家に入れるのは抵抗があった。 「そう」 と、言って自分だけ家に入ってしまった。 (どうしよう) 気丈にふるまっていたが、心の中は大騒ぎしていた。いったい何が起きているのアビゲールにはわからなかった。 (とりあえず落ち着かなく
アビゲールは、今日摘んできた薬草の処理をしていた。 ここ数日暖かい日が続き、森には薬になる草たちがぐんぐん伸びていた。 アビゲールは町から少し離れた森の中に一人で暮らしていた。 こうして、森に生えている薬草を摘み、薬を作っている。 町に売りに行ったり、町から買い付けに来たりするので、町の人との交流はあった。 しかし、町には住まず、森の中に暮らしていた。 森に住んでいるほうが、こうして薬草を摘むのにも楽だし、自分の魔法が失敗して周りの家に被害が出ることもない。 アビゲー
二人はドングリを拾いながら、コリンの家に向かった。 カヤはドングリ拾いに夢中になっていた。 家の近くだと小さなドングリしか落ちてないし、こんなにいろんな種類のドングリは見たことがなかった。 大きいもの、小さいもの。 まるいもの、細くとがったもの。 よく見るとドングリの帽子の模様がどれも違う。 そのたびにコリンがドングリ博士になって、ドングリの説明を始めるが、カヤはドングリの種類はどうでもよかった。 ただ、このつるつる輝いているドングリたちを集めることに夢中になっていた。
カヤは森の中を進んでいった。 周りを見渡して不安になってきた。 最初は平地だと思っていたが、斜面がある。 (おばあちゃんの裏山に似てる。もしかして、山なのかな?) カヤが知る限り、近所にこんなに大きな山はない。 それに車の音や人の声が聞こえない。 聞こえてくるのは木のこすれる音と鳥や虫のさえずりだけ。 (どうしよう。戻ろうかな?) そう思ったとき、前に何かが飛び出してきた。 「わっ!」 「わっ!」 飛び出してきた者も驚きの声を上げた。 カヤは飛び出してきた者
「近くの公園で遊んでくる」 カヤは家を出るとき、お母さんにそう言って出かけた。 でも、近くの公園には行かなかった。 今日は一人で行ったことのない公園に行くつもりだった。 「大丈夫、それほど遠くには行かない。車で通ったときに見たあの公園に行くだけ」 そう自分に言い聞かせた。 お母さんは、そこの公園は踏切を越えないといけないから、一人で行くことを許してくれなかった。 「今度、お母さんと一緒に行きましょう」 と、いつも言われるけど、その今度はずっと来ない。 カヤはちらっ
先日、人生ではじめて書いた小説をnoteに投稿しました。 そのときの感想を書いていきます。 1 なぜ小説を書こうと思ったのか 私は読書が好きになったのは大人になってからで、子供のころは読書感想文を書くためにいやいや本を読んでいました。 子供のころは自分が好きな本のジャンルがわかっていませんでした。 読書感想文を書きやすそうな、自分が苦手なジャンルの本を一生懸命読んでいたんだと思います。 大人になってから読書の楽しみがわかり、まわりの人に「趣味は読書です」と言えるように
1匹のドラゴンがいた。 北の方角をじっと見つめ、たたずんでいた。 太陽が真上に上っている。「深淵の森」は初夏をむかえ、太陽の光が新緑にあたりキラキラ輝いていた。さわやかな風が吹き、「深淵の森」の名前に似合わず、あかるく穏やかな日であった。 ここ数日北の方角が騒がしい。ドラゴンはわかっていた。 「人間がこちらにむかって来る」 「深淵の森」の北側には人間たちが群れを作り、国というものを作っている。何十年かに一度こうしてドラゴンのもとに人間がやってくる。 「さぁ