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ちいさな田舎町に女の子がいました

その女の子は眠りにつくとき
タオルを必ず持ってお布団に入っていました

そのタオルは涙を拭くためのものでした

あるとき

おばあさんが涙を拭いている女の子にそっと聞きました
なぜ涙が出ているの?

女の子はちいさな声で呟きました
さみしくてかなしいの

またおばあさんが女の子に聞いてみました
なぜさみしくてかなしいの?

女の子は唇をかみしめ少し黙っていた

しばらくしてぽつりと話し出した

あのね
お母さんは私の氣持ちをわかってくれないの

そうなんだぁ
じゃぁお母さんにその氣持ちをお話してみたら?
とおばあさんが言うと

もういないの
お話することもお母さんの氣持ちを聞くことも出来ないの
と言ったあと女の子はため息をついた

そっかぁ
それならおばあさんでよければ聞いてあげるよ
話してごらん
おばあさんは女の子にやさしく声をかけた

女の子は恥ずかしそうに言い出した

ほんとうはね

認めてほしかったの
褒めてもほしかったし
抱きしめてほしかった
やさしくお話もしたかったし
甘えてみたかったの
我慢もいっぱいしていたし
頑張っていたんだよ
好きなこともさせてほしかったし
尊重してほしかった


そうだったんだね
もう言いたいことはないかい?
おばあさんが尋ねると

女の子は肯きながら
うん


すると

おばあさんが女の子の言った氣持ちひとつひとつに
認めてほしかったんだね
褒めてほしかったのね
抱きしめてほしかったんだね
やさしくお話もしたかったんだね
甘えたかったんだね
我慢をいっぱいしていたんだね
いっぱい頑張っていたんだね
好きなことをしたかったんだね
尊重してほしかったのね
と言いながら
女の子が吐き出した氣持ちひとつひとつを声に出しながら
ぎゅっと女の子をやさしく抱きしめました

女の子はおばあさんに包まれながら
声を聞いていくうちに
だんだん安らかな氣持ちになっていき
心があたたかく満たされた感じになって
元氣が出てきたように思いました

女の子はおばあさんに聞きました
おばあさんは誰なの?

おばあさんはにっこり笑って言いました
あなたよ



女の子は心強いお守りを持っているような
そんな氣持ちになりニッコリと微笑みました

ありがとう




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