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満員電車でのハプニング

とある日の出来事。私は仕事帰りいつものように電車に乗った。ちょうど帰宅ラッシュのタイミングで満員電車だった。満員電車というものはいつになっても慣れない。そんなことを思いながら私はいつも通り電車に乗ったのだった。

満員電車に乗ってからしばらくすると、私の右斜めに立っていた柄物のシャツを着ていた男性が隣に立っていた男性サラリーマンにぶつかったと突然キレはじめたのだ。すると、男性サラリーマンは「すみません」と謝ったので、それでことは終わると思っていた。しかし、その柄物シャツの男性は数分置きくらいの間隔でずっとキレ続けている。

柄物シャツの男性:「おい、お前。さっきからぶつかってるんだよ。謝れよ、ああ?」
男性サラリーマン:「・・・」
柄物シャツの男性:「おい、聞いてんのかよ。なんか言えよ、ああ?」
男性サラリーマン:「・・・」

正直、満員電車なので少しの揺れなどでぶつかることくらいはあるし、その男性サラリーマンもわざとぶつかったわけではなかった。それは私も見ていたのと、何よりその男性サラリーマンも一度謝っている。

そして、男性サラリーマンは一度謝ってからというものの、柄物シャツの男性には返答しないという選択をしたのだろう。私はその選択は賢明な判断だと思った。なぜなら、この柄物シャツの男性とは、まともな会話が成立しないということは一連のやり取りで見て取れるからだ。

しかし、柄物シャツの男性はその男性サラリーマンに対して、終始阿修羅の如くキレまくっているのだ。

私は普段電車内で不審者や何か騒ぎなどが起こると、できるだけすぐに乗っている車両を変えるようにしている。だが、この日は満員電車だ。すぐに車両を変えることはできないし、その騒ぎは今まさに私の目の前で起こっている。私は早くここから離れたいと心の中で祈り続けていた。

すると、また電車が少し揺れたのだ。

そのタイミングでまた柄物のシャツの男性が男性サラリーマンに向かって、さらに信じられない言葉を放った。

柄物シャツの男性:「おい、お前。今こちらの女性にもぶつかっただろ?おい、謝れよ。女性にもぶつかってんじゃねえよ!ああ?」

(こちらの女性・・・)

(こちらの女性・・・)

(こちらの女性・・・)

非常に嫌な予感はしていたのだが、それは私のことだった。

男性サラリーマン:「・・・」

私はあまりにも気まずい空気感の中、柄物のシャツの男性になぜか軽い会釈をしたのである。今思えばなぜ会釈をしたのかわからないが、とっさに謎の行動をしてしまったのだ。

正確には、ぶつかったというより電車の揺れで軽く触れた程度かもしれない。確実にぶつかってはいなかった。もうわけがわからない。気が付いたらなぜか私もこの騒ぎに巻き込まれているのだ。私は電車に乗っている間、とても気まずかった。

それからというものの、その柄物シャツの男性はずっとブツブツ言いながら、目的地に到着するなり降りて行った。私は何かから解放される思いだったが、おそらくこの男性サラリーマンが一番そう思っていたことだろう。私はこの男性サラリーマンにお疲れさまでしたと心の中でつぶやいていた。

満員電車内では、このぶつかった・ぶつかってない騒ぎが起きるのをよく目にする。はたまた、乗降客数の多い主要駅に到着すると、「降ります、降ります、降りますーーー!!!!」というように大声で叫びながら、先に降りようとしている人をものすごいスピードで掻き分けて降りていく人もいる。

そのような人を見ていると、そんなことを声を大にして言わなくてもたくさんの人が降りることくらい誰もがわかっているのだから心を落ち着かせてほしいと思う。満員電車がつらいのは皆同じなのだから。

4月には新年度も始まり、新たな気持ちで臨む人が多い中で、今後少しでも通勤ラッシュ時の満員電車が改善されて、いつの日か通勤電車に平穏な日常がくることを私は心から願っている。

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