タイムトンネル天国

タイムトンネルがあったらなぁ。

何度、そんなことを思っただろう。

多分ダメだって薄々気づいてたけど、我慢できなくて告白して、やっぱりダメだった時。

コクらなきゃよかったなって。

受験で最初は正解を書いたのに、時間ギリギリになって、もしかして違うかもって考え直して正解を消して間違いを書いた時。

オレ、つくづくバカだなって。

仕事で上司と意見が食い違って、忖度すればいいのに正論を吐いちゃって窓際に追いやられた時。

言わなきゃよかったなって。

そんな時、タイムトンネルをくぐって過去に戻って、やり直したいって思う。

でもね。

時の神様が語りかけてくる。

自由気ままに時間をさかのぼることができてしまったら、何とも歯応えのない人生になってしまうぞよ。

失敗したら巻き戻してやり直して体裁を整える、また失敗したら巻き戻してやり直して体裁を整える。

そうやって、成功したつもりになる人生、果たして幸せなんだろうか。

その瞬間、その瞬間が一度っきりだからこそゾクゾクする、ゾクゾクできる。

常に失敗と背中合わせだから、緊張して、怖じ気づいて、でも心を決めて何かに挑んでみる。

だから、生きる価値がある。

#渡辺美里 #タイムトンネル天国 #タイムトンネル #短編小説 #詩 #エッセイ #400文字のショートストーリー


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?