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うつ病の母が字の練習をがんばる姿を見て

私の母はもう何年もうつ病です。

ある日、倒れて動けなくなっているのを見つけ、3ヶ月近く入院しました。
今ではケアマネさん・ヘルパーさんの力を借りながら、なんとか自宅で生活できるようになりました。

入院する前は何年もまったく外出することができませんでした。
でも、最近ではヘルパーさんや私と一緒に買い物に行ったり、散歩に行ったりできるくらいまでになりました。

それだけでもすごい進歩です。

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うつ病の深い闇の中にいた母は、以前とは比べ物にならないほど元気になりました。
ケアマネさんやヘルパーさんが訪問して母の話相手になってくれ、買い物や 散歩にも連れ出してくれるようになったおかげです。

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そんな母ですが、先日うれしい出来事がありました。

最近母は、役所関係の手続きなどで字を書く機会が増えたのですが、「字を書くとき手が震えてしまってうまく書けない」と悩んでいました。

そこで私が「字の練習ができる本が売っているから買ってこようか?」と言うと、母は「やってみる」と答えました。

正直に言うと、母が本当に字の練習をするかどうかは微妙だなと思っていました。
まだうつ病から完全に抜け出せたわけではなく、「何にもやる気が起こらないんだよね。。 」とよくこぼしていたからです。

でも、母がやる気になっているのが嬉しかった私は、すぐに字の練習帳を買ってきて母に渡しました。

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いろいろな店で字の練習帳を見てみたのですが、いちばんしっくりきたのは セリアで見つけたものでした。
本屋にもたくさんの種類の練習帳があったのですが、分厚くて途中で挫折しそうでした。
しかし、セリアの本は薄くて最後までやれそうに見えました。
内容もバランスが取れていて、はじめの一歩にピッタリだと思いました。

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母に 字の練習帳を渡して1週間後、実家に行ってみるとリビングの机に練習帳があるのを見つけました。

おそるおそる母に「字の練習は調子どう?」と聞いてみると、母が「もう半分くらい終わったよ」と言うのです。

私は驚きました。

何年もうつ病で家事もできず、外出もできず、「何もやる気がしない」と言っていた母が、コツコツと字の練習を頑張っていたのです。

「手が震えて字がうまく書けない」という問題意識を持ち、「字が上手く書けるようになりたい」と希望を持ち、実際に「字の練習をする」という行動に移したのです。

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私は驚くと同時にとてもうれしい気持ちになりました。

母が自分を高めようと努力する気持ちになったこと、そして実際に行動に移したことがとてもうれしかったのです。

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きっと字の練習以外にも、母にはやってみたいことがたくさんあるように思います。

これまでうつ病で「何も楽しいことがない」と言っていた母に少しでも「生きていてよかった」と思ってもらい、楽しい時間を過ごしてほしいです。

母の希望をしっかりと聞き、それを実現していく手助けをすることが、息子としての私の大事な仕事であることを強く感じた出来事でした。



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