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先生と私_第14話「ヒューリスティクス」


  先生の好きそうなツイートを見つけましたよ。

先生 これは男性と女性の非対称性を考慮してませんね。まず生物学的にオスは若いメスに欲情します。そして、メスはオスに強さやたくましさ・保護力を欲します。この言説でいうなら、女性が男性に保護力や強さを欲するのはクズってことになります。

  ふむ。

先生 女性が男性に経済力や頼れる能力を求めることは人間的に浅く、自分の未熟さを隠すクズということにもなりますが、それを言ったら多分こういう人って怒るのでしょうね。

 『おにいたんあのね、若くてキラキラしてる女に惹かれたときはね、自分がもしその女と同じ性別同じ年齢だったとしても人間として尊敬できるかちゃんと考えてから付き合うんだよ?年上を狙う女は大抵が能力の割に人間として見栄を張っててそれを隠すために若さだけで承認欲求や虚勢を張ってるクズだからね?って小4の甥が言ってた。』

先生 そういうことです。まあ女性の場合は「年齢」というよりは「地位」や「経済力」が当てはまりますね。私はこの手のヒューリスティクス的な言説で、理性とか曖昧な定義に依存して人を見下す言葉は信用していません。ツイートを要約すると「いい年こいた人が年下と恋愛するのは人間として未熟で、何故未熟かというと本能的で理性がないから」ということでしょう。これだと若い頃に恋愛しなかった人はだいたい人間的に未熟ということになります。

  ツイートの方は恋愛至上主義者なのですね。

先生 言いたいことはわかりますが「いい年したおっさんが若い子で遊ぶのむかつく!」という単純な中身なのに、自分のイデオロギーを「理性」や「姪」などの言葉を利用して主張するのは卑怯で浅ましいです。私はキラキラ女子のことは糞だと思っていますが、それが人間的に未熟で理性がないとは別に思いません。なぜならキラキラ女子にむかつく私も十分浅ましいことを理解してるからです。

  嫉妬は浅ましいことなのでしょうか?

先生 浅ましいと思う人もいれば、堂々と嫉妬を表に出す人もいます。嫉妬が浅ましいことなのかどうかは各々が決めることでしょうね。

  ほう。

先生 年下女性に威張るおっさんが現れるのも若い頃に同年代女性に馬鹿にされた経験があったり原因は調子乗ってる若い女性だったりするわけで。まあ、全てにおいてですが、簡単に他者をクズと帰結するようなヒューリスティクスの大体はその人の好みが反映されていて、それを主張したいために世間とか理性とかを利用してるだけの場合が多いです。

  そうなんですね。

先生 今回の話をまとめると、いくら年下の女性をちやほやして遊んでるおっさんを馬鹿だクズだと言ったしても、年下の若い女性をはべらかすことの出来るおっさんのほうが幸せだということです。

  あ、そういう方向にまとめてきましたか。



おわり