誰も教えてくれない行政書士のキャリア形成術
行政書士という資格があります。
試験は年一回、合格率は年にもよりますが10%前後です。
士業(弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、弁理士、社会保険労務士、中小企業診断士、海事代理士、行政書士など)の中では、試験が比較的やさしい資格だと言われております。
行政書士の業務は、
・役所から許認可や免許を取得する手続きの代行(営業許可や車庫証明を代行取得する)
・相続財産調査や遺産分割協議書の作成
・契約書や図面の作成
などがあります。
行政書士は、士業の中では、弁護士、税理士に次いで知名度が高い資格です。
いろいろ話題にされがち(良くない話題も少なくないです)な資格と言っていいでしょう。
行政書士というのは、実に不思議な資格です。
試験問題自体が、全く実務向けではなく、しかも行政書士試験合格者が行政書士事務所で雇われることによって実務経験を得ることが、ほとんど不可能な状況です。
他士業(司法書士や社会保険労務士など)や他業(不動産業や保険業など)との兼業者が非常に多いというのも特徴です。
司法試験受験生や司法書士試験受験生や公務員試験受験生が、行政書士試験を”ついでに”合格していく例も非常に多いです。
このようなカオスな状況で、行政書士としてのキャリアを着実に形成していくためには、頭を使わなければなりません。
ご存知の通り、行政書士というのは、他士業に比べると、廃業率が高いです。
当行政書士冨楽(ふらく)事務所は、おかげさまで、開業14年目を迎えられました。
また、私は、行政書士として、開業後、後輩行政書士100名以上の相談を受けてきました。
資格試験予備校である早稲田セミナーでの受講生相談を含めると、500名以上の相談を受けてきました。
ツイッターでは、ほぼ毎日、行政書士事務所経営に役立つノウハウを公開しています(https://twitter.com/FurakuOffice)。
そんな今までの経験を元に、「行政書士として長く生き残るための、ケース別キャリアプラン」として、
1.新卒者あるいは新卒予定者
2.既卒で、現在はフルタイム勤務者の人
3.既卒で、現在は無職(あるいはアルバイト)の人
という3つのケースに分けて述べさせていただきたいと思います。
1.新卒者あるいは新卒予定者
このケースの人は、現在、最も有利なポジションにあります。
在学中に行政書士試験に合格した人、あるいは現在合格を目指している人もいるでしょう。
行政書士試験に合格していてもいなくても、卒業後は、士業とは全く別の業界に就職することをお勧めします。
いきなり士業事務所(行政書士も含む)に入ると、視野が狭くなってしまいます。
士業事務所の経営者も、士業だけに目がむいている人より、他業界の水を飲んできた人の方が好ましいと思っているのです(成功している行政書士事務所の所長もそういう意見の人が多いです)。
ですから、学校卒業後は、まずは士業とは直接関係ない業界に一旦入り、そこで数年勤務した後、全国に支所があるような最大手級の行政書士法人に入所するというルートをお勧めします。
最大手級の行政書士法人というのは、具体的には、
・オータ事務所(本店東京)
・行政書士法人名南経営(本店名古屋)
・行政書士法人きずなグループ(本店神戸)
・SATO行政書士法人(本店札幌)
などです。
こういう最大手級の行政書士法人には、なかなか入所できませんが、20代半ばまでで、他業界出身者なら、歓迎されるでしょう。
大手事務所でしか経験できない大きな仕事というものがあるので、それを経験することは、今後の行政書士人生において、かけがえのない財産になります。
これらの全国規模の最大手級の行政書士法人以外にも、その県のトップクラスの行政書士法人を目指すのも手です。
その後は、その大手事務所で出世を目指すのもよし、大手事務所での勤務経験を元に独立開業するのもよしです。
2.既卒で、現在はフルタイム勤務者の人
このケースの人は、いきなり新規開業したり、あるいはいきなり士業事務所に転職することは、あまりおすすめできません。
現在お勤めの会社等でお給料をもらえているうちに、開業の準備として、
・行政書士試験(あるいは他資格も)に合格しておくこと
・行政書士事務所経営のための知識を蓄えておくこと(経営戦略、宣伝戦略、税務・会計・資金繰り、開業場所の選定、業務メニューの選定 等の研究をする)
・行政書士業務のうち1つくらいは開業前にマスターしておくこと(実務セミナーなどを利用して)
・行政書士開業のためにカードをつくったり口座をつくったりしておくこと
を済ませておくべきです。
開業前に上記のことを済ませておくと、生き残る確率がグンと上がります。
それらを済ませてから、行政書士事務所や他士業事務所(土地家屋調査士事務所がお勧めです)の補助者に応募しましょう。
上記に書きました通り、士業事務所は、他業界出身者を歓迎しますので、キャリアのブランクがない人は、かなりの大手事務所にも採用されやすいです。
もし、あなたが、まだ30歳以下の若さならば、上記の「1.新卒者あるいは新卒予定者」で記載した、最大手級の行政書士法人に応募しても、採用される可能性はあるでしょう。
行政書士事務所や他士業事務所で1年程度修業した後に、新規開業に打って出ましょう。
あるいは、その事務所で重要なポジションを任されるようになったならば、しばらくその事務所で勤務しつづけるのも手です。
3.既卒で、現在は無職(あるいはアルバイト)の人
このケースの人は、今後進むべき道を、よくよく考えないといけません。
すでに書いた通り、行政書士試験の合格者といえども、行政書士事務所には、ほとんど雇ってもらえません。
こういう状況で20代後半以降になってしまった人は、キャリアのブランクもあるので、一般企業にもなかなか雇われにくくなります。
ならばどうするか。
実は、女性ならば、男性よりも、行政書士事務所に、はるかに雇われやすいです。
ですから女性は、行政書士事務所の補助者募集に応募すれば、雇われないこともないです。
行政書士事務所だけではなく、弁護士事務所や司法書士事務所や税理士事務所にもあたってみましょう。
弁護士事務所などは、法律秘書という名目で、もっぱら女性を雇用しています。
そこでの経験を武器にしつつ、「2.既卒で、現在はフルタイム勤務者の人」の項で述べた開業の準備をするのです。
しかし男性の場合は、行政書士事務所に採用されるのは、非常に厳しいです。
そこで男性は、土地家屋調査士事務所の補助者に応募することを強くお勧めします。
土地家屋調査士事務所の補助者は、測量助手がメインの仕事です。
測量助手は、夏は雑草や虫と戦い、冬は凍える寒さと戦いながら、杭を探索したり、穴を掘ったりする、ぶっちゃけ肉体労働です。
しかし、本格的な建設作業員ほどは体力を必要としません。
知識も、四則計算さえできれば十分つとまります。
それに加えて、土地家屋調査士事務所では、不動産調査や図面作成も業務になります(この知識は行政書士開業時に滅茶苦茶役に立ちます)。
男性が99%の世界で、年齢もあまり気にされなくて、人の流動性もある世界ですので、応募すれば、どこかには採用されるでしょう。
土地家屋調査士業務は、行政書士業務との親和性は最高ですので、土地家屋調査士事務所での勤務経験があれば、行政書士での新規開業でも、極めて有利になります。
土地家屋調査士事務所で修業しつつ、同時に「2.既卒で、現在はフルタイム勤務者の人」の項で述べた開業の準備を進め、十分に準備が整ってから開業するのです。
このケースの場合、行政書士試験に合格してから土地家屋調査士事務所に入ってもいいですし、土地家屋調査士事務所に入所後に行政書士試験の合格を目指してもいいでしょう。
行政書士試験は、勤務しながらでも、十分合格できる試験ですので。
追記
「行政書士資格をたまたま取っていたので、いっちょ開業でもしてみるか」というパターンが一番廃業の危険性が高いです。
行政書士は、何の準備もなく開業しても、まず生き残れないです。
開業前に十分な準備をして、なおかつ、開業後に一生懸命に動いた人だけが、生き残れる世界です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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〒306-0624
茨城県坂東市矢作2070-1
行政書士冨楽事務所
代表行政書士 冨樂剛志(ふらくたけし)
行政書士登録年月日 平成17年4月2日(開業14年目)
所有資格:行政書士、宅地建物取引士、測量士、マンション管理士、管理業務主任者
経歴:元早稲田セミナー講師、元早稲田セミナーキャリアカウンセラー、元土地家屋調査士事務所補助者
TEL:0297-38-1777
FAX:0297-38-2615
携帯:090-5557-6205
メールアドレス:furaku-sougou@email.plala.or.jp
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「行政書士 生き残るための四要件」:https://note.mu/furakuoffice/n/n29b5acc7d2b9
「この三つにあてはまる人は、行政書士として、食っていくのは、難しいです」:
https://note.mu/furakuoffice/n/nc7a896e22e5b
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