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本当の心理的安全性とは?(誰もあなたを責めてない)の話。

一言であらわすなら「不安症」なのかなと思います。

たとえば、旅先の見知らぬ土地で車を運転している時、助手席に座っている妻のちょっとした助言を受け入れて、カーナビが示す道とは違った道に進んだとします。

それで早道だとか正しい道に行っているならいいんですけど、もしやっぱり目的地とは違った道だったりした場合に、私はたちまち緊張状態になってしまうんです。

「ほら、やっぱりカーナビが言ってた通りだった」
「目的地に到着する時間が遅くなるんじゃないか」

そういったことを思って、すぐに不機嫌になる。多分あまり運転に自信が無いということもあるのでしょう。本当にタチが悪い人間だなと自分で思います。

どうしようもないダメ人間ですけど、アドバイスをくれた妻に対して「ほら見ろ」みたいな態度をとって責めてしまうこともあります。

でも、よくよく考えてみると、それはおかしな話なんですよね。

まず、そのアドバイスを聞くかどうかは私自身が判断したもので、決して妻は「絶対こっちの道に進んでくれ!」とお願いしたわけではない。私自身がその道を選んで進んだに過ぎないわけで、その責任は妻ではなく私にあるはずです。

また、たとえ道を間違えていたとして、目的地に着く到着時刻が想定よりも遅かったら、一体どうなるか。どうもならないです。別に不都合なんて無い。大事な商談を控えているわけでも、家族が急病で差し迫った状況というわけでもない。そしたら、別に少しくらい遅れてもいいはずです。

そういうことを冷静に考えると、一体自分は何に対してそんなに機嫌を損ねていたのか。

きっとそれは二つあって、一つは「完璧主義」でありたいということと、もう一つは「不安(恐怖)」を感じてしまっているということ、だと思うんです。

完璧主義は、その名の通り「完璧でありたい」ということだと思いますけど、それは「何でも思ったようにしたい」ということで、裏を返すと「失敗したくない」ということだと思います。

私なんて、別にルックスも学歴も勤め先も収入も、大して誇れるところは無いので「完璧」とは程遠いはずですけど、それでも「完璧」を求めてしまっているということになります。

やっぱりそれっておかしい。もしかしたら逆説的に、完璧ではないからこそ、求めてしまうという意見もあるかもしれません。ですが、全然完璧じゃないくせにそれを求めているなんて烏滸がましいことで。恐らく私には自分自身が見えていない可能性もありそうです。

次に、不安(恐怖)についてです。これは恐らく、小さい頃から「人に迷惑をかけるな」という言葉を言われ続けて育ったことが原因の一つにあるかもしれません。親のせいにして申し訳ないですけど、やっぱりずっと心のどこかで「人に迷惑をかけること」=「悪」という価値観が根付いているんだと思います。

ですが、今回のことでいったい誰に迷惑がかかったのかというと、誰にも迷惑はかかっていないのです。それでも、その「誤ったであろう行為」つまり「失敗」をした自分が許せなかった。それは、そういう失敗によって、誰かから叱責した過去を思い出してしまう。そういうフラッシュバックがあるように思います。

「他人に迷惑をかけないように」という言葉は、いつのまにか「自分が失敗したことで他人を怒らせてしまうかもしれない。だから絶対に失敗したくない」さらに「失敗したら、誰かが自分を責める」という思いに発展してしまっているように思います。

それはやがて、誰かが私を責めてくるのが怖くて、こちらも戦闘体制と言いますか、攻撃的な思考になってしまう。「こちらは悪く無いんだぞ」と自身の行為を正当化するように。

でも、落ち着いて、その当時の運転中の出来事を思い返してみます。すると、誰も、私を責めなかった。妻も責めてない。子供も責めてない。そのことで胸ぐらを掴まれて罵倒されたり、ナイフを突きつけられて脅されたりなんてこと、されてないわけです。

私がミスをしたことで、別に誰の怒りも生まなかったということになります。

ここがとても大事なポイントで。

「失敗」=「誰かに迷惑をかけてその人が怒る」という方程式が常に成り立つわけではないということ。

それが、タイトルにも書いた「心理的安全性」に繋がってくる部分があるように思えたのです。

「そうか、ミスしてもいいんだ。誰も責めてこないんだ」そういう思いを心の中に持てることこそ、臆病で怖がりで偏見に満ちた自分が閉じ込められている檻の鍵を開けるヒントになる気がしました。

不安な気持ちは、分かる。
それをすぐに取り除くことは難しいのも分かる。

でも、そういう「間違えても、大丈夫なんだ(攻撃されないんだ)」という思いによって、ちょっとだけ前に進む勇気が貰える。そんなふうに思うわけです。おわり。

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