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数ある体の見方とどう向き合うか?

体のケアの仕事をしていると、新しい理論やら言葉がしょっちゅう出てきます。最近だと骨盤とか筋膜という言葉をよく耳にしますね。

しかしながら、そもそも人間の体は何万年も前から大して変わっていませんし、今後もそんなに変わらないでしょう。変化しているのは見立てる方法です。

近代西洋医学と東洋伝統医学の違いもそうですし、Bodyworkerの領域に限定しても骨盤のゆがみが、とか筋膜がとか色々な言葉が飛び交っていますが、結局はどれも体をみる時の切り口が違うだけです。

実際のところどれが正解か間違いかもないと思います。もちろんエビデンス(科学的根拠)があるのはある程度の強みにはなりますし、それがないものは著しく信憑性は下がりますが、そもそも個人差が多い医学という領域ではエビデンスの有無すらも絶対的な基準とは言えません。

Bodyworkerの日々の活動レベルで考えても、骨盤がゆがむとかゆがまないとかの議論もありますが、そもそもゆがむという言葉が何を指しているのかという前提条件も一致していませんので、議論そのものに意味があるのかも疑問です。

また流行りは上手なマーケティングによって作られますので、良いものであろうとそうでなかろうと、真実であろうとなかろうと流行るものは流行りますので、流行りのものが正解だと考えるのは短絡的です。


そしておそらく十年後にはまた新しい理論が何かしらあるでしょうし、その十年後も然りでしょう。しかしながら私たちの体自体は何も変わりません。現在最先端とされる見立ての仕方でもすぐに陳腐化してしまう運命にあります。

となるとその時々の流行りに振り回されるのが賢明な方法だとは思えません。流行りが出てくる度に新たな勉強会にお金を使うことになるだけです。

そもそも体のことは神の領域で人間には永久にわからないと思いますので、そこを解ろうとすること自体が横柄な発想なのかもしれません。もちろんそれでも探求を続ける必要はあると思いますし、それが楽しくもあるのですが、少なくともこの領域に足を踏み入れるには謙虚さが必要でしょう。

いずれにせよ唯一絶対の理論なんて存在しないし、これからも現れることはないでしょう。この前提は大切にした方が良いと思います。

どんな理論を学ぶにせよ、そもそもあってるか間違っているかはわからないし、結局は考える時の材料として使うしかないと思います。仮にトンデモ理論であろうと人に体には個人差や心理的側面の影響も大きいので効果が出る場面もあるし全く役に立たない場面もあるでしょう。

自分の学んだ理論が絶対的だと信奉すると楽ですが、それは思考停止です。そもそも誰にでもあてはまる絶対的な理論は構築できませんので、評価の高い理論であっても、あくまで数ある考え方の一つとして使える場面で使うというスタンスにとどめておいた方が賢明だと思います。

特に標準医学を軽視して様々な流派に飛びつく姿勢が一番危ういと思います。
もちろん標準医学自体が完璧ではなく現代進行形で進化を続けている分野ではありますが、そもそも統計をとって一定数の効果があればそれが現時点での正解とされるのが標準医学です。

個体差があるがゆえにそこにはまらないケースもどうしても出てきてはしまいますが、世界中の優秀な治療家や研究家が臨床や実験を通してある程度認めた基準である標準医学が現時点で信憑性が最も高いと言えるのは当然だと思います。

世界中の優秀な頭脳や研究装置を駆使して得られたデータの方が、どこかの誰かの思いつきの話よりは圧倒的に信頼度が高いという事実は言うまでもないでしょう。


しかしそうして得られた知見すら完璧ではないし、時にそこから違った方法をとる事で症状が改善するケースもあるとは思いますが、だからといって標準医学が否定されるべきでもありません。新しい理論や技術に飛びつく前にまずはこのことをしっかりと認識しておいた方が良いと思います。最低限標準医学の基礎は理解しておかないと、学ぼうとする知識、技術がどのような立ち位置にあるのが、正確な物差しで測ることもできないと思います。

標準医学という学びを進める際の碇になる足場がないと、結局は流行りに振り回されて勉強会の梯子を続けてしまうだけになる危険性が高いのではないかと感じます。

ですので、

・そもそも体のことに対して万人に当てはまる絶対的な答えはないということを忘れないようにする
・どんな流行りの理論よりも何よりもまず標準医学の基礎をしっかりと学ぶ
・その上で色々な考えに触れて視野を広げていくというステップをしっかり踏む

僕はこの三点を大切にしています。

その上でどんな技術や知識であっても自分独自のコンテンツを作り上げる際の道具であり、学んだ知識、技術のどの部分を取り入れてどの部分を捨てるのか、といったことを意識しながら批判的目線で学習対象と向き合いながら学んでいくことも忘れないように心がけています。

これは医学に限らず、物事を学ぶ際の基本的な姿勢に共通する要素ではないかなと思っています。

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