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想いの花束 (恋愛のこと)

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本当に好きな人と出会った瞬間、私の中で見えていた世界がガラッと変わりました。 まだ誰にもわからない私たちの恋の行方。 願いと諦めを彷徨う気持ち。そんな作品を集めてみました。
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好きな理由なんて

若草色が好き 森の小鳥たちのさえずりが好き 優しい沈丁花の香りが好き 柔らかい日差しの中で 好きな曲を聴きながら ゆっくりコーヒーを飲む時間が好き 好きな色 好きな音 好きな香り 好きな時間 好きな理由なんか特になくて ただ何となく好きなもの みんな好みが違って当たり前で どれを好きになっても自由で 時々、好きなものを バカにする人もいて そんな時は一瞬頭にくるけど でも何とも思わない どれが一番とかじゃなくて どれも正解だから でも、どうして人を好きになる時は

お互いの街なのに

久しぶりに晴れた朝 あなたは私の住む街へ 私はあなたの住む街へ お互いすれ違いで 職場に向かう毎日 電車の窓に映る私 冴えない自分に目を逸らす 見慣れた街並みは 前に比べてなんとなく セピア色に感じてしまう 私たちはいつか あの日々のように 同じ場所で 一緒に悩んだり笑ったり できる日は来るのだろうか 職場が変わってお互いが住んでいる街で 仕事をすることになった二人 まだ完全に縁が切れたとは思えない 思いたくない あなたの職場の近くに行く時は つい会えることを期待

私に咲く一輪の花

かじかんだこの手を あなたが優しく包んで 温めてくれたから 凍りついた心が 少しずつ解けてきた あなたの笑顔に触れたから 偽りの私は枯れ 本当の私が芽吹始めた あとは自分で花を咲かせるだけ このまま花も咲かせずに 終わりたくない 大きな花でなくていい 可憐な花でなくていい 野に咲く小さな花みたいに 他の誰かの好みに合わせた花ではなくて 内側から輝く自分だけの色と形 そして優しい香りの花を咲かせたい その花が咲く頃にきっと あなたが見つけてくれる気がする 私の気持ち

7つの星のてんとう虫

あなたが言った さりげない褒め言葉が 私にとっては 最高に嬉しい言葉でした その言葉を思い返すだけで 辛くて冷たい世界でも 生きてみようと思うことができました あなたと会えなくなって 長い日々が流れて行ったけど もう一度あなたに会える日まで 私が私であることに 誇りが持てる日が来るまで もう少し頑張ってみようと思います 突然飛んできて胸元に止まった 幸せを運ぶと言われる 7つの星のてんとう虫に願いを込めて

桜の夢と夏の空

朝、鳩の歌声で目が覚める 久しぶりにあなたの夢を見た 桜の花が舞う近くの公園で 髪にピンクの花びらを乗せたまま 優しく笑っていた そして「やっと一緒になれるね」って 私に手を差し伸べてくれた 心地いい朝 スマホの時計は5時55分 もう一度目を閉じる あなたと会えなくなって もう1年半 季節だけが私の前を 次々と流れて行った スマホに登録された あなたの電話番号 ボタンを押せば あなたの声が聞けるのに ボタンに触れずに あなたの名前を ただ見つめるだけ そんな事を

2度目のおやすみなさい

真夜中にふと目が覚める カーテン越しにほんのりと光る月 月に向かって静かに祈る 「あの人と結ばれますように」 寄せては返す波のように 期待と諦めを繰り返す あの人への想い あの人は1日のうちに 1秒でも私のこと 思い出してくれているのかな そんなことを思いながら 温かくて優しい布団に包まれる そしてゆっくりと 夢の世界へと 溶けてゆく 今夜2度目のおやすみなさい 今日も一日頑張ってね

お月様と乾杯

想いを告げられないまま 私の好きなあの人は 違う職場に移動してしまった あれから2ヶ月 あの人は新しい職場でも 相変わらず輝いていると 噂で聞いた あれから2ヶ月 私は過去に背負った 心の大きな傷から 逃げられないまま 何も変わることのない日常を ただこなすだけで精一杯 引き寄せの法則で 同じ波動の人を引き寄せると 聞いたことがあるけれど このままの私では あの人とまた笑顔で話せる日が くるのだろうかと不安になる そんなモヤモヤを抱えながら 朝、玄関のドアを開けると

「じゃあ、またね」と言ったあの日から

あの時、素直に「助けて」と言えたなら あなたは助けてくれたのでしょうか? 私たちの関係は 今とは違っていたのでしょうか? ほんのり緑の香りがする風に 小さな声で問いかけても 遠くで小鳥が楽しそうに会話しているだけで 私のところに答えは届かない 「じゃあ、またね」と言ったあの日 また何日かすれば会えると思ってた 私たちは運命の悪戯で その後1年以上 会えないままになってしまった 何かを壊せば簡単に繋がりそうなふたり でも簡単には壊すことのできない 心の中で複雑に絡み合う

晴れ男と雨女の未来

仕事からの帰り道 スーパーで買い物をして外に出ると    晴れていたはずの空が  薄い灰色に包まれていた でも、あなたの職場辺りの空は 優しい水色をしている そういえば、あなたは晴れ男 私は雨女  遠足も運動会も 林間学校も修学旅行も 雨が付きまとっていた あなたと一緒になれたら たとえ私のいる場所が雨だとしても 心の中はいつも 飛行機から見る空みたいに 真っ青に澄み渡っていて 悲しさやモヤモヤも 青さに飲み込まれて 消えて無くなってしまうのに   そんなことを思いなが

お月さまに会える日

お月さまは昼間に見えたり 夜に見えたり 空を見上げるたびに  会える時もあれば 探しているのに会えない日が 続く時もある 私が密かに好きなあの人も お月さまみたいに気まぐれに      会えていたのに あの人が4月から職場の移動になって 会える可能性がなくなった もう縁がないのかと 諦めようと思った時 風の噂であの人の職場が 私の家と同じ市内だと知った また、どこかで会える        そう思うと少し嬉しかった 夕方に聞こえてくる 「夕焼け小焼け」のチャイムを あ

今日も狭いベランダでひとり

我が家のベランダは狭いから たくさんの鉢は置けないけど 春は沈丁花 初夏は紫陽花 夏は朝顔 秋は金木犀 冬はクリスマスローズ 小さな季節は楽しめることができる いつか広いベランダに 香りのする季節の花をたくさん置いて 星と夜景を眺めながら あなたと一緒に美味しいお酒を 楽しめる日が来るといいな もし願いが叶うなら そうやって、あなたと一緒に 何気なく通り過ぎてゆく季節を ひとつずつ大切に 味わってきたい そんなことを願いながら 今日も狭いベランダでひとり 星空の下で

桜の花びらに思いを込めた

春に咲く花のように あの日あなたと私は 穏やかに優しく笑っていた あの日から1年 私たちは近くにいれたはずなのに 運命のイタズラで すれ違いばかりだった あなたは職場の移動で 今の場所から離れてゆく このまま想いを告げることなく 時が過ぎていってしまうのか 背負うものが何もないのなら 今すぐにでもあなたの所に 飛んで行くのに 焦りばかりが騒ぎ立てて 不安の渦に巻き込まれたまま 何もできずに ただ不毛な時間だけが過ぎてゆく あなたの存在が私の中で こんなにも大きかっ

LoveではなくLikeを選んだから

私の恋はいつも 相手に想いが届かないうちに 伝えないまま 私から諦めてしまっていた 自分で勝手にこの恋は叶わないと 思い込んでいた おかげで涙を流すことに 慣れてしまった 粉雪が舞い散る冬の日に 私を好きになってくれた人が 私の前に現れた 私にとって春の光が やっと私のところにも来たのかと 少し嬉しかった でもその人に対する私の気持ちは Love ではなくLikeだった 私は戸惑いを隠そうと必死になった 普段は着ない ゆるふわファッションを身にまとい お転婆を隠して大

どうか希望の花までも奪わないで

信じていた人に 長い間傷つけられて裏切られ ボロボロになっていた私は 運命のイタズラで その人とその場所から 離れることになった 思い出と大切な物をほとんど捨てて 私はもがきながら なんとか新しい場所にたどり着いた 新しい場所は 傷つける人が居なくなって 穏やかになった それと引き換えに襲いかかる 不安と焦りと寂しさ でも周りの人にはバレないように 必死で笑顔を作って 何でもない様に見せてきた 波の様に押し寄せる 苦しい現実に巻き込まれても この世界から何度も消えた