バイオリズム。
 
この言葉を知ったのは、
どこかのオリンピックの開催前。
 
コーチが、
体調管理や精神的ケアを行い、
試合当日にピークが来るよう、
万全の体制で調整していると答えていた。
 
そう考えると、
スポーツ全体の見方も変わる。
 
予選ギリギリだったのに、
本番は自己最高を叩き出す選手。
 
昨年は調子が良かったのに、
開幕は影を潜ひそめている選手。
 
季節が変わると、
急に調子を上げてくる選手。
 
見えない苦労と支えを感じる。
 
実はうちにも選手がいる。
 
彼は冬場は振るわない。
夏場に強い選手なのだ。
 
だから私もそれに合わせて、
対応しなければいけない。
 
私がスカウトした選手ではない。
親がどこからか連れてきた選手。
 
年俸を調べてみた。
 
約4,000円。
 
入団したてで直ぐ見放され、
戦力外通告でくすぶっていた。
 
私がそれを拾って磨きをかけた。
 
今では大事な主力選手となった。
 
朝は彼なしでは始まらない。
 
【トースター】
 
冬場は焼きが甘く、
夏場と同じ設定では焼き目がつかず、
追加焼きをしてあげないと本領発揮ほんりょうはっきしない。
 
打力も弱く、
パンが飛ばない時もある。
 
しかし夏場の彼は一味違う。
 
一度で焼き目はクッキリ！
パンも勢い余って場外へ。
 
まさに絶好調！
 
夏場の彼に、
私は釘付け。
 
そして今日、
いつものようにパンを焼く。
 
私の後ろで、
軽快な打撃音が鳴り響く。
 
豪快な特大ホームラン。
 
床にはうつ伏せのパン。
 
今年は…
オープン戦からいけそうだ！