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どろどろの聖書(2021/11/12)/清涼院流水【読書ノート】

「世界一の教典」は、どろどろの愛憎劇だった!
今、世界を理解するために必要な教養としての聖書、超入門。
ダビデ、ソロモン、モーセ、キリスト……誰もが知っている聖書の登場人物の人間ドラマを読み進めるうちに聖書がわかる! 聖書に記されている厳選された愛憎劇を順を追って読むことで、聖書の全体像がつかめます。
「新約聖書は旧約聖書のなかに秘められ、旧約聖書は新約聖書の中で解き明かされる」。目からウロコの内容で、あなたの「聖書」に対する見方が変わる?!
カトリック司祭:来住英俊さんご推薦!
「聖書のエピソードには、意味が不透明なものが多い。明確な教えにできないものをストーリーとして伝える。それが物語の神学としてキリスト教で重視されてきたことです。ですから、その理解には、広く多くのエピソードをストーリーとして知ることが肝要です。そして、本書は、新約・旧約聖書のエピソードを網羅しているのです。

聖書を知らないクリスチャン。
クリスチャンだからといって聖書を読んでいるとは限らない。
聖書を読んだことのないクリスチャンもいる!?
ええーッ!
最初はびっくりしたが、よく考えてみると、日本人の多くは仏教式の葬儀をやっているが皆がみな仏教を知っているとは限らないのだから、特に驚くほどのことでもないのだ。

巻末付録より
本書終盤にも登場するイエスの弟子の筆頭格であるペトロを「初代教皇」として、現在までローマ教皇をトップとする一枚岩の組織であり続けてきたのが、カトリックと略されるローマ・カトリック教会(英語名ローマン・キャソリック・チャーチ)です。
教義を巡って1054年に東方正教会(英語名イースタン・オーソドックス・チャーチ)と東西に分裂しましたが、両者には共通点も多くあります。なお、英語名に含まれるキャソリックは「普遍」を、オーソドックスは「正統」を、それぞれ意味する言葉です。
カトリック教会は長い歴史の中で何度か体制が腐敗し、ドイツのカトリック司祭マルティン・ルター(英語名マーティン・ルーサー)が1517年に教会への疑問を突きつけたことがきっかけで誕生したのが、「抗議する者」を意味するプロテスタントです。
カトリックは「聖書と聖伝(教会の伝承)」の両方を大切にしていますが、教会への批判から生まれたプロテスタントは「聖書のみ」を基本姿勢とします。カトリックはローマ教皇と司教たちの教導権のもとに全世界がひとつの組織として統合されている一方、プロテスタントは聖書の解釈を巡って、たくさんの教派に分かれています。
(カトリックは全世界に約13億人いる信徒が全員ひとつの共同体に属していますが、『ワールド・クリスチャン・エンサイクロペディア』によれば、約12億人いるプロテスタントの教派は、現在確認されているだけでも3万3000以上もあります)。

また、カトリックや東方正教会では聖伝に基づいて聖母マリアや聖人たちを崇敬するのに対し、プロテスタントでは原則として聖人崇敬は行いません
ただし、カトリックとプロテスタントの要素をあわせ持つ聖公会(英語名アングリカン・チャーチ)など、教派による違いや例外もあります。カトリックでは教会内にイエス・キリストの磔刑像があり、プロテスタントの教会では十字架だけが掲げられているのが一般的です。カトリックの神父は生涯独身が条件であるものの、プロテスタントの牧師は妻帯できる、などの違いもありますが、細かい部分は教派ごとに異なります(そうした違いがあるからこそ、別の教派に分裂し続けているわけです)。

聖書については、新約聖書が27の書物から成ることは共通していますが、プロテスタントが旧約聖書として認めている39の書物に、カトリックは「第二正典」と呼ぶ7つを加えた4の書物を認めています。これは、聖書のどの写本をベースにするか、という違いから生まれた差異です。
旧約聖書を構成する書物が異なるため、カトリックとプロテスタントのどちらのスタンスに立つかで、選ぶべき日本語訳聖書が変わってきます。
もちろん、聖書を読んだことがない時点では、どちらか片方のスタンスに立つのは難しいはずなので、最初は、カトリックとプロテスタントが合同で翻訳した聖書を選ばれるのが無難です。


第1章 イスラエルの族長たちの愛憎劇

・偉大な「民族の父」は妻を2回も売った
・正妻と女奴隷の確執が現代の民族紛争のもとに
・罪びとの巣靴から逃げ延びた父娘の邪淫
・息子さえ生贄にする恐るべき信仰心
・母と弟が共謀して父と兄を出し抜く
・娘の婚約者の寝室に別の娘を送り込む父
・妹を凌辱され暴走した兄ふたりの蛮行
・生意気な態度の弟を殺そうとする兄たち
・子供欲しさに遊女に化けて義父と寝た女
・囚人から宰相に上り詰めた男の復讐劇

第2章 イスラエル建国以前の愛憎劇

・民族を虐殺する王に息子を引き取らせた女
・人間と家畜の初子がすべて殺される災厄
・数十万人の不満をたったひとりで引き受けた男
・偶像を崇めてしまった仲間3000人を虐殺
・神の代理人に叛逆した者たちの壮絶な最期
・保身のため町の全住民を売り渡す遊女
・兄弟70人のうち68人を殺して王となった男
・神が選んだ生贄が最愛の娘だった男の絶望
・溺愛する女に何度も裏切られ続けた英雄
・殺された女の復讐のために各部族が集結
・義理の娘を有力者に嫁がせるヤリ手の母

第3章 ダビデとソロモン時代の愛憎劇

・人気と実力を兼ね備えた部下を憎む王
・殺したい相手から王は2度もいのちを救われる
・恩知らずな富豪に裁きが下り賢妻は王に嫁ぐ
・信頼する兵士たちから憎悪され殺されるかける窮地
・ふたりの王のあいだで数奇な運命をたどる女
・王子の禁断の恋は壮絶な結末を迎える
・父王を裏切った王子の悲惨な最期
・王になれなかった男は父の側女を欲して討たれる
・前王の汚れ仕事を担った剛腕将軍が裁かれる
・神に愛された人類最高の賢者が犯したあやまち

第4章 王国分裂と捕囚時代の愛憎劇

・偉大な王も恐れた神に選ばれた男の大罪
・預言者を殺そうとして犬に食われた悪の王妃
・神に用いられ異教の崇拝者を滅ぼし尽くした男
・悪王夫妻の血を引く女が歴史上唯一の女王に
・神の命令で遊女と結婚させられた預言者
・たったひとりで大軍を追い返した未亡人
・結婚を禁じられた男が預言し続けた王国滅亡
・異教徒と結婚した夫婦を全員別れさせた祭司
・その魅力で民族絶滅の危機を救った王妃
・圧政に叛逆し続け独立を勝ち取った祭司一族

第5章 救世主をめぐる愛憎劇

・救世主誕生を恐れた王による大量幼児虐殺
・洗礼者の生首を要求した魔性の踊り子
・救世主を受け入れず殺そうとする地元民たち
・各地で奇跡を行い続ける救世主の殺害計画
・敵の渦中でさらに彼らを挑発する救世主
・最後の晩餐と弟子全員が裏切る予言
・眠りこける弟子たちと救世主の逮捕
・てのひらを返して救世主を憎悪する民衆
・十字架上で天国と地獄に分かれた愛憎劇
・すべての愛憎劇を超えて広がる救世主の伝説

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