華僑心理学No.3 なぜ、中国人は声が大きくてうるさいのか?

こんにちは、こうみくです!

前回、番外編として、わたしが育った家庭について、両親から引き継いだ価値観について書きました。


皆さんから様々な感想や、サポートを頂きました。本当にありがとうございます!こちらのサポートは、宣言通り、母へのプレゼント代として使う予定で、後日、また報告します。

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インバウンドブームの影響で、観光で訪れる中国人を街中で見掛ける機会もずいぶん増えただろう。つい先日、友人と訪れた伊勢丹新宿店で、大きな声で騒いでいる40代女性グループの中国人観光客を見掛けた。高級ブランドをゆっくり見たかった友人は、苛立ちを募らせながらも「なんであんなにうるさいの。あんな大きな声で話さないと、聞こえないの!?」と、遂にキレた。

このようにイライラしたことがあるのは、友人だけではないだろう。

そこで、今日は「なぜ、中国人は声が大きくてうるさいのか?」というテーマについて取り上げたい。巷では、中国語の発声の仕組み(4つのアクセント)によるものだとか、中国は方言がたくさんからだとか、モラルがないからだとか、諸説が多々ある。その中で、わたしが考える、最もコアな3つの要因を紹介したい。

1.騒音公害による聴力低下

近10年、中国は誰もが目を見張る、急激な経済成長を遂げた。それに伴って、急速に車両が増え、不動産バブルによるマンションの建設ラッシュが訪れた。結果として、大きな主要都市では、たえず車の騒音、そして建設による騒音が、四六時中街に鳴り響いている状態となった。

その結果、2014〜15年に行われた調査では、中国では成人の16%が何らかの聴力に支障をきたしている事実が明らかになった。

更に、2017年にWHOとドイツのMimi Hearing Technologies社が20万人に対して実施した「世界中の50都市の聴力調査」では、中国の広州がインドのデリーを抑えて最下位を記録。住民の平均聴力は実年齢よりも17歳以上悪いという結果となった。北京もビリから5番目の34位、上海も39位を記録した。

よって、「大きな声で話さないと、聞こえないの!?」と、イライラしていた友人の分析は、正しい可能性が非常に高い。名探偵コナン並みの推定力と言えるだろう。


2.迷惑さよりメンツを重視する文化

もうひとつの大きな理由は、中国の文化的価値観から生じるものである。

日本では、多くの人が両親から「他人に迷惑を掛けるな」という価値観を教わる。対して、中国では「他人からバカにされるな」と両親から教わる。

迷惑を掛ないことよりも、和を保つことよりも、メンツを保つこと、競争に勝つことが大事とされるのだ。

そして、中国人皆がメンツを大事にする価値観を共有しているため、自分のメンツを守ることはもちろん、他人のメンツをつぶさないことにも、ひときわ気を遣わなければいけない。

だからこそ、中国では第3者がいる場で会話をする時は、なるべく他の人にも聞こえるように話す習慣が有る。そのこころは「あなたの陰口をヒソヒソ言っている訳ではないですよ」、「バカにしているわけじゃないですよ」というアピールである。

更に、中国人は日本人と比べて、プライバシーに関するこだわりも薄いため、個人的な会話を聞かれるのが嫌という意識も比較的弱い。そんなことよりも、他者にメンツをつぶされたと誤解される&逆恨みされることの方がよっぽどリスクなのだ。よって、皆第3者がいる場では、1対1のときよりも、自然と声が大きくなってしまうのである。


3.賑やかさ=縁起がいいとされる文化

3年前の4月、中国の西安に住む祖母が日本の家に遊びに来た。ある日、皆で朝食を取っていると、ボストンマラソンのテロの映像がTVで流れてきたのである。

さわやかな朝に、非常に悲しい、衝撃的なニュースに、母もわたしも言葉を失った。

そのとき、祖母がボソッとこんなことをつぶやいた。


「あらまぁ~…、春節*が終わって、ずいぶん経つのにねぇ。」

(*春節:旧正月。Chinese New Year)

祖母の発した言葉の文脈を理解できず、わたしは会話を適当に流したが、後日、母が笑いながらこんなことを言った。




「あの日、お婆ちゃん、テロを爆竹だと勘違いしていたわね(笑)」


皆さん、爆竹がなにか御存じだろうか。

中国の新年や結婚式といった、おめでたい席で鳴らすアレだが、もし、実物を見たことがないのであれば、「せいぜい、花火みたいなものだろう」という印象を持たれている方も多いだろう。

しかし、実際はぜんぜん違う。なんにせよ、テロと間違われるくらいだから、爆竹は花火とは、似ても似つかない


誤解を恐れずに言えば、花火より10倍うるさくて、10倍あと片付けが大変で、100倍危険で、1mmもメリットがないもの、それが爆竹である。

海外育ちのわたしには、その良さがまったく理解できないのだが、多くの中国人や華僑は、爆竹を、愛している。熱愛している。

(1)大晦日の家族だんらんの晩ご飯(年夜飯)の前に、爆竹!
(2)日付が変わった深夜0時直後に、爆竹!
(3)朝起きたら爆竹!
(4)5日目は財神を迎える日なので爆竹!
(5)春節中は休みがが多く結婚するカップルも多いので爆竹!
(6)春節が終わって会社やお店がスタートすると爆竹!
(7)15日目は春節の終わりを告げる元宵節だから、爆竹!


と、2月末の春節期間は、どこもかしこも、爆竹祭りである。控え目に言って、めちゃくちゃ迷惑だし、めちゃくちゃうるさい。

「めでたい日には、大きな音を出しながら、騒ごう!縁起担ぎをしよう!」

という中国の伝統的な価値観に従って、どの家庭も、爆竹を鳴らす鳴らす鳴らす。更に不幸なことに、爆竹の量=訪れる縁起の量という誰かが広めた悪しきジンクスの元、お隣さんに負けじと、皆全力を掛けて、鳴らせるだけ鳴らしまくるのである。田舎で鳴らす。大都会でも鳴らす。一軒屋で鳴らす。マンションでも鳴らす。当然、下の階のガラスが割れる。当然、隣の家が火事になる。もはや、これこそ、一種のテロ行為なのではないかと、疑ってやまない。

近年は、さすがに、そのような爆竹文化にもSTOPがかかり、北京をはじめとする大都市では、禁止されるようになった。英断…ではなく、当然である。筆者からすれば、麻薬を解禁する代わりに、爆竹を全面禁止にしてほしい。

そして、爆竹禁止令により、年越しの夜のPM2.5の数値が3年前より70~90%削減されたとのTV報道を見て、「凄い!!禁止されて良かった!本当に爆竹は百害あって、一利なしだったね!!」と喜ぶわたしの横で、「街が静かになっちゃって、寂しいわ…」と悲しむ、母と親戚たち。

控え目に言って、やはり、まったくもって、理解できない。

理解は出来ないが、それほど中国人の価値観では、騒音に対するネガティブなイメージは薄いのだ。そして、如何なる迷惑よりも、不都合よりも、おめでたい日には、大きな音を出して、縁起を稼ぐこと。楽しい時は、皆で騒いで賑やかに過ごすこと。それが是とされる文化なのである。


<本日のまとめ>

①中国では、騒音公害により聴力に支障をきたす都会在住者が増えている。

②第3者の悪口を話していないことを証明するために、一対一の対話で、わざと周りに聞こえるように話す習慣がある。

③お祝い事や楽しく過ごす日には、皆で騒いで賑やかに過ごすことが良しとされている。うるさいことに関するネガティブな感情は薄い。

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9月から学生に戻るため、皆さんからいただいたサポートは生活費として、大切に使わせて頂きます。爆竹は買いませんので、ご安心してください。

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こうみく

華僑心理学~隣の中国人は何を考えているのか~

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コメント2件

イメージだけで作り上げてしまっている部分は大きいので、こうみくさんのnoteを読んで、もっと中国人の事を知りたい。別の国の人の事を知りたいと思うようになりました。ありがとうございます♪
異文化同士付き合っていくということは、全てのことに理由があるということなんですねー。
まぁ、爆竹と、岸和田のだんじりは似てるかも。
今も地方地方に残ってるお祭りで「昔は毎年のように死人が出よったんよ」というのはよくあるし。
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