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『ブルームーンの秘密』(半笑いの×ポッキーゲーム)

 今日の月は忙しいのかそれとも出るのを忘れているのか、なかなか顔を見せてくれません。
 地上では森の動物たちも人間も、まだかなぁと夜空とにらめっこしています。

 今日の出番は満月くんです。しかも今月は月始めに出て以来二回目の大舞台です。
 だからより綺麗にカッコ良く自分を見せたいとあれこれと思案しているのでした。

 そんな彼の姿を偶然見ていたのは星さんでした。いつものように気分のまま流れていたら、今夜の満月くんが真剣な面持ちで悩んでいるのを見つけてしまったのです。

『ねぇ、そんなに深く考えないでただ笑って出ればいいんじゃない?』

 しかし満月くんは首を横に振ります。
「いつもと同じではダメなんだ。だって今日はみんなの願いを叶えるブルームーンの日だから」

『じゃあ緊張を解きほぐす為にポッキーゲームでもしない?』
「ポッキーゲーム!?」

 星さんは『対戦相手は新月くんね』と傍で眠っていた新月くんを起こし自分のイオンテイルを彼に咥えさせました。
『負けたら今日の出番はなしで新月くんにでてもらうね』

 満月くんは負けたときのことを想像して少し震えましたが挑むしかありません。
 星さんに誘われるまま彼女のダストテイルを口にしました。

「あ……」

 そうです。彼女の狙いはうじうじしている満月くんをとにかく夜空に出すことだったのです。
 新月くんに引っ張られる形で出ていった彼は、気がつくと夜空で眩しい光を地上へと放っていました。

『全く世話が焼けるんだから……』

 その様子を少し離れたところで見守っていた三日月さんはふふっと笑うと、自分の出番が来るときまでまた暫しの間眠りにつきました。

                (了)


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