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好きなことば ヘンリー・D・ソローより

ヘンリー・デヴィッド・ソロー:アメリカの思想家、著作家、詩人、博物学者。ハーバード大学卒業後、教師、私塾の経営を経て執筆活動に入る。ウォールデン湖畔に丸太小屋を建て、森の家で自然とともに2年2か月間の自給自足生活をおくる。その経験を書いた「ウォールデン 森の生活」が代表作。

「ウォールデン 森の生活」あとがきより

自然との交流から得た様々な発見を、ソローはなんのために使うつもりだったのでしょうか、一つは自己形成、人は何のために生きるのか、その問いに答えるためでした。というのは、ソローは人も動物も、植物も、鉱物も、宇宙もみな同じ、と心の底から信じていました。

でも、人間の社会は絶望の淵に沈んでいて、「生きる目的」を問うても無駄でした。それなら、生きものと自然に問うたらいい、と考えたのです。

ところが、生きもの(動物、昆虫、植物)はいくら見ても、あっけらかんと、楽しそうに、活発に、美しく生きてはいても(そしてあっさり死んだり、食べられたりしていても)、何のために生きるかは、語りませんでした。

ソローは、生きものがその本性にしたがって生き、生きる目的は解決済み、と言っている以上、自分も限りある命の生きものとして、本性が示すとおりに精一杯、自分を十全に生かして楽しく生きよう、と決意しました。

人は、誰のためでもない、何のためでもない、己の魂のいうとおり、すべては自分の為に生きる、それがほかの生きもののためにもなる道でした。

それが森の生活から学んだ、ソローの結論でした。

                              今泉𠮷晴

「ウォールデン 森の生活」下
ヘンリー・D・ソロー著
今泉吉晴 訳
あとがきより一部抜粋

生きものって偉大だなって思います。シンプルな生き方なのに、面白味も美しさも、大胆さも、凄みも持っている。そこから学べることっていっぱいあるような、そんな気がします。


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