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絵事常々

皆さんはふだん休日どのようにお過ごしでしょうか?
私は定職に就いており、だいたい月9~10日ほど休日があります。
今日もお休み。お休みの日はだいたいアトリエで過ごします。

というのも、大学卒業後から共同のアトリエを借りています。休日はほとんどそのアトリエ。今日は久しぶりに休みの午前中を自宅で過ごしています。

アトリエでは絵画制作、社寺建築あれこれや文様の編纂など。社寺建築のことも遅々たる進みで投稿していきますが、並行して絵画制作もあげていきます。題して「絵事常々(かいじつねづね)」。
描き上げた作品や、制作しながら思う由無し事をゆるめにあげていきます。

今日はとりあえず最近の完成作品と揉み紙の作り方なぞ。


近頃の作品

こんなん描いてます


落月_ゆく川(750×1800㎜)

落月_ゆく川


てふてふ_蝶の路(180×140㎜)

てふてふー蝶の路



てふてふ_渡る140×180㎜)

てふてふー渡る



銀杏(180×140㎜)

銀杏



紫木蓮(180×140㎜)

紫木蓮


好んで描くのは1枚目のような大型の横長作品。あまり小品は描かないのですが、ふと春先に描きたくなり0号サイズ4枚やってみました。最近は自分で基底材(描く土台、私の場合は和紙が多いです)を、ある程度作りこんで描きたいと思うことが多く、揉み紙を作って描いてます。


そんな揉み紙の作り方

小川幸治さんの名著「日本画画材と技法の秘伝集」を愛読してからの
けっこうな自己流技法です

揉み紙作り (1)

水や墨をだいぶと使うため、下にクラフト紙や新聞紙など敷きます。
和紙は生の紙(滲み止めの加工がされていないもの)を使用。

「雲肌麻紙(くもはだまし)」を愛用しています。せっかくのきれいな紙肌をつぶすことはあまりしたくないのですが、一枚紙の大判サイズは雲肌か高知麻紙(土佐麻紙)で、揉んだり後々ぼかしを多用するとなると雲肌さんかなぁと。高知麻紙さんも多分にお世話になっています。
また和紙の話も投稿しようと思ってますのでお楽しみに。

それでは早速。

敷いた和紙を水でびしゃびしゃ濡らします。

待ちます。

いいかんじの生乾き。と思ったら、ぐしゃぐしゃと丸めていきます。

丈夫といっても和紙ですし、あまり肌をけば立たせると描きながら不安になってしまうので、愛情をもって丸めます。


これでもかと丸めたら、丁寧に広げます。

あらかじめ用意していた墨を、刷毛でランダムに塗ります。

ほしい揉み紙にたどり着けるように、一心不乱に墨をいれていきます。

この辺りの工程は撮影する余裕がないため、想像にお任せ。


揉み紙作り (28)

墨をいれた状態

描きたい面の反対面に墨をいれています。今回は表に描きたいので裏に墨。

ご存じのように紙にも表と裏があり、和紙も例に漏れず表が「つるつる」の面です。ただ、裏面のザラザラ感を活かして描く方もいますし、どっちが良いというものでもありません。私自身も、雲肌麻紙表面の肌理の美しさを愛していますが、描く絵によっては裏面を使うこともあります。
材料の特性を知って使うならば、王道も邪道もないだろうと思っています。

揉み紙作り (29)

表の状態(さきほどのを裏返したら、こんな感じ)

生の紙は滲み止め加工がされていないため、乾くのに時間がかかります。

乾ききったらシワのばし。

霧吹きとアイロン、あて布用の手ぬぐいを用意して、やわらかく水気を与えながらシワをのばします。

こまかなシワは残るのですが、パネルにはりこむ時にだいたいのびます。
この紙を使うときは、絵具に細かな岩絵具を多用せず、墨や胡粉、水干絵具をうすく重ねていくようにしているので、今のところ絵具が割れたりはありません。

揉み紙作り (32)

揉み紙の拡大



ぐしゃぐしゃ丸めるだけでなく、あまりするどくない道具で傷を描くようにするのも面白い。

揉み紙作り (22)

かるく傷をつけた面(壊れた繊維に、反対面からの墨が滲む)

揉み紙作り (25)

上の写真の反対面。


つくるごとに色々な表情が出る揉み紙です。
1日では作れないので、2~3日かけて。どうせならたくさん作りたいので、まとめて作り置きします。
1昼夜の乾燥後、近々使うものにはドーサ(滲み止め液)をひいて、乾いたら完成。パネルにはりこんで、ようやく描けます。

画像12

パネルにはりこみ、図の転写、ざっくり隈取りした状態。

大きな作品で出た端切れを、0号サイズなどの小品にまわします。
小品だと、揉み紙そのままを地にいかして、具体的なモチーフをさらっと描くだけで綺麗です。細かなシワと墨で少し銀に光ってみえる風合いが気に入っています。


というわけで、絵事常々。ではでは。


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