見出し画像

川越 蔵造りの街の魅力

川越市の観光スポットで一番魅力的な場所はどこですか?
と聞かれたら、私は

「蔵造りの街並み」と答えるだろう。

蔵造りの家が建った理由

蔵と言っても、
川越の蔵は商家の二階にあるのが特徴。

大抵、蔵といえば独立した建物が多いなかで
川越の蔵造りの街は、
普通の家の二階に蔵があって、
独特の風情を醸し出している。

私が資料にあたって調べたところ、江戸時代や明治時代、
二階に蔵を作るのはとても費用がかかる、とのこと。

これを可能にしたのは何だったか?
それは
江戸時代からの新河岸川を使った江戸への舟ルートが発達したから。

これによる江戸・川越間の交流が盛んになり、
城下町川越藩が栄えた。そして豊かな商家は家の二階に蔵を造ることができた。

新河岸川を遡っていくと、江戸を流れる隅田川に接続する。
人が運ぶのにはとても重たい荷物を川の流れに沿って江戸まで運んだ。
川はとても便利な物流のツールで、人間の生活に欠かせないものだった。

今は物流のメインストリームはトラックや貨物列車だろう。
もしかしたら、川で荷物を運んだ、という事実を知っている人はあまりいないかもしれない。

廃れる舟運

明治時代になって、
鉄道が敷かれたことにより、次第に舟運は廃れていった。

明治以降は川の果たす役割そのものが大きく変化した。
生活に欠かせない物流の道であった川は、
見て楽しむ川、生活排水を流す川へと変貌したのだ。

そんなパラダイムシフトを連想させる新河岸川。
今と昔を対比させながら、
蔵造りの街並みを観察すると、面白い。

例えば子供に蔵の説明するときに
「昔は新河岸川で物をたくさん江戸まで運んで、そのおかげで川越が豊かになって二階に蔵のある街ができたんだよ」
なんて言えたら素晴らしい。

最後に余談になるが
私が考古学の学生だった頃、
ゼミの先生に指摘されたことがある。

「川は流路で生活を分けるものではなくて、人の生活の中心にあるものなんや(奈良弁)」

その時はピンとこなかったが、
今、川越の蔵造りの街並みを見ると
ああ、その通りだな、と感じる。

蔵と川。
この二者は不可欠のものである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?