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ハコよりも中身を吟味。コレクションと一緒に移住する時代?〜Molteni&C(モルテーニ)新製品


2月5日、アルフレックスジャパンがモルテーニの新作発表会を開催した。

キッチンブランドDadaが拓いたソフトコントラクト

冒頭、アルフレックスジャパン代表の保科さんが登壇し、モルテーニの近況をご説明された。

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アルフレックスジャパンがモルテーニブランドを扱い始めて10年。モルテーニ東京ショールーム開設5年。そして、一昨年12月にオープンしたダーダ東京(Dada)の旗艦店も丸一年を経た。
近年は、キッチンブランドであるDadaを加えたことにより、ソフトコントラクトすなわちインテリア提案を含めたビジネスが拡大。昨年は森ビル六本木のサービスアパートメント(家具付きレジデンス)をリニューアル。二コラ・ガリッツィアが23戸のキッチンを含むインテリアデザインを手がけた。また、積水ハウス グランメゾン大濠公園10戸に標準装備された収納とキッチンもニコラが手がけた。マンションも立地と価格といった建築条件のみならず、日々の暮らしに直結するインテリアが選択の重要な要素になっていることを示している。

キーワードはマテリアルミックス

続いて新製品について馬場さんが登壇し、詳しくご紹介下さった。

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モルテーニグループがクリエイティブ・ディレクターにヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンを招聘して、5年を迎える。
その過程で鮮明になったのは、総合ブランド=モルテーニならではの世界観として、マテリアルミックスを実現してきたこと。

木質はユーカリを採用。世界各地で生育可能であり、かつ生育も早い。それゆえ家具の材料としてサスティナビリティに優れるのだが、幹が細く、木目も粗いため、インテリアの部材としては敬遠されてきた。この点、Dadaは、塗装と染色をすることなく変色して無垢材のような木目、赤みのある天然を生かすことに成功したことで採用できるようになったという。

グラファイトオークも独自の仕立てにより採用。もともと黄色い樹皮だが、脱色して真っ白な木目のみの状態とした後ドブ漬けにして薄いグレーの透明感溢れた木目に製材するのだという。

ヨーロッパの伝統的な工芸品のように錫をイメージし、光の当たり方次第で様々な表情を描き出す金物も印象的だ。

また、プリントとプレスを使ったシンクロ技術を駆使し、メンテナンスしやすく傷や変色を受けにくい人工材もラインナップ。ラリックスダークは唐松、シルバーチェンブランはシルバーのパイン材、グレイサフィアーノはスーパーブランドのサファイアンレザーをモチーフにしている。

それらに加え、建築的なコントラスト、さらには機能美も含め、ディテールに対する拘りがDADAらしさを演出しているといえよう。


伝統に囚われない新素材と新技術満載の新製品

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ソファ「グレゴル(GREGOR)」は、3タイプのシートワイドと25のバリエーションで構成するモジュールソファ。ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンの手によるモルテーニの第4作目は、既存の「ポール(PAUL)」「ルーカス(LUCAS)」「アルベルト(ALBERT)」とは異なる特徴を備えている。

第一は、マテリアルミックスによる演出力。高さ67cmという低い重心、19cmのマット調で繊細なスチール脚、ソフトレザー貼りのベースが放つ異素材のコントラストが秀逸だ。
薄いパネルで構成される「ヒューベルト(HUBERT)」テーブルと組み合わせることでより一層建築的、理知的な印象が強調される。

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二つ目は、様々な生活スタイルに対応する点。
シートがセパレートできるのに、境目がない不思議な構造。
ボルスタークッションはテレビを観るのにちょうどよく、ヘッドレストが首をしっかり支えてくれる。

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幅61cmのウィングアームは、テーブルの機能を持たせることもできるし、寝そべって首を載せるにもちょうどいい大きさになっている。

三つ目はいつでも美しい佇まいを保つ点。
マシュマロのような内部素材シュロラックスは、made in JapanのTEIJIN製。独自のウレタンを採用したシートクッションと相まって驚きの復元力をみせ、整合性の取れた美しいラインを維持してくれる。

四つ目は、いつまでも末永く使えると言うこと。
32のパーツで構成されているということは、裏を返せば、傷んだ部品のみを交換、メンテできることを意味する。もちろん、マンションなどへの搬入も容易だというメリットもある。

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「パスワード エヴォリューション(PASSーWORD EVOLUTION)」 は、アルゼンチン出身の建築家ダンテ・ボヌチェッリが手がけた2015年発売のボックス型システム収納「パスワード」の進化形、いわばバージョンアップモデル。
シンクプレスによりアルミに木の板を巻き込むことで細いラインと陰影を生み出している。
ボックス、サポートシェルフ、ウィングシェルフ、ガラスキャビネットなど多彩なユニットを用意。壁掛けユニットも用意する。
サポートシェルフは、520×279×5mm。LED照明月のウイングシェルフは、3mmのアルミをの棚板がフローティングして見え、277mmまでミリ単位でオーダー可能だという。配線を隠すといった工夫も盛り込まれ、見た目だけでなく、テレビやスマートタブレットなどとの親和性も高い実用性が嬉しい。

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モルテーニを代表するロングラン作品のひとつ、「ゴーマルゴ(505)」
1972年Lucia Medaがはじめたデザインで、2010年からは二コラ・ガリッツィアが継承した。

賃貸でもOKな置き型タイプで大型パネル収納でありながら安定感があるのは、棚板や17の特許を持つジョイント機構が秀逸だから。アルミの幅木に仕掛けがあり、フロントからロッドでパネルを締め付けて固定する。

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演出性と機能性を両立し、軽量複合材PVCを活用した棚板は3mm厚で圧迫感がない。

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ガラスサイドパネルは10mmで、LED照明を仕込むと収納物を華やかに演出する。

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大きな面を作るハイドウッドヒンジドアは、棚板に蝶番を取り付けることで柔軟なレイアウトが可能となり、独特の浮遊感を醸し出す。

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ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンの手によるワードローブ「グリス マスター(GLISS MASTER)」
30mmのフレームで構成し、壁面への固定が必要ないため、ガラス張りも可能。
仕切り板がないことで、一覧性が高まった、というよりも、もはや収納でなくディスプレイ。

180度オープンできるドアで、動線を邪魔しない。オープンクローゼットを構成できる。

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さらにトップグレードにはSYSTEMA7 Folding Pivot 180° Hinge Doorを用意(特許)。
これは、上のみに蝶番がついた折り畳みのドアで、(1)片開きでは最大128cmのところ、この機構によって扉4枚分=256cmオープン可能となった、(2)天板に機構が内蔵されたので、通路(Passage)の扉としても活用できることにより、新しい住空間の可能性を示した。

つまり透過/非透過のパーテーションの役割も担うことで、パブリックとプライベートを絶妙に切り分けた住空間を創り上げることもできるというわけだ。

もはや家を固定するのではなく、上質な置き家具とコレクションを持って、様々な居住空間を求めて移動するのが上流の住まい方なのかもしれない。


いい音&大画面があることで日々の暮らしが豊かに。住宅というハコ、インテリアという見た目だけでない、ちょっとコダワリ派の肌が合う人たち同士が集まる暮らし方を考えていきたいと思っています。