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【レポ】ハーバードビジネススクール教授が語る「日本でイノベーションが起きづらいわけ」

今回は4/21に行われたウェビナー「〜競争優位を確率する組織変革〜組織をイノベーション体質にする仕掛け」のレポです。

竹内 弘高 氏
国際基督教大学卒業。カリフォルニア大学バークレー校経営大学院でMBA、Ph.Dを取得。1976年より1983年までハーバード大学経営大学院助教授、1983年より一橋大学商学部助教授、同教授。2000年に開校した一橋大学大学院国際企業戦略研究科の初代研究科長に就任。2010年よりハーバード大学経営大学院教授、一橋大学名誉教授。2019年より国際基督教大学理事長。主な著書に「ベスト・プラクティス革命」、共著に「知識創造企業」「ワイズカンパニー」など。

見どころ
・イノベーションが創出できない原因について理解を深められる
・持続的イノベーションを生み出し、経営課題を解決する実践の秘訣が得られる
・先行きが不透明で将来の予測が困難な時代に生き抜く会社のポイントが学べる

今回のウェビナーは900名以上の参加者!(すごい!)

竹内教授がそもそも著名な方なのもそうですが、イノベーションが起きにくい、起きていない自社組織に課題を感じている方が多いということなのでしょうか。
今回は、イノベーションを起こすための考え方、スタンス、実際の事例や図式を踏まえながら解説していただきました。過去登壇者様もそうでしたが、今回もとても有意義な内容となっておりますので、早速書いていきたいと思います!

注:客観的なレポを心がけてはいますが、私の主観や噛み砕きも大いに入っておりますので、純粋にウェビナーの内容を知りたい方は後日出される公式レポをお待ちください汗

組織の中にある「形式知」と「暗黙知」とは?

組織のナレッジの中でも、先生は2つの領域に分けることができるとおっしゃっていました。それが
「暗黙知」「形式知」です。
氷山の一角でいえば、海に沈んだ部分が暗黙知、出現している部分が形式知です。
膨大な暗黙知によって、形式知が形作られているということですね。

形式知とは
ー人間で言えば頭のこと(汎用性のあるデジタルなもの)ー
・言葉
・数字
・データ
・公式、方程式など

暗黙知とは
ー人間で言えば手のこと(人間たるもの)ー
・体感や経験、五感
・直感
・フィーリング
・理念、信念、価値観など

この2つの知の中で、イノベーションに必要不可欠と言われているのが「暗黙知」です。

私なりに噛み砕いた解釈で言い換えると、マニュアルや作法のような形式知(広く誰が使っても同じ効果が出るもの)ではなく、過去の経験や育ってきた環境、境遇によって形作られたものをベースに、いわゆる「ひらめき」や「職人技」といった人間独自の暗黙知から抽出されたものにこそ、イノベーションの種は隠されているということになります。

古き良き時代の組織にイノベーターが多かった理由

さて、ここで一度昔の日本を振り返りましょう。
高度成長期時代に日本にイノベーションがたくさん起きていた理由の
1つとして、「模倣」と「共感化」が挙げられます。

日本がまだ技術も未熟で「これから欧米の最先端の技術を取り入れて新しいものを作ろう!」と意気込んでいた時期に、日本人はまずその本場に飛び込み、環境に順応し、その場で作られているものを模倣し、日本に持ち帰りました。

海外の形式知を模倣し、持ち帰り、仲間内で暗黙知に消化させるまで深く理解し、体験した(共感化するプロセスが抜群に優れていた)という流れがあったから、画期的なイノベーションが生まれたのです。

ここでSECIモデル(せきもでる)という図の紹介がありました。

先出の暗黙知と形式知を循環させることで、イノベーションが持続的に起きる組織へと変化させるための仕掛けを図にしたものです。

左上から始まり、時計回りに循環していくことがイノベーションを作り出します

日本人はこの左上(暗黙知X暗黙知)が抜群にうまく、いわゆる合コンや接待、空気を読むなどと言った、マニュアル化されていないけれど察する、共感することでその場の雰囲気を作り上げることに長けています。

しかし産業が発達し、豊かに「なってしまった」今の日本は、海外に模倣にいくことももはや少なく、徐々に「閉じた」環境になってきていると先生はおっしゃっていました。

では、今の日本で昔のような、いや、今以上にイノベーションを起こして更なる段階に組織をステップアップさせるには何が必要なのでしょうか。

コロナ後の世の中で、継続的なイノベーションが生まれるには何が必要か

先ほど紹介したSECIモデルは、「実際に顔を突き合わせ、密なコミュニケーションをとること」が大前提でした。
それが困難になった今、日本人の得意とする「共感化」が使えなくなってしまいました。
その上で、ふんだんにある暗黙知をどうやってSECIモデルを使い回していくことができるのだろうか。そのためには以下の7つの心がけが必要だとおっしゃっていました。

1:アジャイルを取り戻す
アジャイル=俊敏性
「speed」「small」「scrum」 小さく早く同時進行で進めることが大事。
2:失敗を祝福する
3:過去の成功体験を捨てる
4:COPを受け入れる
「Contradictions」「Opposites」「Paradox」退屈 反対 矛盾を受け入れることが大事。弁証法のように、ある考えに対して全く反対の意見を受け入れ、議論していくことで高い次元の階が生まれてくる
5:ピカソのように振る舞う
「Good Artists Copy; Great Artists Steal」
あの巨匠ですらより良くなるために模倣をしていたという事実から。
6:マキャベリ的になる
賢く、いまここを判断するということ。 vucaの時代に何が起こるかわからないから、これから何をするのか「今」を捉えて判断せよ。
7:守破離をスパイラルアップせよ
「守」で守り、「破離」で客観的に見る。このサイクルを回すことが大事

以上の7つの項目によって、イノベーションを起こし続ける組織が成立するとおっしゃっていました。

先ほどの著書の次に出された「ワイズカンパニー」では、2Dではなく3DモデルのSECIスパイラルモデルというものが登場します。

形式知、暗黙知の循環に、さらにチーム、個人の軸を入れた3Dモデルです。

引用:https://forestofwisdom.net/seci-spiral/

個人とチーム、という観点を入れることで、暗黙知が個人to個人で伝承するのに対して、形式知では個人toチーム→チーム内に、そしてまた、形式知を獲得した個人が自分の中に落とし込んでいく作業をして、さらに暗黙知へと変化を遂げていく….そのサイクルが回ることで、「より高い解」へと近づいていくのです。

今の日本企業でなぜイノベーションが起こりにくいのか?

では、なぜ今日本企業でイノベーションが起こりにくいのか?
そのことについては、SECIモデルを見ればなんとなくわかりますよね。

今までの日本の強みは、ズバリ共同化でした。
合コンや接待、阿吽の呼吸。。。。日本には「暗黙知の中で共感する」という能力が他の国に比べてずば抜けて能力が高いのです。

裏を返せば、マニュアルがなく、いわゆる「空気を読む」という同調圧力でしか統制が取れなかったとも言えます。

欧米のように「対等な関係としての対話」ではなく、役職やヒエラルキーで決まった同僚と話をする時は、どうしてもそこには忖度が生まれ、本音で話すことは少ないのではないでしょうか。

今まではそれでもよかったのですが、コロナの時代になったことで、その「空気」を読む機会が激減してしまいました。さらに、集団から個の時代になったことで、よりソーシャリゼーションできなくなったのです。

しかし、悪いように扱われがちな「暗黙知、共同化」ですが、模倣は共同化の暗黙知の良い例です。

共同化が上手な日本人は、かつて海外で技術を学んで持ち帰るときに、模倣も上手くこなし、自分の中で暗黙知化して持ち帰ることが出来ました。そのおかげで、今の日本の発展にもつながっています。

要は、暗黙知を会得する目的が確かならば、イノベーションの種として十分可能性を秘めた分野になるということなのです。

暗黙知を形式知にする必要はあるのか?

個人の能力に依存してしまうけれども、結局は暗黙知で回している(職人さんなど)場合形式知にする必要はあるのか?という疑問が出てきました。

それに対して竹内先生は
「日本人同士ならそれでも問題ないが、今後海外を見据えた展開を考えている場合、形式知していかないと海外では通用しない。スケールを大きくすることを考えるなら、連結化と形式知がとても重要」だとおっしゃっていました。

さらに「形式知」を共有し暗黙知化していく過程において「内面化」の重要性も話していました。

内面化とは、「腹落ちすること」であり、マニュアルであっても、個人の中でしっかりと知識として根付いたときに、ベースにあるものを守りながら展開させていく、「守破離」の一歩を踏み出すことになるのだと。それこそがイノベーションの種になり、大きく花開いていくという話をなさっていました。

知識を受けるときに座学のようなものでは血肉にはならず、実際の行動を伴った経験によってのみ、暗黙知として根付いていくのだそうです。

その上で、今の日本の教育においても、座学だけではなく、もっとディベートのように意見を対立させて会話する機会を増やすべきだとおっしゃっていました。日本人は共感化に長けているあまり、対話となるとうまく出来ない(個人への攻撃と感じてしまう人が多い)ことが、とても懸念だということでした。

対等な立場として、それぞれの意思を尊重しつつ対話を繰り返す環境を生み出せるものが何か…そう考えると、思いつくのが「心理的安全性」。

心理的安全性を高めることは、対話を成立させ、高い解を求めるために必要不可欠であり、その対話やディベートの効果によって、イノベーションが生まれてくるとしたら……

組織をイノベーション体質にするものは….?

タイトルに帰結してきましたね。

日本人がSECIモデルを実践する際、ベースにある心理的安全性が醸成されている組織であることが重要で、今現在、それがなし得ていない企業が多い=イノベーションが生まれづらくなっているということなのです。

Uniposの役割

感謝と称賛のポジティブな体験が組織の心理的安全性を高め、強い組織をつくります。

Uniposは、心理的安全性を高め、フォロワーを増やし、新しい変化に対して寛容さを増やすことができる仕組みを持っています。

誰かの小さな「勇気ある1歩」を見つけ、称賛することで会社の中での行動を「善し」とし、続くフォロワーを増やしていく。

Uniposは、「行動から始めよ」という勇気を伝染させるツールであり、どんなイノベーティブな発想も、使わなかれば意味がない。実践がなければ意味がない。そのような自発的な意思を尊重します。

行動(実践)を増幅させ、良い行動を伝染させていき、イノベーティブな環境を作り上げていくこと=心理的安全性を高めていくということにつながっていきます。

先生はそれこそ「United Positivity」なのだと、とても共感してくだいました。

個人個人の知恵や行動を称賛し、知識を形式知化し、さらにまた新しい個人がそれを会得し、暗黙知化していく・・・・・。

それが組織としての強みであり、竹内先生のおっしゃる「組織をイノベーション体質にする仕掛け」なのです。

海外を見据えて発展していくことを視野に入れる際、先生の考え方、SECIモデルはとても役に立つ考えなのではないでしょうか。

以上で、レポを終わりたいと思います。

毎回、Unipos開催のマーケウェビナーでは各界で有名な方をゲストとしてお迎えして、様々な角度から、経営課題について深掘りしていきます。
毎回参加してくださる方もいるほど盛況で、特徴的なのが「双方向」であること。ウェビナー登壇者の方への質問ももちろん、参加者の方のコメントが常時流れている状態でのウェビナーでは、ライブ感があり様々な意見を伺うことができて刺激になります。

ウェビナーの日程などはこちらから確認できますので、もし興味がある方は参加してみてください!完全無料です^^

それでは、次回更新をお楽しみに!


株式会社Beeworks→Fringe81(広告代理店)に在籍中。女性ファッション誌やDM、webデザインをやっています。小さい頃の口癖は「私強い子だから泣かないもん」