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霞ヶ浦に潜む異形のアメナマ!? #2

雄の頭の”謎”に迫ることにした

 霞ヶ浦にいるという頭と口の大きな第2のアメナマ”ブルーキャットフィッシュ”。その生息調査に乗り出した我々は「いない!」という結論に至った。頭が異形化する謎の大型アメナマの正体は「雄」だったのだ。

 しかし、雄の異形化の謎が解けたわけではない。次に取り組んだのは、その異形化の「謎」解明だ。雄の異形化、それは大きく開く巨大な口と頭のコブだ。
「何の為にわざわざ形を変えるのか」
そこに迫ってみた。

満身創痍のアメナマに糸口があった

 突然だが、“パンコイ”という釣技がある。ちぎった食パンを水面に投げるとコイがそれを食べにやってくる。パンの中に針を隠しておいて、釣ってしまうというしくみのだ。
 そして、小エビが水面に群れる時期、この技が、アメナマにも効く。
 夏の終わりに、ボロボロに生傷のついたオスのアメナマをこの方法で釣り上げた。あまりの満身創痍ぶりに、釣り上げた事に申し訳ない気持ちさえ湧いてきた。

歯型の生傷を「歯型痕」と呼ぶことにした

歯型痕の正体

 魚には産んだ卵を物陰に隠して産みっぱなしの種類、孵化まで母親が保護する種類、父親が保護する種類がある。ちなみに卵は栄養価が高いので、色々な魚が餌として狙ってくる。悪食の種類は同じ種類の魚の卵も食べにやってくる。なお、卵を守る魚はその間、餌を食べずにエッグイーターと戦う。

 さて、傷でボロボロの魚をよく見ると、この生傷は歯型のようであった。以来、私達はこの傷痕のことを「歯型痕」と呼ぶことにした。そして、歯型はアメナマの雄と一致した。
 卵を守る雄が自分で噛むことは考えられないから、「噛まれた」と考えることが自然だろう。また、雌を取り合う雄同士の争いも考えたが、産卵期の後に傷が増えることから、その可能性は低い。

青線の枠内が上顎の歯の位置。もちろん下顎にもある。
何回か噛み付かれているようだ。

 ちなみにアメナマは雄が卵を守るタイプだ。歯型痕だらけの雄を釣った時期が丁度産卵期の終わる時期だったため、守る側と食べようとする側による壮絶な戦いが考えられる。
 頭の横幅が大きくなるのは、噛み付くための口を大きくするためのものと結論した。

 雄の頭の異形化は、親として我が子どもたちを守るためのものだったのである。で、あれば頭のコブはナニモノなのか。次回はついにコブの"謎”に迫る。

#3(最終回)に続く

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