02 日野薬師・法界寺
京都の左官建築家・森田一弥さんが、トウキョウの建築家・塚本由晴さんを案内する『京都土壁案内』。
歴史や様式だけじゃない、多様な表情をみせる土壁の魅力が満載です!
2日にわたる、京都での取材の模様をレポートします。
訪れる人
塚本由晴さん
建築家。アトリエ・ワン主宰
東京工業大学大学院准教授(当時)
案内する人
森田一弥さん
建築家+左官職人
森田一弥建築設計事務所主宰
前回のようす
移動中の車内では土モノと粉モノの関係性について盛り上がります。
「土って練ったり、捏ねたり、粉モノと一緒だよね」と塚本さん。
粉からできてて手で捏ねるパンや蕎麦・うどん、はたまた陶芸。
「粉に触れるときは人ってすごく夢中になれる。おまけに水と混ざったり焼いたりすることで、まったく別の物質になる。予測不能なところも、土モノと粉モノの共通点かも。そしてオヤジたちは、こぞって蕎麦打ちと陶芸にはまるんだよね」
うむうむ、納得。手から伝わる感覚って癒されます。
続いて、伏見区にある日野薬師・法界寺へ。
国宝の阿弥陀堂です。このなかに阿弥陀如来像(国宝)が鎮座しています。
法界寺は、藤原時代の1051年、日野家の菩提寺として創建されたそうです。
阿弥陀堂(国宝)は 鎌倉時代初期の建築とされています。
内陣上部の土壁に、飛天図、楽器・仏具図、阿弥陀如来像、さらに上部に宝相華文が描かれています。
この日はとってもお天気がよかったので、上部の壁画も比較的よく見えました。阿弥陀堂のフォルムも美しい。
(第3回へ続く)
京都土壁案内
塚本由晴・森田一弥 著
寺社や茶室はもとより、お茶屋や洋館、蔵や土塀まで、時を経て町に滲み出た土壁の魅力を紐解き、巡る、今日の京都の建築・街歩きガイド。京都の若手建築家で左官職人でもある森田一弥の案内は初心者にも優しく、塚本由晴(アトリエ・ワン)の撮り下ろし写真は町の日常に潜む土壁の迫力を見事に切り取った。素人も愛好家も必見。
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