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01 妙喜庵待庵

京都の左官建築家・森田一弥さんが、トウキョウの建築家・塚本由晴さんを案内する京都土壁案内
歴史や様式だけじゃない、多様な表情をみせる土壁の魅力が満載です!
2日にわたる、京都での取材の模様をレポートします。

訪れる人

塚本由晴さん
建築家。アトリエ・ワン主宰
東京工業大学大学院准教授(当時)

案内する人

森田一弥さん
建築家+左官職人
森田一弥建築設計事務所主宰


前日までの雨もあがり、快晴のなか学芸出版社を出発!
塚本さん、まずはRauk(ルーク)のパンで腹ごしらえです。
「京都はおいしいパン屋が多いんだよ」
よくご存知で。

最初に、大山崎にある妙喜庵待庵を訪れました。

土壁を巡るオトナの遠足。始まります!

ここは千利休がつくったとされる二畳敷の草庵茶室として、あまりにも有名。
余計なものや装飾は一切なく、膝を突き合わせて亭主と客が対峙する小さな空間に、利休が目指した「侘び寂び」の世界がひろがります。

藁すさの見える内部の壁は粗野でありながら緊張感があって、角が塗りこめられた室床や、障子の桟の繊細な竹組みといった、職人の技が塚本さんの心を捕らえます。

薄暗い内部に座ると、新緑を揺らす風の音、鳥の声に敏感になります。
自然を五感で感じることのできる空間です。

森田さんに言われて、地面の土の色と壁の色が同じということに気付きます。
「サビが出てますね」と外壁を見て、森田さんが教えてくれます。
「サビ」は、土中の鉄分が、経年変化の中で化学反応して黒ずんでくる様子を言うそうです。

時間の流れのなかで滲み出てくる「サビ」に、「寂び」の世界を重ねる塚本さん。

京都は奥が深いです。

(第2回へ続く)

京都土壁案内

塚本由晴・森田一弥 著

寺社や茶室はもとより、お茶屋や洋館、蔵や土塀まで、時を経て町に滲み出た土壁の魅力を紐解き、巡る、今日の京都の建築・街歩きガイド。京都の若手建築家で左官職人でもある森田一弥の案内は初心者にも優しく、塚本由晴(アトリエ・ワン)の撮り下ろし写真は町の日常に潜む土壁の迫力を見事に切り取った。素人も愛好家も必見。

詳細|https://goo.gl/eK3Z3S
Amazon|https://goo.gl/CdWmmU

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