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百均と書店

「この20年で変らなかったのは、本への思い入れを読者に伝えようとし続けた書店員たちの存在である。彼ら、彼女たちがこれからも書店を支え続けるのである。・・・」 学芸出版社営業部の名物社員・藤原がお送りする、本と書店をめぐる四方山話。

百均に特に目的もなくブラリと立ち寄って、何か面白いものはないかと棚の間をワクワクしながら歩く気持ちが、書店に立ち寄った時の気持ちに似ていると思うのは僕だけだろうか?

僕は百均好きである。100円で買えるという気軽さから、何か100円以上の価値があるものを見つけてやるぞ、という若干低級ではあるが、創造的な思考を巡らせる高揚感が好きだ。

先日は、既に開封してしまったお菓子の入った袋を再度密封する電熱線の入った閉じ器が100円で買える!という発見をした。しかし密封してしまったら、次に食べる時にまた破らなければならない、という煩わしさに気付き購入を止めた。

100円なんだから何かの時に使えばいい、だから買っておけばいいじゃないかということになるのだが、いやいやこれは不要だと自分の心に言い聞かせるシーンなんかも好きなのである。

こういうことって書店では度々ありませんか?

何か面白い本はないかとぶらりと立ち寄った書店。棚を見て回り、おや?と思う本に出会う。パラパラと立ち読みして、面白そうだけど、ちょっと違うなと棚に収める。これを何度か繰り返し、結局その日は何も買わなかったというようなこと。

棚を見て回り、面白いものはないかとドキドキしながら時間を過ごすというのは楽しいものだ。それは手に入れたか、手に入れなかったかという話ではないのだ。頭の中を駆け巡った創造的な時間の話なのである。

このような感覚は古道具屋、金物屋、中古レコード屋、骨董市(骨董屋ではない)、古本市(古本屋ではない)などでも感じることが出来る。

僕の場合は刃物屋なんてのも、この部類に入る。また最大のワクワク感を味わえるのは、地方にある古くからやっているがあまり人が近寄らないような古びた釣り道具屋。これはかなりしびれる。

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