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団地は今こそ面白い! 団地読解の手習い in 和歌山|【イベントレポート】

12月3日は、『団地図解』刊行記念イベント@和歌山・本屋プラグさんでした!  これまでの東京・大阪イベントとは打って変わって、超ローカルな場所で団地を解剖した本イベント。結果として、また新たに大胆な団地(団地係)の見方が生まれてきた回でした。

蜜柑援農のチラシが貼ってある店内。さすが和歌山

今回はまず、設計手法詳解の前に、団地ってそもそもどういうものなの??という基礎解説から始まりました。さすが普段一般のお施主さん相手に団地を仲介している吉永さん、団地不動産的なめらかな導入プレゼン(小ネタ満載)を経て、後半はぐいぐい「団地と地域」に切り込んでいく展開。 

2時間半ぶっ通しで話続けてくださった吉永さん

 千里ニュータウンの“団地図解”を経て、レクチャー終盤に紹介された藤村龍至さんの書評の下記部分、

我が国においてこれからの世代が考えなければいけない超高齢化社会や人口減少、都市の縮小とはつまり、団塊の世代が住空間とし、団塊ジュニア世代が育ってきた公団の作ってきた住空間を大胆に消去し、他の用途へ積極的に転換することを含む。前例のない状況に対し、緊急に、分野横断的に手法を再構築しなければいけないその状況は、本書が扱う公団の初期によく似ている(一部抜粋)

ここが和歌山というまちに暮らす皆さんにひっかかったようでした。

 ①和歌山市の中心市街地が今直面している状況と、団地のもつスケールメリットを照らし合わせてみる

例えば、千里青山台団地と本屋プラグがあるエリアは3000~4000人規模のスケール(要するに歩いて巡れる規模感でまちを考えるということ)で、抱えている課題やポテンシャルは、案外似ているのかもしれない。 一見、スプロール化した大都市にしか学びがなさそうな「団地係」という職能は、むしろ地方都市にこそ有効なのではないか。彼らが目配せしていたネットワークや合意形成、長期的なビジョンを紐解くことは、大いに学びのある積極的選択なのでは。

団地係は要するに「サッカーのパスができる奴」ということです。

②「団地係」は“水の人”

(まちづくりでよく用いられる、風の人、土の人、水の人というキャラクターのことですね。詳しくは弊社種々の書籍を参考に…)。
リレー的バトンパスではなくサッカー的パス回しができる全体を見渡せる能力をもつ「団地係」にある風通しの良さというのは、“水の人”に匹敵する。そして、今地方都市に今求められているのも“水の人(=団地係的職能)”なのでは? 

①や②以外にも様々な視点から議論が深まり、気がつけば予定終了時刻を30分もオーバーする濃密なイベントとなりました。
超ローカルな場所で議論したからこその読み解き、刺激的でした!
和歌山の皆さん、本屋プラグの皆さん、ありがとうございました!

(岩切)

団地図解――地形・造成・ランドスケープ・住棟・間取りから読み解く設計思考

篠沢健太・吉永健一 著

団地はどれも同じ…だなんて大間違い。地形を生かしたランドスケープ、コミュニティに配慮しつつ変化に富む住棟配置、快適さを求め考案された間取りの数々。目を凝らせば、造成から植木一本まで連続した設計思考が行き届き、長い年月をかけ育まれた豊かな住空間に気づくはず。あなたも知らない団地の読み解き方、教えます。

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