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街並みと行き来して楽しむ「建築家 浦辺鎮太郎の仕事」展

先週末よりスタートしました、展覧会建築家 浦辺鎮太郎の仕事―倉敷から世界へ、工芸からまちづくりへ

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元紡績工場の大スパンが生きた展示空間(ちなみにこの倉敷アイビースクエアも浦辺の改修物件です)、初公開となる原図やスケッチ等展示物の数々、そして圧巻の木模型。

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制作を担当したのは各地の建築学科の学生さんたち。(実はその苦闘の日々が浦辺展公式インスタグラムで記録されてます。舞台裏も面白い)。

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浦辺展会場はこんな感じでめちゃくちゃかっこいいです。そして広い・密度濃い。すべてじっくり見るにはけっこう時間かかります。でも会場周辺には展示で紹介されている浦辺建築と街並みもたっぷりあるので、時間配分は悩みどころ。とにかく、展覧会とまちとを行き来しながら一日中楽しめます。

●会場徒歩圏内にある浦辺建築
倉敷アイビースクエア(1974)※展覧会場です
大原美術館分館(1961)
倉敷考古館増築(1957)
旅館くらしき(改修/1957)・珈琲館(1971)
倉敷国際ホテル(1963)※お宿におすすめ!
倉敷公民館(1969)
倉敷市民会館(1972)
倉敷市立自然史博物館(1971)

●ちょっと離れてるけど頑張れば歩いて行ける浦辺建築
倉敷ユースホステル(1965)※お宿にしても(リーズナブル派向け)
倉敷中央病院(1975~1981)
倉敷駅前再開発東ビル・西ビル(1980)
倉敷市庁舎(1980)

もちろん倉敷なので大原美術館のグレコにピカソにゴーギャンにロダン、マティス、ドガなどさすがの名画はもちろん、浦辺設計の分館も空間もですが地下展示の現代アートとかもかなりよいです。ほかにも何時間でも見てたい民芸店でウツワ買ったり、美味しいコーヒーに焼き鳥屋に・・・ほんとうに楽しいです。

そして全5回の関連シンポジウム(無料)も必聴です。第1回目のシンポジウムは10/26(土) に盛会のうちに終了。評価が二分する浦辺後期の建築について藤森照信さんがざっくばらんに議論の口火を切ってくださり、ハラハラドキドキの展開、おおいに盛り上がりました。ポストモダニズムとの格闘の結果としての浦辺後期をどう位置づけるか、委員会の中でもさまざまな解釈があるなかでの痛快な場でした。ここではとても書ききれないのでどこかで。

〈関連シンポジウム〉
第1回「工芸からまちづくりへ」(※終了しました)
10/26(土) 13:00~16:30@倉敷公民館、先着300名
登壇者:藤森照信、松隈洋、上田恭嗣、西村清是

第2回「知られざる工業化への思い」
11/09(土)13:00~16:30@倉敷公民館、先着300名
登壇者:花田佳明、和田耕一、柳沢究

第3回「モダンとジャパンの間」
11/23(土)13:00~16:30@倉敷公民館、先着300名
登壇者:重村力、竹原義二、古谷誠章、西村清是

第4回「モダンとポストモダンの間」
12/7(土)13:00~16:30@倉敷市立美術館、先着180名
登壇者:松葉一清、松隈洋、太田隆信、遠藤秀平

第5回「その地域性 瀬戸内海から横浜へ」
12/21(土)13:00~16:30@倉敷公民館、先着300名
登壇者:松隈洋、笠原一人、楢村徹、曽我部昌史

委員長の松隈洋先生いわく、「浦辺鎮太郎は、生誕100年じゃなくて震災後の今、”110周年”で振り返ることに意味がある」とのこと。引き続き残る4回のシンポジウムで浦辺論がどう収束していくのか、最終回に向けた議論の行く末も楽しみです。そしてそんな浦辺建築の面白さ、人間らしさについては、図録に収録された充実の論考の数々でたっぷり読み解いていただけるかと。展覧会とあわせてお楽しみください。

✍関連書籍

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建築家 浦辺鎮太郎の仕事|倉敷から世界へ、工芸からまちづくりへ
浦辺鎮太郎建築展実行委員会 監修
松隈洋・笠原一人 他編著

B5変判・320頁・本体3600円+税

大原美術館分館や倉敷国際ホテルなど、実業家大原總一郎と共に倉敷の伝統・風土と対話し、地域主義を実践した初期。そして晩年、横浜での仕事に代表されるポスト・モダン時代の自在な造形まで。約300点に及ぶ実作から主要37作品を厳選し、初公開図面やスケッチ132点も収録。街並みを育む建築を追い求めた建築家の全軌跡。

そうはいっても倉敷はやっぱりちょっと遠いかなと思っているかた、岡山から電車でたった17分。案外近いです。やはり展示だけでなく、現地での実建築の空間体験は唯一無二・・・!

ぜひ会期中に倉敷へ足をお運びください🚶🏼🚶🏼🚶🏼

「建築家 浦辺鎮太郎の仕事―倉敷から世界へ、工芸からまちづくりへ 」
●期間/2019年10月26日(土)~12月22日(日)
※月曜日休館(ただし祝日は開館)
●開館時間/10:00~18:00(入館17:30まで)
●会場/倉敷アイビースクエア アイビー学館(岡山県倉敷市本町7-2)
●入場料/一般1000円、大学生500円、高校生以下無料
●主催/浦辺鎮太郎建築展実行委員会

                撮影:すべて奥村浩司╱Forward Stroke

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