日本はヤバい?

「日本は研究開発費をガンガン削っているから、技術分野の国際競争力が落ちてヤバい!」という話をここ二十年間くらい聞かされてきましたが、

統計データ見ると、ここ約二十年間、日本の研究開発費支出は増えてはいませんが、極端に「ガンガン減っている」わけでもなくて維持されているようです。

米国、韓国やイスラエルは「集約度」は高いですが北朝鮮やイスラム文化圏と戦争している国ですので、どうしても軍事研究開発に特化してカネを使う必要があるから日本とは差があるのはある程度仕方ないと感じます。

直近約二十年間、日本の研究開発費支出は増えてはいませんが、極端に「ガンガン減っている」わけでもなくて維持されているのに、

何故マスコミや識者は「日本は研究開発費をガンガン削っているから、技術分野の国際競争力が落ちてヤバい!」という噺をするのでしょうか?

そもそも「国際競争力が落ちた」というワードは良く聞きますが「何を以て国際競争力なの?」と思いますね。

例えば、日本にGAFAにあたる巨大グローバル企業がないということが「国際競争力が無い」という話であれば、それを解決するのに研究開発費増額というアプローチは正しいのか

論文数が減ったという話であれば、「ちょっと前までは、日本は論文ばかり偏重で社会に還元されてない、と批判されていたのでは?」と思います。


つまり、国際競争力というのが何を指してるのかを明確にすべきです。
これは昨今話題にされている「女性活躍」や「格差是正」とかでもそうです。

それっぽいワードを並べ立てて仕事した気になってる人が多すぎる。
それは政治家やマスコミだけでなく、そういう識者?の言うことを検証せずに真に受ける一般の方も含みます。

話を研究開発費の多寡に戻すと、
たとえばアメリカではこの実態が逆の意味で問題になっており、「日本のJAXAはあんな低予算で小惑星探査でもやってのけるのに、なんでNASAや軍は馬鹿げた額の予算が必要なんだ?」と言う批判があるようです。

実はプロジェクトの進め方が違うので、予算規模の違いは誇張されている面もあるのですが。
日本では小さな基礎研究をいくつも積み上げて技術が揃ってから大規模プロジェクトを始めるのに対し、アメリカでは大規模プロジェクトで基礎技術から開発し始めるという違いがあるのです。

なお日本の方が研究開発費は米国よりも総じて少ないことは事実でしょうが、研究開発費が少ない分、研究の自由度は高いとも言えます。アメリカは説明責任が厳しいので、有望では無いプロジェクトを進めるのは大変困難でもあるのです。

社会運動家、評論家、学識経験者、そしてマスコミは、自らの存在理由を社会に訴えたいという無意識の動機によって、何事についてもマイナス面、課題面を強調する傾向があります。これが社会の進歩の原動力の1つともなることから、こうした強調を必ずしも否定することはありません。しかし、現実のプラス面についても正当に評価しておかないと、マイナス面を改善することによってむしろプラス面を損ない、元も子もなくなってしまう可能性が出てくるので十分に気をつけておく必要があるでしょう。

補足

経産省の報告を見ると、確かに日本全体では横ばいということが良く分かります。

ここ二十年間研究開発費は増えてませんが、極端に減ってもいません。


https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/kenkyu_innovation/pdf/028_06_00.pdf

しかし、上記の報告書の17ページ以降を見ると、1割の特定の企業が、積極的に海外に向けて研究開発投資を行っていることも分かります。

これって、乱暴にいえば研究開発費の支給目的が変わってきており、 支給先が基礎研究よりも、実用研究に移ってきているということですよね。それが良いことか悪いことかは分かりませんけどwww

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