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【ラリーガ23-24全マッチレビュー】第27節

久しぶりに全部見た。総ざらい!


①セルタ 1-0 アルメリア

●仕上がりを信じて

3/1
エスタディオ・デ・バライードス
セルタ 1-0 アルメリア
【セルタ】

相変わらずあまり機会がありませんで、今季一番試合を見ていないセルタと、相変わらず今季まだ一勝もしていないアルメリア戦からスタート。
セルタは電柱2本の面白スタメン。いつの間にかスタルフェルトがキャプテンになっていた。アウェーのアルメリアは前節のアトレティコ戦と同じスタメン。

セルタのボール保持はフラン・ベルトランがアンカーポジション。デラトーレがサポート。ミンゲサが右ハーフスペースからスタートする。君は、CBじゃなかったかね。右SBのマンキージョが前を向くとミンゲサは外へ。右ハーフスペースはドゥヴィカスとラーセンが使う。なるほど。セルタの攻撃はバンバも含めて両SHの内外選択をポイントとしていく。よく人が動くセルタのビルドアップに、アルメリアは1stDFがなかなか決まらずボールの取り所を設定できない。前から制限がかからないとチョコ・ロサーノを起用している理由も怪しくなってくる。

さてあとはどうやって点を取るか、というところで20分にセットプレーからミンゲサが見事なハイボールを縦に差し込み、最後はバンバが決めたがその前のプレーのオフサイドを取った。

セルタは綺麗な4-4ブロックを置き、2トップの馬車馬のような走力を守備のベースとする。ブロック内への侵入を許さないのと、ここでも両SHが鍵を握り縦切りとCHと協力した囲い込みでアルメリアの前進を止めた。
アルメリアは36分に左SBのランガが一人で突っ込んでいってポスト直撃のミドルシュートを放つなど。モザンビーク特有の破天荒を発揮する。自分で詰めて自分で外すっていう。

前半終了直前に前節2得点のルカ・ロメロの顔面に味方のスパイクが直撃する不運な事故があり、バチストンと交代。好調だっただけにアルメリアには痛かった。本人も痛そうだった。

後半も引き続き攻撃の時間が続くセルタは60分にドゥヴィカス→アジェンデを交代。冬加入のFWで初見。
アルメリアは両翼をアリバス&ラマザニに変更し推進力を出そうとしたが直後のカウンター対応でランガが荒い足の出し方をして一発退場。モザンビーク特有の。センテジェスを入れて4バックを補修する事になり、ジョナタン・ヴィエラを諦めた。

73分にセルタがようやくこじ開けたゴールは正面からのミンゲサのミドルシュート。距離はあったが正確に射抜いた。君は、CBじゃなかったかね。77分にはバンバが一人で何もかも解決してラーセンが決定機を迎えるが外す。ラーセンはこう、難しいシュートばっかり決めそうなイメージが。

得点には苦労したセルタだったが攻守ともに整理されて説得力があった。早めの失点を避ける事ができれば残留は問題なさそうだが、最近この完成度に仕上がったのか最初からこの完成度だったけども苦労しているのかで大きく印象は変わる。どうなんでしょう。
アルメリアはいつを終戦とするのかが難しいが、残留ラインのセルタに15ポイント離された事を考えるとそろそろ厳しいか。

●ピックアップ選手
ジョナタン・バンバ(セルタ)
左サイドから内外を選択するプレーで違いを作った。後半のオープンな展開では単独突破の質を押し付けた。



②セビージャ 3-2 ソシエダ

●この日の説得力は

3/2
ラモン・サンチェス・ピスファン
セビージャ 3-2 ソシエダ
【セビージャ】’11 ’13 エン=ネシリ ’65 セルヒオ・ラモス
【ソシエダ】’45+5 アンドレ・シウバ(PK) ’90+2 ブライス・メンデス

ミッドウィークに国王杯準決勝2ndのマジョルカ戦を120分戦い、今週はCLがあるソシエダは大幅にターンオーバー。ル・ノルマン、トラオレ、メリーノ、ブライス・メンデス、久保、オヤルサバルがベンチから。左SBはティアニー。セビージャはオカンポスとジブリル・ソウが出場停止。マンチェスター・ユナイテッドからレンタルのハンニバル・メイブリが初スタメン。

早速相手のバックパスに反応してイサク・ロメロに決定機。相変わらず好調。ソシエダは中盤ダイヤモンドの4-4-2風。先季の構築と似ているが局所の質の差で苦しみ前進できない。このメンツだと当然大外はSBがどうにかするしかなく、セビージャは5-3-2で普通に待ち構えた。ボールを奪うと真っ直ぐにゴール方向を目指す直線性で13分までにエン=ネシリが2得点。ソシエダは盤面を支配する前に苦しいスコアに。出足の良さでセビージャが圧倒的に勝り、さすがにソシエダはこのメンツでは厳しい感じ。

ソシエダはアンドレ・シウバが左サイドで裏を取り始めたりと結局前半全体で68.2%ボールを持ち、ロスタイムにラモスのハンドを誘ってPKゲット。どうにか一点返して前半を終えている。立ち上がりの悪さが改めて悔やまれる。

後半からセビージャはヘスス・ナバス→フアンルを交代。ナバスは怪我かも。53分にはハンニバル→スソを交代。ハンニバル、ずっとがむしゃらで凄かった。
60分過ぎからソシエダはスタメン勢の投入でエンジンをかけようとしたところだったが、65分にオリベル・トーレスのクロスにセルヒオ・ラモスが合わせてセビージャがリードを広げた。さすがラモス。この得点でソシエダは準備完了していたメリーノの投入をキャンセル。結局ブライス・メンデス以外の主力は投入せず、ベッカーやマグナセライヤが出てきた。ハビ・ガランも元気な姿を見せた。
ロスタイムにはまたラモスのハンドでゴール正面のFKを与え、これをブライス・メンデスが決める。最後までハラハラしながらも良く走ったセビージャがギリギリで逃げ切り。ここ5試合を3勝1分1敗。
ソシエダはターンオーバーとはいえ厳しい結果。来季のCLが大きく遠のきながら、目の前のCLパリSG戦に進む。

●ピックアップ選手
ユスフ・エン=ネシリ(セビージャ)
前半に2得点で試合展開を決めた。特に2つ目は彼らしい角度のない位置からの強烈な一撃。イサク・ロメロの登場によってプレー選択がシンプルになっている。



③ラージョ 1-1 カディス

●悪天候との戦い

3/2
カンポ・デ・フトボル・デ・バジェカス
ラージョ 1-1 カディス
【ラージョ】'89 ルジュン
【カディス】'90+13 ハビ・エルナンデス

監督が変わった両チーム。特に配置が変わるわけではないのがこの2チームっぽい。
ここ16試合で1勝(6分9敗)しかできていないラージョはそこまで大幅に負けているわけではないがジワジワと降格圏が迫る。もっと退っ引きならないカディスは9月1日の4節以来勝利なし。今季まだ2勝。

ラージョはボールホルダーを空けてきっちりとブロックを作る。これがチームの構造なのかトップがR.D.T.だからなのか、相手がカディスだからなのかはわからん。ボールを持つとオスカル・バレンティンに前進を全権委任。守備能力は証明しているクレスポだが保持局面が確認ポイント。
カディスの4-4-2ブロックがSBに突進してくる形でラージョは1stラインの突破にストレスが掛かり、どっちも効果的にボールを持って前進、という展開にはならないだろうなという試合。ラージョはアルバロ・ガルシアの背後へ蹴っ飛ばすなど解決策を探る。

カディスの攻撃は主に左から。ロベルト・ナバーロとハビ・エルナンデスを後方からアルカラスがサポートする形で前進を探るが絶妙に説得力がなく、アルカラスが逆サイドのソブリーノまで蹴っ飛ばす形でCKゲットまではいける。カディスのこういうシステムだとドリブル突破をするわけではないファンミは確かにFWなんだろうが、じゃあなんで取ったんだとは思う。そしてクリス・ラモスがスタメンじゃないのは久しぶりに見たが、新監督マウリシオ・ペジェグリーノはハイサイド放り込み猛ダッシュサッカーが嫌いなんだろうか。それが嫌いならカディスの監督にはならないと思うが。

お互いにこれといった形を作れないまま雨が強まり後半へ。56分にラージョはウナイ・ロペスとデフルートス投入。なんかこう、縦のスピードをという事かと。
その直後、ちょっと雨というか雹?がやばすぎて試合が中断。嵐のようになっていた。バジェカスはスタンドの裏が林っぽいので雨が吹き込むと世紀末感が凄い。観客はなぜか大騒ぎしていた。欧米って感じ。ガッツリ中断して再度のウォーミングアップを挟んで再開した。お怪我の無き様。
ピッチは氷の塊が浮いているような状態だった。表現が正しいかわからんがこの2チームはこういうの得意そう。そしてラージョはこういう環境で結果を出しそうなファルカオを準備。同時にパテ・シスを入れて球際のパワーを注入。カディスもここでクリス・ラモス。イバン・アレホとエスカランテも入れて競り合いと揉め事に強い選手を増やす。

結局89分、ラージョのCKにレデスマが被ってしまいルジュンが決めた。難しい判断だったかもしれないが比較的天候は影響なかった気がする。それよりルジュンが上手かった。

終了間際のゴールと思いきや中断があったのでロスタイムは長そうだったがいつまで経っても表示が出なかった。そういうもんなんだろうか。
結局103分になんだか蹴っ飛ばしたボールがフリーで待っていたハビ・エルナンデスに渡り、同点ゴール。ラージョは最後の最後にフワっとしてしまった。そして試合はいつ終わるんだ(107分で終わった)

お互いに残留争いに向かう設計が見え始めた前半だっただけに、後半ももう少しまともに見たかったがイレギュラーな試合になってしまった。お互い負けなかったのは悪くない結果と言えるだろう。あとはどこまで取り組みを信じられるか。

●ピックアップ選手
ハビ・エルナンデス(カディス)
中断明け以降のピッチでも謎にパフォーマンスが落ちなかった。貴重な同点ゴールを決めている。



④ヘタフェ 3-3 ラス・パルマス

●充実感と足りない物がありまして

3/2
コリセウム・アルフォンソ・ペレス
ヘタフェ 3-3 ラス・パルマス
【ヘタフェ】’11 ハイメ・マタ ’14 グリーンウッド ’45 マクシモヴィッチ
【ラス・パルマス】’35 サンドロ・ラミレス ’50 セルジ・カルドナ ’57 ムニル・エル・ハダディ

トップハーフフィニッシュを狙う8位ヘタフェと10位ラス・パルマス。ラージョのホームゲームが大雨という事は直後にキックオフのヘタフェも当然、大雨。
ラス・パルマスはサウル・ココがアフリカネイションズカップから戻ってきている。

これだけピッチが悪いとデメリットはボールを持ちたいラス・パルマスにあり、ヘタフェは早速グリーンウッドの突破から決定機。グリーンウッドは雨にも強い。
ラス・パルマスはとりあえず左のモレイロを擦り、7分に早速対面するカルモナからイエローを引き出して優位を生んでいる。

11分にホームのヘタフェが先制。CKを一度は跳ね返されたが放り込みにハイメ・マタが抜け出した。こういうの本当に上手い。
14分に2点目。グリーンウッドが一発で抜けた。ラス・パルマスはエリアを圧縮してコンパクトに戦いたい気持ちはわかるが裏の広大なスペースを管理できず、ヘタフェのシンプルな攻撃で早々に2点を失った。

さてヘタフェの配置だが、特に4-2-3-1であるわけでもなくマクシモヴィッチが各所サポートし続けてブロックを維持する形。上手く制限をかけていたがラス・パルマスがようやく縦パスを刺したのは35分。ライン間でキリアンが前を向いてサンドロ・ラミレスのシュートを呼び込んだ。ラス・パルマスらしい一発。まさかの今季初得点である。嘘だろ。
しかし前半のうちにヘタフェは3点目。グリグリに押し込んでクロスのポイントを探し、ボルハ・マジョラルがニアに走り込む事でフリーになったのはマクシモヴィッチ。点まで決めちゃうともう文句が言えない。見事。

後半立ち上がりに早速セルジ・カルドナの得点で一点差にしたラス・パルマス。57分にはオフサイドギリギリでムニルが裏を取ってネットを揺らした。先にヘタフェの方が緩くなっていったのは結構意外だったかもしれない。これで一気に同点。さらにサンドロ・ラミレスのバー直撃のシュートなど押し込んでいくラス・パルマス。2点リードされてもちゃんとしていて凄い。

ヘタフェはボルハ・マジョラルが膝を痛めたようで途中交代しペースダウン。ゴールキックをラタサが逸らしてハイメ・マタが一気に決定機、というヘタフェっぽいチャンスは作ったが惜しくもバーに嫌われた。ラス・パルマスはマルヴィン・パークを入れてさらに背後を狙う意識を強めていったが、ここでムキにならずに同点で終えたヘタフェは流石で、ほぼ残留確定の35ポイント。ボルハ・マジョラルの怪我の具合次第で今後の目標は変わりそう。ラス・パルマスは後半の修正が見事。今季まだ2度目の3得点というのも意外。

●ピックアップ選手
ネマニャ・マクシモヴィッチ(ヘタフェ)
中盤の守備の人のはずが高い位置のプレス調整に起用され、高さを活かして攻撃にも貢献しつつ得点まで決めてしまう。ボルダラス節の塊。



⑤バレンシア 2-2 マドリー

●熱さはピッチに込めまして

3/2
エスタディオ・デ・メスタージャ
バレンシア 2-2 マドリー
【バレンシア】'27 ウーゴ・ドゥーロ '30 ヤレムチュク
【マドリー】'45+5 '76 ヴィニシウス

この日はベリンガムが真ん中。バレンシアの4-4-2ブロックの隙間を探していく。バレンシアはまず守る事から設定。
マドリーはロドリゴとヴィニシウスが大外に加勢する事で相手SBに向かっていく。まずは押し込み。バレンシアは外側を進まれる形は普段の設定通りではある。マドリーはベリンガムの裏抜けやらPA手前のコンビネーションでゴールに迫るが、バレンシアは最後のところをしっかりと。

そんな中で27分にバレンシアが先制。カウンターを一度は止められたが、再奪回してハビ・ゲラが2枚剥がし、右からクロス。フラン・ペレスの当たりはへなちょこだったがウーゴ・ドゥーロが決めた。そして30分にカルバハルのバックパスがエラーになりヤレムチュクが詰めた。流れが悪かったマドリーは一気に2失点。

バレンシアは撤退するとクロースの配球を確実に警戒。2点リードしたまま折り返せるかと思ったが、ずっと内側を狙っていたカルバハルが綺麗に背後を取ってヴィニシウスの得点を生んだ。ロドリゴ&ヴィニシウスでしっかりGKの前に入った侵入はデザインされたもの。

雨が強まった後半もマドリーが押し込む。徐々にスペースの共有が上手くいき始め、54分にはメンディのクロスでベリンガムに超決定機。ママルダシュヴィリのビッグセーブ。
バレンシアはディエゴ・ロペスとギジャモン投入でコントロールの方向性を探る。60分には右から進んで最後はディエゴ・ロペスに決定機が来たが、こちらはルニンのビッグセーブが出た。

展開を変えたいマドリーはモドリッチとブラヒム。さらにフラン・ガルシアとホセルを入れてペースアップ。76分に同点。PA前を横滑りするようにボールを回して隙間を探し、モドリッチからブラヒム・ディアスで突破し、ヴィニシウスの頭。というか顔。この日2点目で同点にした。普段以上にストライカーの仕事に執着した感のあるヴィニシウス。だからって簡単に結果が出せるものでもないが、やはりタレント。

90分付近にチュアメニが前向きにずっこけたところにディアカビの右足があり強烈に接触。時間のかかりそうな負傷となってしまった。そんな雰囲気の中、ロスタイムにウーゴ・ドゥーロがずっこけたシーンでVAR介入したがノーファールでPK取り消し。よく見なくても全然当たってなかった。ヒル・マンサーノの最速OFR。
バレンシアはマドリーからローン中のピーター・フェデリコに2つ良いシュートがあるなど3ポイントの可能性を残しつつ、最後はマドリーのCKがファーに流れ、ブラヒムが上げ直す動作中に試合終了の笛。このクロスにベリンガムが合わせて決めちゃったので大問題に。良い試合だったがややこしい終わり方をしてしまった。ベリンガムは退場。

バレンシア目線で言うと、ロスタイムになっても反撃のパワーを残していたのは偉いし、ディアカビの負傷があっても交代枠が残っていたのはシンプルに助かった感じ。38試合の流れで言うと貴重な1ポイントを取った。

●ピックアップ選手
ヴィニシウス・ジュニオール(マドリー)
0-2から追いつく2ゴール。よりゴール方向へ。シーズン終盤に照準を合わせている。



⑥ビジャレアル 5-1 グラナダ

●スタンダードを探す

3/3
エスタディオ・デ・ラ・セラミカ
ビジャレアル 5-1 グラナダ
【ビジャレアル】'7 '19 '66 スルロット '32 カプエ '47 ゲデス
【グラナダ】'90+1 コルベーヌ

今季絶不調のビジャレアルだが14節のマルセリーノ就任以降は5勝4分4敗とそれなり。ここ5試合は2勝3分と上昇中。ちなみにELはちゃんと勝ち上がってます。タイトルが欲しいだろうねえ。
やってるサッカーはアルメリアより絶望的とおれの中で話題のグラナダは冬にブライアン・サラゴサまでいなくなったが、個人的には残留できるかどうかとサラゴサはあんまり関係ないかなと。

7分にスルロットのゴールであっさりビジャレアルが先制。グラナダはオングラがアンカーというか3CBの中央に入るが、びっくりするほど動きのない配置で本当になんというか試行錯誤を感じる。そんな事よりサイドを抉られた時の彼自身のポジショニングが絶望的で前も後ろもガラ空きだった。そもそもオングラが真ん中にいる事でビルドアップが上手くいっている雰囲気もなかったし、何ならビジャレアルはCBを放置して守っていたという。もうちょっと相手を見よう。

ビジャレアルの右SHは初見のトラオレ。アストンヴィラから来た。この選手は守備能力がかなり信頼できるもので、ボールを持った対面の選手との距離の取り方と周囲との連携が秀逸。面白い選手。それでいて先制点と2点目を演出している。逆足でドリブルを仕掛けられる良いアタッカーでもある。さすがプレミア。20分で2点取ってほぼ試合は決まったが32分にCKからカプエが決めて3-0。早々と勝負あり。ビジャレアルの何が良いかと言われても難しいが。いっぱい点が取れてるのが良いです。

後半頭からビジャレアルは怪我したっぽかったバイリーに替えてマンディ。さらにジェラール・モレノ→ゲデス。47分にいきなりバエナ→ゲデスで4点目。バエナらしい周囲との連携を久しぶりに見た気がする。66分にまたもCKからファーでスルロットが合わせてハットトリック。最後は何だかグラナダが一点返して試合終了。残留に向けてもう少し頑張りましょう。

●ピックアップ選手
ベルトラン・トラオレ(ビジャレアル)
攻めても守っても人に強いのはプレミアのノリがあった。チームのバランスを崩さず相手のバランスを壊せる選手。



⑦アトレティコ 2-1 ベティス

●猛攻に耐える

3/3
シビタス・メトロポリターノ
アトレティコ 2-1 ベティス
【アトレティコ】’8 OG(ルイ・シルバ) ’44 モラタ
【ベティス】’62 ウィリアム・カルバーリョ


アトレティコvsベティスのマッチレビューはこちら


●ピックアップ選手
ガブリエウ・パウリスタ(アトレティコ)
3CBの中央に入って抜群の安定感。上位を追いかける起爆剤となれるか。



⑧マジョルカ 1-0 ジローナ

●勢いで差をつけて

3/3
エスタディ・デ・ソン・モイシュ
マジョルカ 1-0 ジローナ
【マジョルカ】'33 コペテ

2003年以来の国王杯決勝進出を決めたマジョルカはホームに2位ジローナを迎える。怪我人などで目に見えてペースが落ちたジローナは上位勢に欧州カップ戦があるこの時期が正念場。

前日のマドリードの試合に続きピッチコンディションがなかなか大変そうなマジョルカ。ジローナはGKからボールを繋ぎたいがなかなかリスクが大きそうな様子。
マジョルカの5-3-2はやる事をはっきりと。2トップはどちらかがアレイシ・ガルシアに張り付き、両WBはWGにどこまでも付いていく設定。3CBはドフビク周辺を警戒。しっかり守る。こうなるとジローナはIHだのSBがどうにかして中央ルートを進みましょうという感じになるが、案外進めなかった。ソリスは割とチャレンジしていたが、ソリスがやる仕事なのかは謎。

マジョルカがセットプレーからの得点に賭けていた事は(少なくとも前半の内は)明らかだったわけで、実際に33分にコペテのゴールを生んだ。狙えば取れるかといえばそういうわけでもないので、シンプルに凄い。

後半もダイレクトな攻撃でゴールに迫るのはリードしたマジョルカの方。選手交代を先に行ったのもマジョルカの方。モルラネスを入れて中盤の機動力を確保し、カードをもらったバリエントも早めに下げた。同時にジローナはこの日ほぼボールに関与できなかったイバン・マルティンに替えてポルトゥを入れる。イバン・マルティンは様子がおかしいか?と思っていたが替えられたところを見ると本当におかしかったのかもしれない。

ポルトゥ投入以降ツィガンコフとついでにサヴィオまで内側へ侵入するようになりPA内侵入の頻度を増やしていくジローナ。マジョルカは保持の時間が短くなればシンプルにカウンター狙いに切り替えられる潔さがあり、アブドンとダルデルの投入はその方向性を加速させた。

結局ジローナの攻撃を耐え切ってホームのマジョルカが1-0勝利。この試合だけを見ると"マジョルカがよく守ったな"という感想になるが、ジローナの調子が悪そうだったかと言われれば確かにピークは過ぎているのかもしれない。それが疲労なのか対戦相手の慣れなのか。イバン・マルティンとヤン・コウトはなんとなくベストコンディションではなさそうな印象を持った。じゃあみんなマジョルカみたいに守れるのかと言われればそれも違う気はする。この日のマジョルカは良かった。国王杯決勝進出の勢いをそのままに、残留争いから抜け出すためには貴重な勝利となった。

●ピックアップ選手
トニ・ラト(マジョルカ)
ヤン・コウトを相手にしつつ、カウンター局面で頑張って前進。高い集中力で勝利に貢献した。



⑨アトレティック 0-0 バルサ

●魅力を訴求し合って

3/3
サン・マメス
アトレティック 0-0 バルサ

前節はベティスに敗れたがホームでは絶好調のアトレティックがバルサを迎える。ダニ・ビビアンとニコ・ウィリアムズ出場停止で、国王杯明けという事もありスタメンを大幅に替えた。プラドスがSBになるのは初めて見る形。バルサは噂には聞いていたがクリステンセンが中盤に入り、最終ラインは話題のクバルシ。

配球を探ったのはバルサの方。2CBとSBの立ち位置を押し付けつつ、フレンキーが浮いて持ち手となる。
アトレティックはバルサの限定で突破口を探すのに手間取り、特にこの日は両SBがベストチョイスではなかった事もあり序盤はシンプルにロングボールを使うが、徐々にハードコンタクトで左SBのイマノル・ガルシアが対面するハフィーニャ相手に優位を持っていく。お互いに上位対決らしい刺し方を見せていた。

23分にフレンキーが右足首のヤバそうな着地で交代に。残念。フェルミン・ロペスが出てくる。ペドリと位置を入れ替えた。
アトレティックはポケットを抉る狙いをチラつかせながらファーへの鋭いアーリークロスを選べるのが強みで、特にベレンゲルからイニャキのボールは常に危険だった。トランジションではウナイ・ゴメスがなかなか捕まらず、チャンスを作っていく。
バルサのチャンスは31分にGKが飛び出していたところを狙ったカンセロのロングシュート。良い軌道だった。このプレーに至ったギュンドアン→フェルミンのボールも見事。飛び出して守ったウナイ・シモンも見事。面白い攻防だった。

前半の終盤にはペドリまで負傷交代。この試合の興味もそうだが、今後の試合にも大きく影響しそうな2人の怪我になってしまった。

後半アトレティックはイニャキとベレンゲルの左右を入れ替えて、イニャキをクンデにぶつける。一つチャンスを作り、5分くらいで元に戻った。
63分にルイス・デ・ガラレタとサンセを入れて勢いをキープするアトレティック。この辺りから中盤でファイトに勝つのがアトレティックになっていくが、バルサはその方がアタッカーのスピードを活かせそう、的な逆転現象。もはやラリーガにおけるバルサはボールを保持するチームではないのかもしれない。そしてアトレティックは撤退を怖がらなかった。

前半に負傷交代で選手交代を2度使っていた事もあり、バルサはなかなかペースを変更できずヤマルの突破が生命線に。疲労感があって前に出る力が無くなっていったアトレティックがコントロールに入り、スコアレスで試合を終えた。
バルサからすると上位を追いかける勝利が欲しかったがフレンキー、ペドリが途中交代するアクシデントもあり無得点に終わった。正直わかりやすいチャンスはほぼなく、偶発性に頼る形は切なかった。アトレティックは国王杯から中2日。大幅にメンバーを変え、さらにダニ・ビビアンとニコ・ウィリアムズという超主力が出場停止でも可能性を示すドロー。若手の躍動が今のチーム状態を表していた。

●ピックアップ選手
ウナイ・ゴメス(アトレティック)
ライン間で圧倒的な活躍。イニャキをゴール前に入れて自身が大外を突いたりとバリエーションを見せた。トランジションで仕事が出来るのもアトレティックらしい。



⑩オサスナ 1-0 アラベス

●結末はゴラッソで

3/4
エル・サダル
オサスナ 1-0 アラベス
【オサスナ】'76 ブディミル

最後の試合はオサスナとアラベスのバスク対決。アラベスがびっくりするくらいピッチを広く使うのでオサスナの4-4の設定が試される展開に。双方ボールは持てる試合だがアラベスのネガトラがやや勝り、ゴールに向かっていく。それにしてもこれだけピッチを広く使う割には圧縮が速いアラベス。これが根性か。セットプレーなどで序盤からいくつかチャンスを作っていくがオサスナGKセルヒオ・エレーラが止めていく。この人はエキセントリックな感じが見ていておもろい。アラベスは徐々に保持時間を伸ばしていきそうになるが、こっちはこっちで茶目っ気のあるボールロストをしてピンチを招いたりする。
そしてオサスナは8分頃に足を痛めたキケ・バルハが結局ダメで15分にモイ・ゴメスに替わる。
その後アラベスはアブカルが怪我してテナグリアに替わるなど。

前半のハイライトはカウンターで1vs1になったサム・オモロディオンのアタックをエランドが止めた場面。思わず左足でスライディングにいったのが怪我しそうで危なかったが、良く伸ばした。一点ものの好プレー。この日一日で負傷交代を6人くらい見ているので心配になってしまいました。
オサスナは40分にアイマールが惜しいシュート。シベラがよく止めた。アラベスは45+2分にハビ・ロペスの低いクロスがそのまま入りそうになるなど。オモロディオンがちょっと触ってたかも

後半からアラベスはキケ・ガルシアを入れて2トップに。そしてアレックス・ソラに替えていつまで経っても特徴がわからないカルロス・ビセンテ。2トップにしたから攻撃的、という雰囲気はあまりない。
アラベスがブロックを低くするとオサスナの攻撃は確率の低そうな放り込みに終始。アラベスはカウンターだけ狙って引きこもるフェーズに。

オサスナはおハムでダビド・ガルシアが下がる。今週は本当に怪我人が多かった。ウナイの方のガルシア投入。

お互いGKがよく止めていたが結論はブディミルのゴラッソ。76分にゴール正面から左足を振り抜いた。ここで決めるのがストライカーです。双方よく走り、よく戦った好ゲームでした。

●ピックアップ選手
セルヒオ・エレーラ(オサスナ)
最後の門番として立ちはだかりよく止めた。配球も良い。



●感想

とにかく怪我人が多い一週間だった。あとマドリード周辺の天気、わけがわからなかった。

CL争いは上位5チームに絞られ、第2グループはどこも調子がよろしくない。そんな中今節見ていて非常に良かったのが17位のセルタ。守備ブロックの組み方と前進の方向性がよく整備されていてベニテスに鍛えられている感がある。使いようによっては意味不明になりそうなジョナタン・バンバが重要な役割をこなしているのも良い感じ。説得力のあるサッカーで好印象。

降格クラブはアルメリアとグラナダに上昇の兆しが見られずほぼ確定。18位のカディスが特別悪いとも思わないが他に落ちてくるクラブが思いつかず、一番怪しそうだったマジョルカがコパデルレイフィーバーでジローナに勝ってしまった。なかなか厳しそう。


今季も残り11試合。なるべくたくさん見ます。では次はカディス戦で。

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