この件は  本当はお話するつもりは無かったんですが …   少しでも罪滅ぼしになれば と思いましたので   思い切って書かせて頂きます

これは　私が  駆け出しの若造だった頃 の出来事です

もう 今では  こんなお店は  どこを探したって 影も形も無くなってしまいましたが　当時は 小さく仕切った部屋が  店内に10室ほどある「レンタルビデオショップ」って沢山あったのです

お客は　棚に並べてある 多数のVHSビデオの中から  お好みのビデオを手に取って  カウンターで 清算した後　 空いてる部屋に入れば　すぐにそのビデオが鑑賞できるという  そういう仕組みのお店でした

ある日　私が  このビデオショップで　棚から１本のVHSビデオを選ぶと  カウンターへ持って行って清算し  小部屋に入りました　  そこには １人掛けの椅子と ブラウン管テレビ と VHSビデオデッキ  そして  ヘッドフォンが置いてあります　このヘッドフォンは耳を覆おおうタイプで　これを付ければ　外部の音は ほぼ聞こえなくなります　つまりこの部屋は マイワールドにワープできる魔法の空間という訳です！

私がこの店に入ったのは  金曜日の夜10時過ぎでした　当時は会社で面倒な仕事をやらされていたので　連日連夜の残業続き … かなり酷く疲れていましたが　ビデオショップが閉店になる午前０時までには　２時間もあるので  ゆっくりできるぞ～！と安易に考えていたのです

その１本を見終わろう という頃になって

何と私は …そのまま

眠ってしまったのです！

ハッと気付くとテレビには何も映っていません！　ビデオが最後まで送られて  砂嵐の様な画像になっています　小部屋のライトを付け  腕時計を見て　驚きました！まさかの  午前０時３０分！「閉店時間を過ぎてる！」

慌てて小部屋から店内に飛び出すと  そこは真っ暗です…　何でこんなことになるのか？　寝ぼけた頭で いろいろ考えた末　 店の主人が  まだお客がいることに 気付かず  店を閉めて  帰宅してしまった！ということだったのです

小部屋から漏れる  僅かな明かりを除けば　店内にライトは何処にも無かったため　天井灯 のスイッチを探しましたが　薄暗いカウンター内はスイッチだらけで  どれが 天井灯 のスイッチなのか 分かりません

更に悪いことに …お店の入り口のドアが開きません！　一般的には  ドアノブの内側のツマミを  90度回せばドアは開けられますが　このお店のドアには そもそもツマミが無くて　キーを刺して回さないと開かない 頑丈なドアでした　

当時は  スマホなど無い時代でした　お店の主人と連絡を取るにはどうしたら良いのか？と途方に暮れていると … そうだ カウンターの電話が使えるんじゃないの？　電話の子機に連絡先とおぼしき番号が書かれていたので　ダメ元で電話してみました　すると …店主の自宅に掛かったらしく　電話に出たのは店主の奥様でした

ワケを話して  お店から出たいと告げると　店主はまだ自宅に戻っていないので　到着したら すぐ向かわせるが　２時間は掛かるとのこと　とにかく待っていて欲しいとの言葉に　私は仕方なく ハイと応えたのです

店主が戻るまで２時間か…　ここに閉じ込められたのは　私のせいでは ありません！私は完全に被害者です！　確かに寝ちゃったのはマズかったけど　でも こんな目に遭って良いはずはない！

いや 分かってましたよ　道義的に宜しくないってことは　もちろん分かってたんですが … 拘束されることになった　この２時間分の見返りは  あっても　良いんじゃないか と思ったんですよ！

そこで私は  薄暗い店内で  午前１時過ぎに  店主には無断で　ビデオを探し回り  ちゃっかりと シュワちゃん主演の 最新版 の１本を見てしまいました！　

でもそれは  運が悪かった私に 神様が少しだけ味方して下さったのだ！      ということに 勝手にさせて頂いただけ なんですけどね …

あの時のビデオショップの店主さん
本当に申し訳ございませんでした
謹んでお詫び申し上げます　  m(_ _)m