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ふわりと風に乗ってみるのも良いのかもしれない・・・

本日より始まりました、今井宣子個展。
いつもは、作品と作品の間隔を広く取りたいと思うのですが、
今回はくっつけみました!すると、雲が流れ・風が通り抜け・ふわりと・・・それぞれ違う作品がワンシーンを創ってくれました。
たぶんそうなったのも、今井さんが3月のレクイエム 忘れない3.11展にご出品を頂いた時に出されたメッセージからそう思ったのかもしれません。
下記が3月の展覧会に出された時の今井さんのメッセージです。

仙台に来て26年。
11年前の震災の時は、自宅に一人いました。大きな揺れでその場でじっと揺れが止むのを待ちましたが、揺れは治まらず、大きくなる一方で家中のものが飛び出し倒れました。
 揺れが治まると水を溜められるだけ溜め、雪が舞う中、一人暮らしのお年寄りの家に車で向かうと真っ暗なコンビニに大勢の行列、壊れた家、道路。間もなくライフラインは、全て止まりました。
その日から、水と食料と燃料確保、避難所に人と布団を運ぶ日々になりました。起こっていることが、現実という実感がなく、ただ、目の前の課題に走り回っていました。 
 四日目で電気が通り、テレビで沿岸部の津波被害を見て情報は入っていたけれど、ここまでとは想像もつかず。。。こんなことがすぐ傍で起こっていたとは。。。
1か月後にようやく通れるようになった海沿いの被災地を回り、津波の力の大きさを思い知らされました。津波で残った冷たい海水を夜の真っ暗な中、浮かんでいる遺体を掻き分け必死で泳いで帰ってきた中学生、中には、助けを求める声を聴きながら泳いだ子も。助かってもどの子もパニック状態、
そんな話をいくつも聞きました。内陸の方でも親や大切な人を亡くした人がほとんどで、どんな言葉をかければいいのか。
 海が怖くて傍に行けなくなった人、家族の命を奪った海、見るのがつらいと震災遺構はどんどん片付けられていく。。。自分に何ができるのか。。。
怖い海ではあるけれど、海にたくさんの恩恵を受けてきた。
先人の警告が薄らいでしまっていたこともあるのでは。。。
 海を嫌いにならないでほしいと思って、描き出したのが波のシリーズの始まりです。
それまで長年描いてきたものをやめて取り組みました。
海の中に立つ木、枯れそうな木が精一杯踏ん張っている。
傷ついた蝶が飛んでいる姿を見て画面の中にいれるようになりました。
展覧会で私の絵を観て下さった方から、お手紙をいただきました。
「水中に立つ古木の姿が脳裏に焼き付いて離れません。時間は流れますが、時は永遠を留め、悲しみや苦悩をも希望に孵化させる力があることをあなたの絵は教えてくれました。
無常の中の常住というか、何とも不思議な感覚にとらわれる絵でした」随分長い時間立ち止まって私の絵を観て下さったようです。
 絵の持つ力を信じて描いていきたいと思っています。  今井宣子